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介護タクシーの使い方と料金相場【2026年版】介護保険が効くのは「乗り降りの介助」97単位だけ|運賃・車椅子代は全額自費

住宅街に停まったスロープ付きの白い福祉車両と手前に置かれた車いす
まず押さえる3つ(結論)
何が使える
介護保険が効くのは「乗り降りの介助」だけ。訪問介護の通院等乗降介助=1回97単位(片道1回)です。運賃と車椅子・ストレッチャーの使用料は全額自費。
いつまでに
保険を使うにはケアプランへの位置づけが先。まずケアマネジャーに相談し、車両の予約は3〜7日前が目安。退院日が決まったらその日に動くのが安全です。
いくら
介助料の自己負担は1割で片道およそ100円前後。ただし運賃・迎車料・機材使用料が乗るため、近距離の往復で総額2,000〜3,000円台になることが多いのが実際です(編集部試算)。

通院のたびに家族が仕事を休んで車を出す、その負担が限界に近づいたとき、多くの人が最初に名前を聞くのが「介護タクシー」です。ただ、調べ始めるとすぐに詰まります。介護保険が使えると書いてある記事と、全額自費と書いてある記事が両方出てくるからです。

結論から言うと、どちらも正しいのですが、対象が違います。保険が効くのは「乗り降りの介助」という一部分だけで、車に乗っている間の運賃は保険の対象外です。この記事では、その線引きと、実際に使い始めるまでの手順、そして総額がいくらになるのかを、公的な資料の数字と事業者の公表料金表に分けて整理します。

目次

まず「3つの似た名前」を切り分ける

検索すると「介護タクシー」「福祉タクシー」「福祉有償運送」という3つの言葉が出てきます。中身が違うのに現場では混ぜて使われることが多く、ここを最初に切り分けておくと以降の話が一気に整理されます。

呼び方法的な位置づけ介護保険こんな人向け
介護タクシー
(介護保険タクシー)
道路運送法の許可を受けた事業者が、訪問介護の通院等乗降介助として提供介助部分に適用
97単位/回
要介護1〜5で、定期通院がある人
福祉タクシー車椅子・ストレッチャー対応車両のタクシー。介護資格者の同乗は必須ではない適用なし
全額自費
要介護認定がない人、家族が付き添える人
福祉有償運送道路運送法79条の登録を受けたNPO法人・社会福祉法人等が実施適用なし
ただし対価は低め
費用を抑えたい人(会員登録が必要な場合が多い)

なお「介護タクシー」は法律上の正式名称ではありません。実務では、訪問介護事業所の指定を受けたうえで道路運送法の許可も取っている事業者が、介護保険の通院等乗降介助として提供する形を指すことがほとんどです。

料金は「3階建て」だと考える

介護タクシーの料金は、性質の違う3つが積み上がった構造になっています。ここを分けて理解しないと、見積もりも領収書も読めません。

1階:運賃(全額自費)。距離制または時間制で、通常のタクシーとほぼ同じ考え方です。迎車料が別途かかる事業者もあります。
2階:介助料(ここだけ介護保険の対象になり得る)。乗り降りの介助が訪問介護の通院等乗降介助にあたり、1回(片道)97単位で算定されます。
3階:機材使用料(全額自費)。リクライニング車椅子やストレッチャーを借りる場合の費用です。

1単位は10円が基本で、地域区分によりおおむね10円〜11円台に設定されます。したがって自己負担1割の人なら、介助料の負担は片道100円前後。往復でも200円台です。「介護保険が使える」という説明は正しいのですが、効いているのはこの部分だけだ、というのが実態です。

片道5km・往復した場合の総額イメージ
事業者が公表する料金表をもとにした編集部の試算。実際の金額は地域・事業者で大きく変わります。
保険適用+自分の車椅子 約2,200円 自費+車椅子を借りる 約5,000円 自費+ストレッチャー 約12,000円

つまり、総額の大半を決めているのは保険が効かない運賃と機材使用料です。費用を下げたいなら、保険の使い方を工夫するより、車椅子を自前で用意する・自治体のタクシー券を使う・福祉有償運送を検討する、といった自費部分への手当てのほうが効きます。

