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介護保険の始め方【2026年版】要介護認定の申請から利用開始までの流れ・自己負担の目安・認定調査で失敗しないコツ

介護保険被保険者証と要介護認定の申請書と湯のみと老眼鏡と杖を並べた静物|介護保険の始め方 要介護認定の流れ 介護・見守り

結論の要点|まず何を・いつまでに・いくら

  • まず何を:親の住まいの地域包括支援センター(または市区町村の介護保険窓口)に相談し、要介護認定の申請を出します。申請は無料、家族が代理でできます。
  • いつまでに:期限はありませんが、結果が出るまで原則30日(実際はそれ以上かかることも)。「そろそろ心配」と思った時点が申請の適期です。認定は申請日にさかのぼって有効になるため、早く出して損はありません。
  • いくら:申請・認定調査・ケアプラン作成はすべて自己負担なし。サービス利用時の自己負担は所得に応じて1〜3割。ひと月の負担にも上限があり、一般的な世帯は月44,400円で頭打ちになります(高額介護サービス費)。
  • 最大のヤマ場は認定調査。本人が「できます」と言ってしまい、実態より軽い判定になるのが最も多いつまずきです。家族の同席とメモで防げます。

※本記事は編集部が厚生労働省・自治体の公表情報をもとに整理したものです(基準日:2026年7月27日)。金額・運用は自治体で異なる部分があるため、最終的にはお住まいの市区町村にご確認ください。

「親が転んで入院した」「同じ話を何度もするようになった」。介護は、ある日いきなり始まります。困るのは、何から手をつければいいのかが誰も教えてくれないことです。介護保険は自分から申請しないと1円も使えない制度で、申請から実際にサービスが始まるまでには1〜2か月かかります。ここでは、はじめての人が迷わないよう、申請から利用開始までを時系列で整理しました。

目次

いつ・何をする?申請から利用開始までのタイムライン

Day 0:地域包括支援センターに相談する

中学校区にひとつ程度の割合で置かれている、高齢者の何でも相談窓口です。無料。「介護保険を使うほどか分からない」という段階でも相談できます。市区町村のサイトで「地域包括支援センター+自治体名」を検索すれば担当エリアがわかります。

Day 1〜7:要介護認定を申請する

市区町村の窓口へ。必要なのは申請書・介護保険被保険者証(65歳以上に交付済み)・マイナンバーがわかるもの・本人確認書類、そしてかかりつけ医の氏名と医療機関名です。主治医意見書は市区町村が直接その医師に依頼するため、事前に「介護保険を申請します」とひと言伝えておくと進みが早くなります。申請は地域包括支援センターやケアマネジャー、入所中の施設に代行してもらうこともできます。

Day 7〜20:認定調査(自宅や病院へ調査員が来る)

市区町村の職員や委託されたケアマネジャーが訪問し、心身の状況を聞き取ります。所要時間はおおむね1時間前後。ここが判定を左右する最重要ポイントです(後述)。並行して、かかりつけ医が主治医意見書を作成します。

Day 20〜30:一次判定・二次判定

調査結果をコンピュータで判定(一次判定)し、その結果と特記事項・主治医意見書をもとに、保健・医療・福祉の専門家で構成される介護認定審査会が最終判定します(二次判定)。

原則30日以内:認定結果が郵送で届く

介護保険法では申請から30日以内に通知することとされていますが、調査員や審査会の日程の都合で延びる自治体も少なくありません。30日を超える見込みのときは「処理見込期間等の通知書」が届きます。結果は非該当/要支援1・2/要介護1〜5のいずれかです。

認定後:ケアプランを作って利用開始

要支援なら地域包括支援センター、要介護なら居宅介護支援事業所のケアマネジャーと契約し、ケアプラン(いつ・どこで・どのサービスを使うか)を作ります。ケアプランの作成費用は全額が介護保険から給付され、利用者の自己負担はありません。サービスの利用開始は、認定結果を待たず暫定ケアプランで前倒しすることもできます。

🏠 申請は市区町村の窓口。地域包括支援センターが代行してくれることも
要介護(要支援)認定の申請先はお住まいの市区町村の介護保険担当窓口です。65歳以上(第1号被保険者)は介護保険の被保険者証が必要になります。地域包括支援センターが申請を代行している場合もあり、本人や家族が窓口へ行けない事情があるときの相談先になります。
※編集部より:「まずどこに聞けばいいのかわからない」段階では、市区町村の窓口より地域包括支援センターのほうが話が早いことが多いです。担当地域が決まっているので、市区町村のサイトで自宅の住所から探せます。

