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産休・育休中の社会保険料はいつ免除されるのか【2026年版】

出産と育児で仕事を休むあいだ、給与は止まるのに社会保険料だけは引かれ続けるのではないか——そう心配して調べ始める人がとても多い制度です。結論から言えば、産前産後休業(産休)も育児休業(育休)も、健康保険料と厚生年金保険料は本人負担分と会社負担分の両方が免除されます。ただし「いつの月が免除になるか」は休みに入る日と復帰する日で変わり、賞与だけは別のルールが動きます。この記事では、免除の始まりと終わり、月末在籍と14日ルール、賞与の落とし穴、そして手続きでつまずきやすい点を、日本年金機構の公表内容に沿って整理します。

結論の要点
  • 産休・育休中は健康保険料と厚生年金保険料が労使とも免除。手取りから引かれない。
  • 免除された期間も、将来の年金額の計算では保険料を納めた期間として扱われる。
  • 産休の免除期間は、出産予定日以前42日(多胎は98日)から出産後56日までのうち休んだ期間。
  • 育休はその月の末日に育休中なら当月分が免除。同じ月に始まって終わる場合は14日以上で免除。
  • 賞与の保険料は、支給月の末日を含む連続1か月超の育休でなければ免除されない。
  • 手続きは会社が年金事務所へ申出書を出す。本人が役所へ行く手続きではない。
  • 住民税は免除の対象外。前年の所得に対する課税なので、休業中も納付が必要。
基準日:2026年8月12日/出典:日本年金機構「厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)」
目次

免除されるのは何の保険料で、誰の負担分か

免除の対象は健康保険料と厚生年金保険料(40歳以上の場合は介護保険料も)です。日本年金機構は、事業主が年金事務所へ申し出ることにより「被保険者・事業主の両方の負担が免除される」と明記しています。つまり従業員の給与から天引きされないだけでなく、会社が払う分も同時に消えます。会社側にも金銭的なメリットがあるため、申出を渋られる理由は本来ありません。

一方で、免除されないものもあります。雇用保険料は「給与に料率をかけて計算する」仕組みなので、給与の支払いがなければそもそも発生しませんが、休業中に会社から一部でも賃金が出れば、その分には雇用保険料がかかります。住民税は前年の所得に対する後払いの税金なので、休業中でも納付義務が残ります。給与天引きができないため、会社が立て替えて後日精算するか、自分で納付書を使って納めるかを、休みに入る前に決めておく必要があります。

項目産休・育休中の扱い支払いの相手
健康保険料免除(本人分・会社分とも)健康保険組合・協会けんぽ
厚生年金保険料免除(本人分・会社分とも)日本年金機構
介護保険料(40歳以上)健康保険料と同時に免除健康保険組合・協会けんぽ
雇用保険料免除制度はない(無給なら発生しない)労働局
住民税免除されない(納付が必要)市区町村

いつからいつまで免除されるのか(産休・育休の時系列)

産休の免除対象は、出産日(出産が予定日より後になったときは出産予定日)以前42日、多胎妊娠なら98日から、出産日後56日までの間で、妊娠・出産を理由に働かなかった期間です。育休の免除対象は、育児・介護休業法にもとづく満3歳未満の子を養育するための休業期間です。育児休業給付の対象が原則1歳(延長で最長2歳)までなのに対し、保険料免除は3歳未満まで射程が広い点は見落とされがちです。

産休から育休復帰までの流れ
出産予定日の42日前(多胎は98日前)
産前休業を開始できる。会社が「産前産後休業取得者申出書」を年金事務所へ提出し、開始月から保険料が免除になる。
出産日
予定日とずれた場合は会社が変更届を出す。免除期間も実際の出産日を基準に取り直される。
出産日の翌日から56日
産後休業。ここまでが産休の免除区間。産後8週間は原則就業できない期間にあたる。
産後57日目〜
育児休業へ切り替わる。会社が改めて「育児休業等取得者申出書」を提出する。産休の申出だけでは育休分は免除されない。
育休中の各月末
末日に育休中であればその月の保険料が免除。育休を延長したときは会社が延長の申出をやり直す。
復帰月
育休終了日の翌日が属する月の前月分まで免除。復帰月からは保険料の天引きが再開する。時短勤務で給与が下がったら「育児休業等終了時報酬月額変更届」で標準報酬月額を下げられる。

