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不妊治療の保険適用【2026年版】43歳未満・胚移植は6回か3回|数えるのは採卵ではありません。先進医療10技術と高額療養費の合わせ方

日本の住宅のダイニングテーブルに置かれた無地の卓上カレンダーと手帳。不妊治療の保険適用を解説する記事のアイキャッチ

この記事の結論

  • 2022年4月から、タイミング法・人工授精(一般不妊治療)と体外受精・顕微授精(生殖補助医療)が保険適用になり、自己負担は原則3割です。
  • 体外受精・顕微授精には条件があります。治療開始日に女性が43歳未満であること。回数は初めての胚移植の治療計画を作成した日の年齢で決まり、40歳未満なら1子ごとに6回、40歳以上43歳未満なら3回までです。
  • 一般不妊治療(タイミング法・人工授精)に年齢制限・回数制限はありません。ここを混同して「もう年齢的に無理」と諦めてしまう例があります。
  • 保険と併用できる「先進医療」は2026年4月1日時点で10技術。これらは自費ですが、民間保険の先進医療特約の対象になり得ます。

基準日:2026年8月27日/出典:こども家庭庁「みんなで知ろう、不妊症不育症のこと」

不妊治療の保険適用は、制度そのものより「自分がどの枠に入るのか」の判定でつまずく人が多い分野です。年齢の基準日が2つあり、回数の数え方が「採卵の回数」ではないこと。この2点を取り違えると、想定より早く保険の枠を使い切ってしまいます。この記事では、こども家庭庁が公表している条件をもとに、判定の順番を整理します。

目次

前提|不妊治療は「特別なこと」ではなくなっている

不妊の検査・治療の経験がある夫婦

22.7%

約4.4組に1組

不妊を心配したことがある夫婦

39.2%

約2.6組に1組

生殖補助医療で生まれた子(2022年)

77,206人

およそ10人に1人

出典は国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」(2021年)、日本産科婦人科学会「ARTデータブック(2022年)」および厚生労働省「令和4年人口動態統計(確定数)」です。数字が示すのは、これが誰にでも起こりうる選択肢だということです。

保険が使える治療と、年齢・回数の条件

区分 主な治療 年齢制限 回数制限
一般不妊治療 タイミング法、人工授精 なし なし
生殖補助医療 体外受精、顕微授精(採卵・採精から胚移植まで) 治療開始日に女性が43歳未満 40歳未満:1子ごと胚移植6回
40歳以上43歳未満:1子ごと3回
男性不妊治療 精巣内精子採取術(TESE)などの手術 — —

出典:こども家庭庁「不妊のこと DICTIONARY/保険適用について」(2026年8月27日確認)

つまずきやすい「2つの基準日」|年齢はいつの年齢か

生殖補助医療の条件には、性質の違う基準日が2つあります。ここを整理しておくと、判定はほとんど間違えません。

年齢と回数の判定フロー

  1. 基準日① 生殖補助医療の「開始日」の年齢 → 保険が使えるかどうか
    この日に女性が43歳未満であれば保険適用の対象です。43歳になってから始める治療は対象外になります。
  2. 基準日② 「初めての胚移植の治療計画を作成した日」の年齢 → 何回使えるか
    この日に40歳未満なら1子ごとに胚移植6回まで、40歳以上43歳未満なら3回まで。以後、誕生日が来ても回数の上限は変わりません。
  3. 数えるのは「採卵」ではなく「胚移植」の回数
    採卵を何度行っても、回数としてカウントされるのは胚移植です。採卵1回から複数の胚が得られれば、その分だけ移植の機会が生まれます。
  4. 上限は「1子ごと」にリセットされる
    第1子を出産したあと第2子を望む場合、回数の上限は改めて数え直します。ただし年齢の条件(43歳未満)は再び満たす必要があります。

出典:こども家庭庁「保険適用について」(2026年8月27日確認)