要介護度でいくら使える?区分支給限度基準額

在宅で介護サービス(訪問介護・デイサービス・福祉用具レンタルなど)を使う場合、要介護度ごとにひと月に介護保険を使える上限が決まっています。これを区分支給限度基準額といい、「単位」で示されます。1単位はおおむね10円〜10.7円(地域とサービス種別で異なります)。下の金額は1単位10円で計算した目安で、実際の自己負担はこの1〜3割です。

要介護度 区分支給限度基準額 1単位10円の場合の月額目安 自己負担1割なら
要支援15,032単位約50,320円約5,032円
要支援210,531単位約105,310円約10,531円
要介護116,765単位約167,650円約16,765円
要介護219,705単位約197,050円約19,705円
要介護327,048単位約270,480円約27,048円
要介護430,938単位約309,380円約30,938円
要介護536,217単位約362,170円約36,217円

限度額を超えて使った分は全額自己負担になります。居宅療養管理指導、グループホーム、有料老人ホーム等の特定施設入居者生活介護などは、この限度額の対象外です。出典:堺市「要介護度別・区分支給限度基準額」ほか自治体公表資料。

要介護度が上がるほど、ひと月に使えるサービス量は増えます

要支援15,032単位(約50,320円)要支援210,531単位(約105,310円)要介護116,765単位(約167,650円)要介護219,705単位(約197,050円)要介護327,048単位(約270,480円)要介護430,938単位(約309,380円)要介護536,217単位(約362,170円)

金額は1単位10円で計算した月額の目安です。実際の自己負担はこの1〜3割になります。

自己負担は1割・2割・3割のどれ?

65歳以上の方の負担割合は、前年の所得をもとに市区町村が判定し、毎年8月1日に「介護保険負担割合証」が交付されます。おおまかな目安は次のとおりですが、世帯構成で変わるため、必ず届いた負担割合証の記載を確認してください。

  • 1割:本人の合計所得金額が160万円未満など、下の2つに当てはまらない方
  • 2割:本人の合計所得金額160万円以上で、単身なら年金収入+その他の合計所得金額が280万円以上340万円未満(65歳以上が2人以上の世帯は346万円以上463万円未満)
  • 3割:本人の合計所得金額220万円以上で、単身なら年金収入+その他の合計所得金額が340万円以上(65歳以上が2人以上の世帯は463万円以上)

払いすぎた分は戻る(高額介護サービス費)

ひと月の自己負担合計が下の上限を超えたら、超えた分が申請により払い戻されます。多くの自治体では初回だけ申請すれば、次回以降は自動で振り込まれます。

区分 ひと月の自己負担上限(世帯)
現役並み所得者(年収約1,160万円以上)140,100円
現役並み所得者(約770万〜約1,160万円)93,000円
現役並み所得者(約383万〜約770万円)44,400円
一般世帯(世帯の誰かが住民税課税)44,400円
住民税非課税世帯24,600円
住民税非課税で、前年の合計所得+課税年金収入が年80万円以下の方など24,600円(世帯)/15,000円(個人)

支給限度額を超えて使った超過分、福祉用具購入費・住宅改修費、施設やデイサービスの食費・居住費・日用品費などは、この上限の対象外です。出典:千代田区「高額介護(予防)サービス費」ほか自治体公表資料。

知らないと損する5つのポイント

申請しないともらえない・遅れると損すること

  1. 介護保険は申請しないと使えない。65歳になると被保険者証は自動で届きますが、それはサービスを使える証明ではありません。要介護認定の申請をして初めてスタートします。
  2. 認定は申請日にさかのぼる。結果を待つ間に暫定ケアプランでサービスを使い始めても、認定が下りれば申請日以降の分が保険給付の対象になります(認定された区分の限度額の範囲内)。「結果が出てから」と待つ必要はありません。
  3. 有効期間の更新を忘れると使えなくなる。新規の認定は原則6か月(3〜12か月の範囲で設定)、更新は原則12か月(状態により短縮・延長、最長48か月まで)。満了の60日前から更新申請ができます。切れると全額自己負担になるため、担当ケアマネと期限を共有しておいてください。
  4. 住宅改修と福祉用具購入は「事前申請」が原則。手すりの設置や段差解消などの住宅改修は生涯20万円まで(自己負担1〜3割)が使えますが、着工前に市区町村へ申請していないと支給されません。工事を先にしてしまう失敗が非常に多い項目です。
  5. 40〜64歳でも使える場合がある。末期がん、若年性認知症、脳血管疾患など16の特定疾病が原因であれば、40歳以上65歳未満でも要介護認定を申請できます。「まだ65歳前だから無理」とあきらめないでください。