覚え方としては「終了日の翌日が属する月の前月まで」です。8月20日に復帰するなら7月分までが免除、8月分からは天引きが戻ります。逆に8月31日まで育休を取れば8月分も免除になるため、月末をまたぐかどうかで1か月分の負担が変わります。

月末在籍と14日ルール:同じ日数でも結果が変わる

育休の保険料免除には2つの入口があります。ひとつはその月の末日に育休を取得していること。もうひとつは、育休の開始月と終了日の翌日が属する月が同じ場合に、その月の育休日数が14日以上あることです。後者は2022年10月の制度改正で加わったもので、それ以前は「月末だけ」が条件でした。短期間の育休を取りやすくするための改正ですが、境目に当たると1日違いで結果が変わります。

育休の取り方(例)月末に育休中か同月内の育休日数その月の保険料
10月20日〜翌3月31日はい—免除
10月1日〜10月14日いいえ14日免除(14日ルール)
10月1日〜10月13日いいえ13日免除にならない
10月25日〜11月5日10月は末日も育休中—10月分は免除/11月分は対象外
10月31日の1日だけはい1日免除(月末在籍で足りる)
※14日の数え方には就業日を除くなどの細かい取り扱いがあります。境目のケースは会社の担当者か年金事務所へ事前確認してください。

実務上の意味は明確です。短期の育休をどう置くかで、免除される月数が変わるということ。1か月に満たない育休を検討しているなら、月末を含める形にするか、同じ月のなかで14日以上まとめて取る形にするかで、負担が1か月分違ってきます。

免除される月あたりの目安(本人負担分)
標準報酬月額(円) 220,000300,000410,000500,000 約31,100円 約42,500円 約58,000円 約70,800円 試算条件:厚生年金保険料率18.3%・健康保険料率10.0%(いずれも労使折半)で計算した概算。介護保険料は含まない。実際の健康保険料率は加入する健保組合・支部と年度により異なる。

標準報酬月額30万円の人が12か月の育休を取れば、本人負担分だけで年50万円前後、会社負担分を合わせると年100万円規模が免除される計算になります。しかも、この期間は年金額の計算では保険料を納めた期間として扱われるため、将来の年金が目減りすることもありません。制度としてはかなり手厚い部類です。

賞与の保険料だけはルールが違う

ここが最も誤解の多いところです。毎月の給与にかかる保険料と、賞与にかかる保険料(賞与から引かれる健康保険料・厚生年金保険料)は、免除の条件が別々に定められています。2022年10月より前は「賞与支給月の末日に育休中なら免除」でしたが、改正後は賞与支給月の末日を含む連続1か月を超える育休を取っている場合に限られます。月末の数日だけ育休を取って賞与の保険料を浮かせる、という取り方は現在は通用しません。

毎月の給与にかかる保険料
月末に育休中なら当月分が免除。
同一月内で完結する育休は14日以上で免除。
1日だけの月末育休でも当月分は免除になる。
賞与にかかる保険料
支給月の末日を含む連続1か月超の育休が必要。
14日ルールは適用されない。
月末だけの短期育休では免除されない。

たとえば賞与が12月10日に支給され、12月20日〜12月31日の育休を取った場合、12月の給与にかかる保険料は免除されますが、賞与の保険料は免除されません。12月20日から翌1月21日まで続けて取れば、末日を含む連続1か月超になるため賞与分も免除の対象になります。賞与月に育休を重ねる予定があるなら、末日をまたいで1か月を超えるかどうかを必ず確認してください。