「43歳の誕生日直前に治療計画を立てておけば続けられる」という説明を見かけますが、これは治療計画を作成していれば、その計画に基づく採卵から胚移植・妊娠判定までは継続して保険が使えるという運用を指しています。ただし個別の可否は医療機関の判断と保険者の取り扱いによるため、必ず主治医に確認してください。年齢の節目が近い方は、受診のタイミング自体が判断材料になります。

先進医療の10技術|自費だが、保険診療と併用できる

保険適用されたのは「基本的な治療」です。そこに追加されるオプション治療のうち、有効性・安全性の評価が進んでいるものは先進医療として保険診療と併用できます。2026年4月1日時点で、生殖補助医療に関する先進医療は次の10技術です。

  • ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術
  • タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養
  • 子宮内細菌叢検査1又は2
  • 子宮内膜刺激術
  • 子宮内膜受容能検査1又は2
  • 子宮内膜擦過術
  • 強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術
  • 二段階胚移植術
  • 膜構造を用いた生理学的精子選択術
  • 着床前胚異数性検査(PGT-A)

注意:どの医療機関でも受けられるわけではありません

先進医療は、実施できる医療機関が技術ごとに個別に承認されています。通院先で受けられる技術は限られるため、希望する技術がある場合はクリニック選びの段階で確認してください。また、先進医療として認められる技術の一覧は見直されます。上記は2026年4月1日時点の内容です。

高額療養費制度と民間保険|負担を下げる2つの受け皿

保険適用になったことで、不妊治療にも高額療養費制度が使えるようになりました。1か月の窓口負担が上限額を超えた分が払い戻される仕組みです。支給を受けるには加入している医療保険者への申請が必要で、会社員なら勤務先または健康保険組合、国民健康保険ならお住まいの自治体が窓口になります。

保険診療の部分(3割負担)

高額療養費制度の対象。限度額適用認定証(またはマイナ保険証)を先に用意しておけば、窓口での支払いを上限額までに抑えられます。あとから払い戻しを待つより資金繰りが楽です。なお自己負担の上限額は2026年8月から段階的に見直されているため、最新の区分は加入先の保険者で確認してください。

先進医療・自費の部分

高額療養費の対象外です。ここを埋めるのが民間医療保険の先進医療特約。ただし加入前から不妊治療中である場合は給付対象外となる商品が一般的で、「これから始める」段階でなければ間に合いません。契約内容は必ず約款で確認してください。

高額療養費制度そのものの使い方は高額療養費制度の記事で詳しく解説しています。あわせて、出産・育児のお金ガイドでは出産育児一時金や出産手当金まで含めた全体像を整理しています。

損しないための4つのポイント

  1. 年齢の節目が近いなら、まず受診日を確保する。判定に使われるのは治療の開始日と治療計画の作成日です。「情報を集めてから」と数か月置くと、使える回数が6回から3回に減ることがあります。
  2. 限度額適用の手続きを治療開始前に済ませる。採卵周期は1か月の負担が大きく膨らみます。事前に手続きしておけば、窓口で立て替える金額そのものを抑えられます。
  3. 先進医療を使う予定があるなら、クリニック選びの前に確認する。技術ごとに実施できる医療機関が決まっています。転院は時間の損失が大きいので、最初の選択が重要です。
  4. 自治体の独自助成を調べる。保険適用後も、先進医療の費用や保険適用外となった方への助成を独自に続けている自治体があります。制度名も要件も自治体ごとに違うため、お住まいの市区町村のサイトで「不妊治療 助成」を確認してください。

