結論の要点|まず何を・いつまでに・いくら
- 何を:動画の「用途」で申請する費目が変わる。自社サイト・ECサイトで使う動画はウェブサイト関連費、SNS広告やネット広告として出す動画は広報費。
- いくら:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回では、広報費・ウェブサイト関連費とも補助金交付申請額の上限は各30万円(税込)。補助率2/3、補助上限50万円(特例併用で最大250万円)。
- いつまでに:第20回は2026年12月15日(火)17:00締切。ただし事業支援計画書(様式4)の発行受付は12月4日(金)までで、締切後の発行依頼は一切できない。
- 対象外:求人広告・採用動画は補助対象外(公募要領に「単なる会社の営業活動に活用されるもの」として明記)。有料配信する動画・有料講座用の動画も対象外。
本記事にはプロモーション(アフィリエイト広告)が含まれます。紹介する順序や評価は、公的機関の一次情報および各社の公式情報をもとに編集部が独自に判断しており、広告の有無で内容を変えていません。
動画制作に補助金を使いたいと調べ始めると、「持続化補助金が使える」「IT導入補助金が使える」といった制度名の一覧にたどり着きます。ただ実務でつまずくのは制度選びより手前、その動画を何に使うのかによって、申請する費目も上限も、そもそも対象になるかどうかも変わるという点です。この記事は小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回の公募要領(第8版)を軸に、用途ごとの分岐を整理します。
用途別の早見表
| 動画の用途 | 申請する費目 | 費目上限 | 判定のポイント |
|---|---|---|---|
| 自社ホームページ・ECサイトに載せる商品紹介動画 | ウェブサイト関連費 | 30万円(税込) | 「ウェブサイトに掲載する商品・サービスを販売するための画像や動画作成費用」に該当 |
| SNS広告・インターネット広告として配信する動画 | 広報費 | 30万円(税込) | 「商品・サービスの宣伝のための画像や動画作成」「SNS広告、運用代行費」に該当 |
| 街頭ビジョン・デジタルサイネージで流す動画 | 広報費 | 30万円(税込) | 掲載費も広報費。ただし補助事業期間外の掲載分は対象外 |
| 展示会ブースで流す動画+展示会そのものの出展 | 動画は広報費/出展料は展示会等出展費 | 広報費30万円/出展費は費目上限なし | 出展料・運搬費・通訳料・翻訳料は展示会等出展費。申込みだけは交付決定前でも可 |
| 採用動画・求人動画 | 対象外 | — | 「求人広告」は対象とならない経費例に明記。会社PRのみの動画も同じく対象外 |
| 有料配信する動画・有料講座の教材動画 | 対象外 | — | ウェブサイト関連費の「対象とならない経費例」に明記 |
この表でいちばん重要なのは最後の2行です。採用動画と有料配信用の動画は、金額の多寡にかかわらず持続化補助金の対象になりません。「動画に使える補助金」を紹介する記事の多くは制度名の列挙で終わっており、ここが抜けたまま制作会社に相談してしまうケースが起きています。
費目ごとに証憑を分けて残すと実績報告が早い
動画制作費は「広報費」と「ウェブサイト関連費」で上限が別に管理されます。制作会社への支払いを1本の請求書にまとめると按分の説明を求められることがあるため、費目ごとに見積・請求・支払の証憑を分けて保存してください。会計ソフト側で補助金分の勘定科目を分けておくと、実績報告と決算の両方で手戻りが減ります。
▶ ▶ 補助金の会計処理と圧縮記帳をわかりやすく解説【2026年版】
▶ ▶ 補助金の見積書と相見積の取り方【2026年版】
第20回の申請スケジュール
第20回公募|締切から逆算したスケジュール
損しないポイント
損しないポイント|ここを外すと丸ごと対象外になる
- 交付決定日より前に発注・契約・支払いをしない。採択通知だけでは着手できない。動画制作は制作会社の枠取りのために早く発注したくなるが、ここが最も多い失敗。展示会の「出展申込み」だけは交付決定前でも可(ただし請求書の発行日が交付決定日以後であること)。
- 広報費・ウェブサイト関連費は単独では申請できない。どちらも「他の経費と一緒に申請」が要件。動画だけの計画は受け付けられない。
- 様式4は12月4日締切。申請締切(12月15日)と混同すると詰む。商工会・商工会議所の窓口は混み合うため、11月中の相談を推奨。
- 1件50万円超(税込)の発注は2者以上の相見積が必須。動画制作は50万円を超えやすい価格帯なので、見積は最初から2社に依頼しておく。
- 50万円(税抜)以上でサイト・システムを作ると処分制限財産になる(通常5年間)。補助事業目的外での使用・譲渡・廃棄には事前承認が必要。
- 補助事業期間内に「公開」まで終える。ホームページを作っても期間内に公開して販路開拓の取組を行っていない場合は対象外。動画も納品だけでは足りない。