あなたの場合はこう:状況別の進め方

あなたの状況 まずやること
親と離れて暮らしている申請も認定調査の立ち会いも家族が代理できます。遠方なら、調査日を土日や帰省日に合わせてもらえないか相談を。難しければ、日ごろの困りごとを書いたメモを事前に郵送・持参し、調査員に渡す方法があります。
入院中に介護が必要とわかった病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)が最短ルートです。入院先で認定調査を受けることもできます。退院時期が決まる前に動かないと、退院日にサービスが間に合いません。
本人が「介護は必要ない」と拒む「介護」ではなく「市から健康チェックの案内が来た」「転ばないよう手すりをつける相談」といった入口にすると受け入れられやすい、という声が多く聞かれます。地域包括支援センターはこの説得の相談にも乗ってくれます。
結果が「非該当」または軽すぎた通知から3か月以内に都道府県の介護保険審査会へ審査請求ができます。ただし時間がかかるため、実務では区分変更申請(状態が変わったとして再申請)を選ぶケースが多いです。非該当でも、市区町村の総合事業(介護予防サービス)が使えることがあります。
働きながら介護する育児・介護休業法の介護休業(対象家族1人につき通算93日・3回まで分割可)と、雇用保険の介護休業給付金が使えます。勤務先の人事に早めに相談を。
🩺 主治医意見書があるので、「かかりつけ医」を先に決めておく
認定は、訪問による認定調査と、市区町村が主治医に依頼する主治医意見書をもとに、コンピュータによる一次判定と介護認定審査会による二次判定を経て決まります。かかりつけ医がいない場合は、申請時に市区町村へ相談します。
※編集部より:体験談で多いのが「久しぶりに受診した病院を主治医に指定してしまい、普段の状態が意見書に反映されなかった」というものです。日常の様子を知っている医師を選べるかどうかは、結果に効いてきます。

認定調査で失敗しないために(体験談で多く語られること)

介護家族の記録でもっとも多く語られるのが、認定調査の当日の話です。制度の説明には書かれていない部分なので、編集部の視点で整理しました。事実関係は公式情報で確認していますが、頻度そのものは統計ではなく、体験として多く見られるという位置づけです。

  • 本人が張り切ってしまう。調査員という「よそのお客さん」を前に、普段できないことまで「できます」と答えてしまうのは、ほぼ全員が通る道です。特に認知症のある方では、実態とかけ離れた回答になりがちです。家族が必ず同席してください。
  • 本人の前で否定しづらい。これも定番の悩みです。「別室で補足させてください」と調査員に伝えれば応じてもらえることがほとんど。難しければ、メモを黙って手渡すのが確実です。
  • いちばん効くのは「困りごとメモ」。調査は決められた項目のチェックだけでなく、調査員が書く特記事項が審査会の判断を左右します。「週に何回・どんな場面で・どれくらい手を貸しているか」を具体的に書いたメモが、この特記事項の質を上げます。
  • 「できる/できない」ではなく「日によって違う」を伝える。調子のよい日だけを見て判断されるのを防ぐには、「良い日は自分で歩けるが、週に2〜3回は付き添いが必要」のように頻度で伝えるのが有効です。
  • 主治医意見書で差がつく。普段の様子を知らない医師が書くと、実態より軽い内容になりがちです。受診時に生活の困りごとを伝えておく、あるいは家族が経過をメモにして渡しておく、という工夫が語られています。
  • ケアマネジャーは変えられる。相性は必ずあります。合わないと感じたら、事業所または地域包括支援センターに相談して変更できます。我慢し続けて共倒れになるケースが最も避けたい結末です。

調査前に用意しておくと良いもの

  • 直近1か月の困りごとメモ(日付・場面・手を貸した内容・頻度)
  • 服薬リスト(お薬手帳のコピーで可)と、飲み忘れの有無
  • 転倒・失禁・徘徊・物忘れなど、回数がわかる記録
  • すでに使っている福祉用具、住宅の段差や手すりの状況
  • 介護している家族の勤務状況(どこまで手を出せるか)