使い始めるまでの手順

保険を使う場合、順番を間違えると全額自費になります。下の順で進めてください。

ステップ1|使いたいと思った時点
ケアマネジャーに相談する
まず要介護1〜5かを確認します。要支援1・2の人は通院等乗降介助の対象外です。担当ケアマネジャーがいなければ、地域包括支援センターが窓口になります。
ステップ2|利用開始の前月〜前週
ケアプランに「通院等乗降介助」を入れてもらう
ケアプランに位置づけられていないと保険は使えません。「通院」「役所での手続き」「預貯金の引き出し」など、目的も具体的に書いてもらいます。区分支給限度基準額の枠を使う点も確認しておきます。
ステップ3|前週
事業所を選び、往復の見積もりを取る
道路運送法の許可・登録があるかを確認します。「運賃」「迎車料」「介助料」「機材使用料」を分けた往復の総額見積もりをもらうと、当日の金額違いを防げます。
ステップ4|3〜7日前
予約する(車種と付き添いを伝える)
車椅子のままか、ストレッチャーか、寝たきりかで車両が変わります。家族が同乗するか、院内で誰が付き添うかもこの時点で決めておきます。台数が少ない地域では1週間前でも埋まります。
ステップ5|当日の朝
保険証・お薬手帳・現金を用意する
支払いは現金のみの事業者がまだ多く、カードが使えない前提で用意しておくと安全です。玄関前まで車が入れるか、鍵は誰が閉めるかも決めておきます。
ステップ6|帰宅後
領収書で保険分と自費分の内訳を確認する
介助料が保険対象として処理されているか、運賃が自費として分けて記載されているかを見ます。ずれていればその場でケアマネジャーに連絡します。

損しないためのポイント

申請しないと損する・知らないと損すること
  • 自治体のタクシー利用券(福祉タクシー券)。障害者手帳や要介護度を条件に、多くの市区町村が年間数千円〜1万円台分の券を配っています。申請しないと1円も出ません。介護タクシーの運賃に使える自治体もあるため、市区町村の障害福祉課・高齢福祉課で確認を。
  • ケアプランに書いてもらう前に使うと全額自費。先に使ってしまうと、後から保険適用に戻すことは基本的にできません。順番が逆にならないよう注意します。
  • 通院等乗降介助は区分支給限度基準額の枠を使う。通院回数が多い月は、他のサービスと合わせて限度額を超え、超過分が全額自己負担になることがあります。回数の見込みは事前にケアマネジャーと詰めておきます。
  • 身体障害者手帳による運賃割引。手帳の提示でタクシー運賃が割引になる取り扱いがあり、介護タクシーの運賃部分に適用される事業者もあります。黙っていると適用されないので、予約時に伝えます。

あなたの場合はどうなるか

同じ「介護タクシーを使いたい」でも、条件によって結論がかなり変わります。当てはまるものを見てください。

要支援1・2の人
通院等乗降介助は使えません。市区町村の総合事業に移動支援メニューがあるか、社会福祉協議会の外出支援サービスがあるかを地域包括支援センターで確認するのが現実的な代替です。
家族が院内に付き添える人
院内での移動や受診の付き添いは原則として保険の対象外で、医療機関スタッフの対応範囲とされています。家族が付き添えるなら、乗り降りだけ介護タクシーに頼む形が最も安く済みます。
家族が誰も付き添えない人
院内介助まで頼むと自費のヘルパー費用が別に発生することが多く、往復1回あたりの負担が一気に上がります。ケアマネジャーに「院内はどう組めるか」を最初に確認してください。病院の体制や本人の状態によっては例外的に保険で組める場合もあります。
転院・退院の送迎で使いたい人
病院から病院への移送に伴う介助は通院等乗降介助を算定できないとされています。転院はほぼ自費と考えて見積もりを取ってください。退院時の自宅への送迎も、ケアプランの状況によって扱いが変わるため事前確認が必須です。
エレベーターのない集合住宅に住んでいる人
階段の昇降介助を別料金にしている事業者が多く、階数によって加算されます。予約時に「何階か」「階段は何段か」を伝えないと、当日に対応できず出発できないことがあります。

現場で実際に起きること

制度の説明だけでは足りない部分を、利用者・家族・ケアマネジャーが書き残している体験談から整理しました。以下は公的な資料に載っている話ではなく、体験談として多く語られる内容です。

見積もりと請求額が合わない

最も多いのが金額の食い違いです。「介護保険が使えると聞いたのに1万円請求された」というケースは、保険が効くのが介助料だけだという線引きが共有されていないために起こります。予約の電話で「保険対象はいくらで、自費はいくらですか」と分けて聞くだけで、ほぼ防げます。

当日になって車椅子が積めない

普通の車椅子とリクライニング車椅子では必要な車両が違います。予約時の聞き取りが浅いまま当日を迎え、車両が合わずに出発できなかったという話は少なくありません。車椅子の型番か、せめて写真を送れるかを確認しておくと確実です。

病院の待ち時間で待機料金が膨らむ

診察が長引くと、待機してもらう時間の分だけ料金が加算されます。往復で予約せず、帰りは診察が終わってから呼ぶ形にできるかを聞いておくと、待機料金を避けられる場合があります。ただし帰りの車がすぐ来ない可能性とのトレードオフです。

退院日が動いて予約が無駄になる

退院日は前日や当日に変わることがあります。キャンセル料の発生タイミング(前日か、当日何時か)を予約時に確認しておくと、変更が出たときに落ち着いて動けます。

玄関前まで車が入らない

道が狭い、私道で進入できない、駐車できる場所がないといった理由で、家の前に停められないことがあります。その場合は最寄りの停車位置まで介助して移動することになり、追加の介助料がかかることも。心配なら事前に下見に来てもらえるかを聞いてみてください。