損しないための5つのポイント

損しないポイント
  1. 復帰日は月初にする。前月末まで育休が続いていれば前月分まで免除。月末の1日を削っただけで1か月分の負担が発生する。
  2. 賞与月は「末日を含む連続1か月超」。給与の免除条件で判断すると賞与分を取りこぼす。
  3. 産休の申出と育休の申出は別。産休の届出だけで育休分まで自動的に免除されるわけではない。
  4. 時短で復帰したら標準報酬月額の見直しを申し出る。育児休業等終了時報酬月額変更届で、実際の給与に見合った保険料に下げられる。
  5. 3歳未満の子を育てる期間は「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」も併せて申請する。標準報酬月額が下がっても、年金額の計算だけは休業前の高い額で扱ってもらえる。

5番目の「みなし措置」は特に取りこぼしが多い制度です。時短勤務で保険料は安くなるが将来の年金は減らしたくない、という要望にそのまま応えるもので、申出をしなければ適用されません。会社の担当者が知らないケースもあるため、復帰の面談時に自分から名前を出して確認するのが確実です。

手続きの流れと、現場でつまずきやすい点

免除は自動では始まりません。日本年金機構は、産休・育休いずれについても「事業主が年金事務所に申し出ることにより」免除されると説明しています。本人が市区町村や年金事務所へ出向く手続きではなく、会社の総務・人事が申出書を出すのが原則です。裏を返すと、会社が出し忘れれば免除されないまま保険料が引かれ続けます。

手続きの5ステップ
1. 会社へ産休・育休の取得を申し出る
開始日と終了予定日を書面で伝える。免除期間はこの日付で決まるので、月末をまたぐかを意識して決める。
2. 会社が産前産後休業取得者申出書を提出する
提出先は日本年金機構の事務センターまたは年金事務所。産休期間中に申し出る必要がある。
3. 出産日が予定とずれたら変更届を出してもらう
早産・遅産のいずれでも免除期間が動く。届出を怠ると免除月数がずれたままになる。
4. 産休終了後、育児休業等取得者申出書を改めて提出してもらう
産休の届出とは別の様式。育休を延長したときも、そのつど申出をやり直す。
5. 復帰後、給与明細と標準報酬月額を確認する
免除されるはずの月に保険料が引かれていないか、復帰後の保険料が実際の給与に見合っているかを点検する。

相談現場でよく挙がるつまずき方を、公的機関が公表している制度上の取り扱いに沿って編集部で整理すると、次の4つに集約されます。個別の体験談ではなく、制度の構造上どうしても起きる型として読んでください。

イレギュラー・現場対応
  • 産休の届出だけで安心してしまう型:産休が終わって育休に移った月から保険料が復活する。給与明細で控除欄を確認し、引かれていたら会社に育休の申出書の提出状況を尋ねる。
  • 出産が予定日より早まった型:産前休業の起算日が実際の出産日基準に変わるため、変更届が必要になる。会社に「産前産後休業取得者変更届」を出してもらう。
  • 予定より早く育休を切り上げた型:終了日が変われば免除の最終月も変わる。終了届を出さないと過大に免除されたままになり、あとから遡って徴収される。
  • 退職が絡む型:育休中に退職すると、その時点で被保険者の資格を失うため免除も終わる。退職日と月末の関係で最終月の保険料が発生することがある。

相場観と、編集部としての価値判断

金額の相場観をつかんでおくと、手続きの優先順位を決めやすくなります。標準報酬月額30万円のケースで、産休(およそ98日)と1年間の育休を続けて取ると、本人負担分だけでおおむね55万〜60万円、会社負担分を含めれば110万〜120万円が免除されます。これは育児休業給付とは別枠の話で、給付が「入ってくるお金」なら免除は「出ていかないお金」です。手取りの体感に直結するのは、むしろ後者だという声も少なくありません。