費目ごとに証憑を分けて残すと実績報告が早い
動画制作費は「広報費」と「ウェブサイト関連費」で上限が別に管理されます。制作会社への支払いを1本の請求書にまとめると按分の説明を求められることがあるため、費目ごとに見積・請求・支払の証憑を分けて保存してください。会計ソフト側で補助金分の勘定科目を分けておくと、実績報告と決算の両方で手戻りが減ります。
▶ ▶ 補助金の会計処理と圧縮記帳をわかりやすく解説【2026年版】
▶ ▶ 補助金の見積書と相見積の取り方【2026年版】
あなたの場合はこう|用途別の分岐
① 商品を売るための動画をSNS広告で回したい
広報費で申請します。公募要領の広報費の対象例に「商品・サービスの宣伝のための画像や動画作成」「SNS広告、運用代行費」が明記されています。制作費と広告出稿費の両方を広報費に載せられますが、費目の上限は合わせて30万円(税込)です。制作に30万円使うと出稿費は載せられない、という配分の判断が要ります。
② 自社サイト・ECサイトに載せる商品紹介動画を作りたい
ウェブサイト関連費です。公募要領の広報費の欄に「自社ホームページや、ECサイトにて使用する動画や写真の制作費用等については、③ウェブサイト関連費にて計上してください」と明示されています。同じ動画でも、置き場所が自社サイトなら費目が変わるという点が実務上いちばん間違えやすいところです。
③ 展示会に出展して、ブースで動画を流したい
出展料・運搬費・通訳料・翻訳料は展示会等出展費(費目上限なし)、ブースで流す動画の制作費は広報費(上限30万円)に分けます。展示会等出展費は国から出展料の一部助成を受けている展示会は対象外である点に注意してください。
④ 採用・求人のための動画を作りたい
持続化補助金では対象外です。公募要領の広報費の「対象とならない経費例」に「商品・サービスの宣伝広告を目的としない広告・看板・会社案内パンフレット作成・求人広告(単なる会社の営業活動に活用されるものとして対象外)」と書かれています。採用目的の動画を持続化補助金で通そうとするより、自治体の雇用・職場環境系の助成金や、厚生労働省系の人材確保の助成金を当たるほうが筋が良い判断になります(制度ごとに要件が大きく異なるため、必ず各制度の公式窓口で確認してください)。
⑤ デジタル化・AI導入補助金で動画制作を頼みたい
デジタル化・AI導入補助金2026(旧・IT導入補助金)の通常枠で補助対象になるのはソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)とオプション・役務で、ITツールとして登録されたソフトウェアの導入が必須です。動画の「制作費」そのものは対象になりません。動画編集ソフトの導入なら射程に入りますが、汎用プロセスのみの申請は不可という要件があるため、業務プロセスを持つソフトウェアと組み合わせる必要があります。通常枠4次締切は2026年8月25日(火)17:00です。
現場で起きること|制作会社との間で詰まりやすい3点
1. 見積書の内訳が「動画制作一式」だと通らない。公募要領は「見積金額に複数の項目が含まれる場合は、その内訳を示してください」「支出内容が不明確なものは認められません」としています。企画・撮影・編集・ナレーション・BGM使用料などに分けた見積を最初から依頼しておくと、交付決定前のやり直しが減ります。
2. 動画に使う商品や小道具の購入費は対象外。広報費・ウェブサイト関連費の対象外例に「画像等における被写体や商品(紹介物等を含む)の購入に係る費用」が入っています。撮影のために仕入れた商品代を経費に載せる想定でいると、その分だけ減額されます。
3. 「広告を出した証拠」を後から取れない。公募要領は電子商取引について、発注日が確認できる取引画面・請求額が判明する書類・広告が確認できるインターネット画面が取得できない場合は補助対象外になると明記しています。SNS広告は配信終了後に管理画面のキャプチャが取りにくくなるため、配信中に必ずスクリーンショットを残すのが実務の鉄則です。
発注する前に、見積書の形を確認しておく
補助金の見積書は金額の妥当性だけでなく、費目・数量・単価の書き方でも差し戻されます。動画の場合は「企画」「撮影」「編集」を一式で書かれることが多く、費目の切り分けができない見積書は通りません。発注前に制作会社へ内訳の粒度を指定しておくと、あとから取り直す手間がなくなります。
▶ ▶ 補助金の見積書と相見積の取り方【2026年版】
▶ ▶ 撮影機材・カメラの購入は補助金の対象になるか【2026年版】
編集部の価値判断|動画にいくらかけるか
動画制作は上を見ればきりがない領域で、制作会社は当然に上位プランを勧めます。判断の物差しとして、補助金の設計そのものが示している上限が参考になります。広報費もウェブサイト関連費も、費目ごとの補助金交付申請額の上限は30万円(税込)。補助率2/3で逆算すると、この枠を使い切る事業費は45万円です。