相場観と、編集部としての見方

介護タクシーの見積もりを取ると、事業者からはたいてい「安心のためにストレッチャー車を」「介助員2名で」といった上位の組み合わせを提案されます。それが不誠実というわけではなく、事故を起こさない前提で組めばそうなるからです。ただ、家族の側にも予算があります。判断材料として、3つの水準に分けて整理しました。

堅実に済ませたい人はここまで
保険の通院等乗降介助を使い、車椅子は自宅のものを持ち込む。院内は家族が付き添う。この形なら往復2,000〜3,000円台で収まることが多く、月2回の通院でも家計への影響は限定的です。まずここを起点に考えて問題ありません。
体力・安全に不安があるならここまで
リクライニング車椅子を借りる、介助員に院内まで頼む。往復5,000〜8,000円台。座位が長く保てない、途中で崩れる不安があるなら、ここは削らないほうがよい部分です。転倒すれば入院になり、結果的にはるかに高くつきます。
こだわるならここまで
ストレッチャー車、看護師同乗、長距離の医療搬送。往復1万円台〜数万円。医師から寝たままの移動を指示されている場合は必要な選択ですが、そうでなければ、まず「座って移動できるか」を主治医に確認するほうが先です。

編集部として一つだけ言えるのは、最初の1回はグレードを上げておき、様子を見て下げていくほうが安全だということです。初回は本人の消耗具合も、道中の負担も読めません。2回目以降、実際の様子を見てから「ここは要らなかった」と削るほうが、事故のリスクを負わずに費用を下げられます。逆に、最初から最安で組んで途中で困ると、当日その場では選び直せません。

なお、費用そのものを下げたいなら、まず自治体のタクシー券と福祉有償運送を調べてください。福祉有償運送はNPO法人などが道路運送法79条の登録を受けて行うもので、対価はタクシー運賃より低く設定されるのが一般的です(具体的な水準は地域の運営協議会で決まります)。会員登録や事前申込みが要る代わりに、定期通院がある人にとっては負担が大きく変わります。

よくある質問

要支援1・2でも介護タクシーは使えますか?

車両そのものは使えますが、介護保険の通院等乗降介助は要介護1〜5が対象のため、要支援の人は保険適用にならず全額自費になります。市区町村の総合事業や社会福祉協議会の外出支援に代わるメニューがないか、地域包括支援センターで確認してみてください。

買い物や墓参りにも使えますか?

保険が使えるのは、通院や官公署での手続き、預貯金の引き出しなど、日常生活上または社会生活上必要な行為としてケアプランに位置づけられたものに限られます。趣味や娯楽目的の外出は対象外で、全額自費です。ただし自費であれば利用自体は可能なので、事業者に相談してみてください。

家族は一緒に乗れますか?

乗れる事業者が多いですが、車両の座席数や車椅子の固定位置によっては1名までという制限があります。予約時に人数を伝えるのが確実です。なお、家族が同乗する場合は同乗者分の運賃を求められることがあります。

院内の付き添いも頼めますか?

院内での移動介助や受診の付き添いは医療機関スタッフの業務とされ、原則として介護保険の算定対象外です。ただし、病院側の体制や本人の状態によっては例外的に算定できる場合があるとされているため、ケアマネジャーを通じて確認してください。保険が使えない場合は自費で頼むことになります。

自己負担割合が2割・3割だといくらになりますか?

介助料の保険適用部分は1回97単位です。1単位10円で計算すると、1割で約97円、2割で約194円、3割で約291円が片道の目安になります(地域区分により1単位の単価は10円〜11.40円程度で変わります)。運賃と機材使用料は割合に関係なく全額自己負担なので、総額への影響はそれほど大きくありません。

関連する手続き

最初に相談する窓口
担当ケアマネジャーがいる場合はまずケアマネジャーへ。いない場合は、お住まいの市区町村の地域包括支援センターが入口です。場所は市区町村の公式サイト(「◯◯市 地域包括支援センター」で検索)で確認できます。福祉タクシー券の有無は、同じ市区町村の高齢福祉課・障害福祉課が窓口です。

出典

基準日:2026年8月1日。単位数は令和6年4月改定時点のものです。料金の目安は事業者が公表している料金表をもとに編集部が整理したもので、実際の金額は地域・事業者・車種によって変わります。本記事は編集部が公的資料をもとに整理したものであり、専門家の監修を受けたものではありません。個別の判断はケアマネジャー・市区町村の窓口にご確認ください。

読み終えたら、次に手を動かすこと

介護タクシーは、運賃と車椅子代が全額自費です。通院の回数が増えるほど家計に効いてきますが、この自費部分は下げられません。手を動かして下げられるのは、毎月固定で出ていくほうの費用です。

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この記事を書いた人

みんなのミカタナビ編集部です。運営者・たくの編集方針のもと、相続・出産・退職・補助金など「知らないと損する手続きとお金」を、公的機関の一次情報と体験談の取材をもとに時系列で整理しています。数値・期限は必ず公式情報で裏取りし、出典を明記します。

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