編集部の判断としては、この制度で最も注意を払うべきは金額の大きさより「届出漏れ」のリスクだと考えています。免除の可否は本人の努力ではなく、会社が期限内に正しい様式を出したかどうかで決まるからです。とくに従業員数の少ない事業所や、産休・育休の取得実績が乏しい職場では、産休の届出は出したが育休の届出を失念していた、延長時の申出をやり直していなかった、といった事故が起こり得ます。給与明細の社会保険料欄を毎月確認する、という地味な作業が最も費用対効果の高い自衛策です。

もうひとつ、月末をめぐる調整については冷静さも必要です。復帰日を月初にずらせば1か月分の保険料が浮きますが、その分だけ職場復帰が遅れ、保育園の入園日や配属の都合と噛み合わないこともあります。数万円の差額と、復帰後の働きやすさを天秤にかけて決めるべき問題で、金額だけで判断することは勧めません。

よくある質問

免除された期間は将来の年金が減りますか

減りません。日本年金機構は、産前産後休業・育児休業のいずれについても「この免除期間は、将来、被保険者の年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われます」と明記しています。保険料を払っていないのに払ったものとして年金額に反映される、という点でかなり手厚い扱いです。

自分で年金事務所に申請しなくてよいのですか

会社(事業主)が申出書を提出する仕組みです。本人が直接手続きする制度ではありません。ただし会社が提出しなければ免除は始まらないため、休みに入る前に「産前産後休業取得者申出書と育児休業等取得者申出書を出してもらえますか」と具体的な様式名で確認しておくと確実です。

父親が短期間だけ育休を取る場合も免除されますか

されます。育休は性別を問わない制度で、出生時育児休業(産後パパ育休)を含めて保険料免除の対象になります。短期の場合は、月末を含めるか、同じ月のなかで14日以上取得するかのいずれかを満たす必要があります。賞与の保険料まで免除したい場合は、支給月の末日を含む連続1か月超が条件です。

国民年金の第1号被保険者やフリーランスにも免除はありますか

厚生年金の産休・育休免除とは別に、国民年金には「産前産後期間の保険料免除制度」があります。出産予定日または出産日の属する月の前月から4か月間(多胎妊娠は3か月前から6か月間)の国民年金保険料が免除され、この期間も保険料納付済期間として扱われます。育児期間についての同様の免除は、国民年金では制度化されていません。

育休中に住民税の納付書が届きました。これも免除できますか

住民税は社会保険料免除の対象外です。前年の所得に対して課税される仕組みのため、休業して収入が下がっている年でも前年分の納付義務が残ります。給与天引き(特別徴収)ができなくなる場合、会社が一括徴収するか、自分で納付書を使って納める(普通徴収)かのいずれかになります。納期限に間に合わないときは、市区町村の納税課で分割納付の相談ができます。

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あわせて確認したい手続き

出典・確認先(2026年8月12日時点)
保険料率や取り扱いは改定されることがあります。実際の判断は勤務先の担当部署または管轄の年金事務所でご確認ください。本記事は制度の一般的な説明であり、個別の労務・税務判断を行うものではありません。
手続きの窓口

保険料免除の申出は勤務先を通じて行います。会社の対応に不安があるときや、免除されるはずの月に保険料が引かれていたときは、日本年金機構の年金事務所(相談・手続き窓口)に直接確認できます。国民年金の産前産後期間の免除は、お住まいの市区町村の国民年金窓口が受付先です。

読み終えたら、次に手を動かすこと

免除される期間が分かったら、次は減った手取りに合わせて毎月の固定費を下げる番です。手続きが1回で済むものから順に片付けると、負担の大きさが変わってきます。

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この記事を書いた人

みんなのミカタナビ編集部です。運営者・たくの編集方針のもと、相続・出産・退職・補助金など「知らないと損する手続きとお金」を、公的機関の一次情報と体験談の取材をもとに時系列で整理しています。数値・期限は必ず公式情報で裏取りし、出典を明記します。

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