相場観と編集部の考え:どこまで頼るのが「ふつう」か

介護の相談では、事業者側から手厚いプランを提案されることがあります。それ自体は善意であることが多いのですが、判断の軸を家族側が持っていないと、限度額いっぱいまで積み上がった見積もりを前に「これが標準なのだろう」と受け入れてしまいがちです。ひとつの目安として、次のような考え方があります。

堅実に始めたい人は、ここまで

  • まずはデイサービス週1〜2回+福祉用具レンタルから。要介護1で自己負担1割なら、月数千円台に収まることも珍しくありません
  • 手すり・段差解消などの住宅改修(生涯20万円枠)を早めに使う。転倒を1回防ぐ効果が最も大きい投資です
  • 限度額の7割程度を目安にしておくと、状態が悪化したときに増やす余地が残ります

介護する側を守りたい人は、ここまで

  • ショートステイを定期的に組み込む。介護者が倒れると在宅介護は終わります。「限界が来たら使う」ではなく最初から予定に入れておく
  • 訪問介護の回数を増やし、家族は「見守りと意思決定」に役割を絞る
  • 高額介護サービス費の上限(一般世帯は月44,400円)まで使い切っても、それ以上は戻ってくると知っておく

編集部の立場:「家族が頑張るほど良い介護」という考え方は、統計的にも経験的にも共倒れにつながりやすいものです。一方で、サービスを増やせば増やすほど良いわけでもありません。判断の基準は「本人が自分でできることを奪っていないか」と「介護する人の生活が続けられるか」の2つ。この2つで測ると、必要な量はおのずと決まります。押し付けるつもりはありませんが、迷ったときの物差しとして持っておく価値はあると考えます。

📋 事業所探しは、公的な検索システムから始められる
ケアプランを作るケアマネジャーや、通所・訪問などの事業所は、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」で地域ごとに検索できます。運営情報や職員体制も公開されています。
※編集部より:事業所選びは地域包括支援センターやケアマネジャーからの紹介が入り口になりますが、紹介=唯一の選択肢ではありません。合わないと感じたらケアマネジャーは変更できます。この「変えていい」を知らないまま我慢し続けた、という話は体験談で本当によく出てきます。

よくある質問(FAQ)

要介護認定の申請にお金はかかりますか?

かかりません。申請、認定調査、主治医意見書の作成、認定結果の通知まですべて無料です。認定後のケアプラン作成も全額が介護保険から給付されるため、利用者の自己負担はありません。費用が発生するのは、実際にサービスを使ったときの1〜3割の自己負担からです。

結果が出るまでサービスは使えませんか?

使えます。認定は申請日にさかのぼって有効になるため、ケアマネジャーが作る「暫定ケアプラン」でサービスを先行して開始できます。ただし、想定より軽い区分で認定されると限度額を超えた分が自己負担になるため、開始前にケアマネジャーとリスクを確認してください。

親が離れた市に住んでいます。どこに申請しますか?

介護保険は住民票のある市区町村が保険者です。親の住所地の窓口に申請します。家族が代理で申請でき、地域包括支援センターに代行してもらうこともできます。なお、親を呼び寄せて同居する場合は住所変更の手続きが必要で、認定は転入先に引き継げます(原則14日以内の届出が必要です)。

認定結果に納得できません。やり直せますか?

2つの方法があります。ひとつは都道府県の介護保険審査会への審査請求で、処分を知った日の翌日から3か月以内が期限です。もうひとつは区分変更申請で、心身の状態が変わったとして再度調査を受けるものです。結果が出るまでの早さから、実務では区分変更申請が選ばれることが多くなっています。

65歳未満でも介護保険は使えますか?

40歳以上65歳未満の方は、末期がん・若年性認知症・脳血管疾患・関節リウマチなど、国が定めた16の特定疾病が原因で介護が必要になった場合に限り、要介護認定を申請できます。対象疾病かどうかは市区町村の窓口で確認できます。

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出典・参考(公式)

基準日:2026年7月27日。単位数・負担割合・上限額は制度改正で変わることがあり、運用の細部は自治体で異なります。本記事は編集部が上記の公式資料をもとに整理したもので、専門家の監修を受けたものではありません。個別の判断は、お住まいの市区町村の介護保険窓口または地域包括支援センターにご確認ください。

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この記事を書いた人

みんなのミカタナビ編集部です。運営者・たくの編集方針のもと、相続・出産・退職・補助金など「知らないと損する手続きとお金」を、公的機関の一次情報と体験談の取材をもとに時系列で整理しています。数値・期限は必ず公式情報で裏取りし、出典を明記します。

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