その前提で、価値観別の目安を判断材料として置いておきます。押し付けるものではありません。
堅実に済ませたい人はここまで
商品紹介動画1本(30〜60秒)+SNS用の縦型リサイズ数本で、事業費30〜45万円。補助金の費目上限にちょうど収まり、自己負担は10〜15万円。まず1本作って反応を見る、という使い方に向きます。
こだわりたい人はここまで
ロケ撮影・出演者手配・複数パターンのA/Bテスト用素材まで含めると事業費80〜150万円。費目上限30万円を超えた分は全額自己負担になるため、超過分を自社で出す覚悟があるかが分かれ目です。動画を主戦場にすると決めた事業者向け。
迷ったときの判断軸:補助金は「やろうと決めていたことの後押し」であって、補助金があるから動画を作る、という順番になっていないか。公募要領も「事業者自らが検討しているような記載が見られない場合」は不採択・交付決定取消と明記しています。
支払いと資金繰りを先に決めておく
補助金は制作費を支払い終えたあとの精算払いです。交付決定から入金までの立て替え期間をどうつなぐかを、発注前に決めておくと安全です。経費の一元管理と、入金待ちのつなぎ資金の両面から見直してください。
▶ ▶ 法人カードおすすめ比較【2026年版】
▶ ▶ ファクタリングとは?仕組み・手数料相場・会社の選び方【2026年版】
費目ごとに証憑を分けて残すと実績報告が早い
動画制作費は「広報費」と「ウェブサイト関連費」で上限が別に管理されます。制作会社への支払いを1本の請求書にまとめると按分の説明を求められることがあるため、費目ごとに見積・請求・支払の証憑を分けて保存してください。会計ソフト側で補助金分の勘定科目を分けておくと、実績報告と決算の両方で手戻りが減ります。
▶ ▶ 補助金の会計処理と圧縮記帳をわかりやすく解説【2026年版】
▶ ▶ 補助金の見積書と相見積の取り方【2026年版】
よくある質問
SNS広告用の動画制作費はどの費目で申請しますか?
広報費です。公募要領の広報費の対象となる経費例に「商品・サービスの宣伝のための画像や動画作成」「SNS広告、運用代行費」が挙げられています。ただし同じ動画でも自社ホームページやECサイトに掲載するものはウェブサイト関連費に計上するよう指示されています。
採用動画・求人動画は補助対象になりますか?
小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>では対象外です。公募要領の広報費の対象とならない経費例に「求人広告(単なる会社の営業活動に活用されるものとして対象外)」と明記されています。この補助金の目的が「販路開拓等の取組」の支援であるためです。
動画制作費だけで申請できますか?
できません。広報費・ウェブサイト関連費はいずれも「当該費目のみによる申請はできません。必ず、ほかの経費と一緒に申請してください」と公募要領に定められています。機械装置等費や展示会等出展費など、他の費目と組み合わせた事業計画が必要です。
デジタル化・AI導入補助金で動画を作ってもらえますか?
動画の制作費そのものは対象になりません。デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠で補助対象となるのはソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)と、機能拡張・データ連携・セキュリティのオプション、および導入コンサルティングや導入設定などの役務です。ITツールとして登録されたソフトウェアの導入が前提となります。
採択が決まる前に動画制作を発注してもいいですか?
いけません。補助対象となるのは交付決定日以降に発注・契約・支出したものに限られ、交付決定日前に行われた発注・契約・支出行為は補助対象外です。採択通知書だけでは補助事業を始められない点にも注意が必要です。例外は展示会等への出展申込みのみで、その場合も請求書の発行が交付決定日以後である必要があります。
あわせて読みたい
出典・基準日
本記事は2026年8月2日時点で公開されている公的情報にもとづいています。制度は改定されるため、申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。
- 小規模事業者持続化補助金事務局「小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募 公募要領(第8版・2026年7月21日)」
- 商工会地区 小規模事業者持続化補助金事務局 https://official.jizokukanb.com/
- 中小企業庁「小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>(第20回)の公募要領を公開しました」(2026年5月27日)
- デジタル化・AI導入補助金2026「通常枠」 https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/normal/