イレギュラー・現場でつまずきやすいところ

  • 「保険適用でかえって選べなくなった」と感じる場面がある。保険診療は標準化された内容で行われるため、投薬量や手法を個別に細かく変える自由診療とは進め方が異なります。医学的な理由で標準の枠に収まらない場合、主治医から自費診療の提案を受けることがあります。どちらが良いかは状況次第で、費用だけで決める話ではありません。
  • 保険診療と自費診療は原則として混ぜられない。先進医療として認められた技術は併用できますが、それ以外の自費のオプションを同じ周期に加えると、周期全体が自費になる扱いを受けることがあります。追加したい処置がある場合は、費用がどうなるかを事前に必ず確認してください。
  • 男性側の検査・治療も保険の対象。不妊の原因は男女どちらにもあり得ます。精巣内精子採取術などの手術も保険適用されており、女性だけが通院を続ける構図になっていないかは見直す価値があります。
  • 職場との両立で使える制度がある。不妊治療のための休暇制度や、通院と両立するための支援に取り組む企業は増えています。こども家庭庁も企業向けの情報を公開しています。人事・産業医への相談は、想像よりも実務的な選択肢です。

編集部の価値判断|「回数」を資源として設計する

保険適用の回数は、使い切ったら戻らない資源です。編集部として最も伝えたいのは、回数を「消化するもの」ではなく「配分するもの」として捉えるという視点です。採卵1回でどれだけ胚を確保するか、どの周期に移植するか、先進医療を併用するかどうか——これらはすべて、限られた回数をどう配分するかという問題です。

同時に、途中でやめる判断も選択肢として最初から想定しておくことをおすすめします。こども家庭庁も「不妊症の4つの負担」として身体的・精神的・経済的・時間的な負担を挙げています。回数の上限まで続けることが目的ではありません。どこまで進めるか、どの時点で二人で話し合い直すかを、開始前に決めておくほうが、結果としてお互いを守ることになります。相談窓口は各都道府県・指定都市に設置された不妊専門相談センターがあり、費用はかかりません。

よくある質問

43歳の誕生日を過ぎたら、もう保険は使えませんか?

生殖補助医療(体外受精・顕微授精)については、治療開始日に女性が43歳未満であることが条件です。43歳になってから新たに始める治療は保険適用外になります。ただし一般不妊治療(タイミング法・人工授精)には年齢制限がなく、43歳以上でも保険で受けられます。また、43歳になる前に治療計画を作成していた場合、その計画に基づく治療は継続して保険が適用される取り扱いがあります。個別の可否は主治医と加入している保険者にご確認ください。

回数は採卵ごとに数えるのですか、胚移植ごとですか?

胚移植ごとです。採卵を何度行っても、上限にカウントされるのは胚移植の回数です。40歳未満で治療計画を作成した場合は1子ごとに6回まで、40歳以上43歳未満なら3回まで。採卵1回で複数の胚が凍結できれば、その分だけ移植の機会を確保できます。

第2子を希望する場合、回数はリセットされますか?

上限は「1子ごと」に設定されているため、出産後に第2子を希望する場合は改めて数え直します。ただし年齢の条件は再度満たす必要があり、そのときの治療開始日に43歳以上であれば保険は使えません。回数の上限も、第2子の初回胚移植の治療計画を作成した日の年齢で決まります。

先進医療の費用にも高額療養費制度は使えますか?

使えません。高額療養費制度の対象は保険診療の自己負担分です。先進医療の技術料は全額自己負担になります。この部分をカバーし得るのが民間医療保険の先進医療特約ですが、加入前からすでに不妊治療中の場合は対象外となる商品が一般的です。契約中の保険がある方は約款を確認してください。

保険適用になったのに、自治体の助成はもう受けられませんか?

自治体によって異なります。保険適用の開始にあわせて従来の特定不妊治療費助成事業は終了しましたが、先進医療の費用や、保険適用外となった方への支援を独自に続けている自治体があります。制度名も所得要件も自治体ごとに違うため、お住まいの市区町村の窓口またはウェブサイトでご確認ください。

出典(すべて2026年8月27日確認)

  • こども家庭庁「みんなで知ろう、不妊症不育症のこと」不妊のこと DICTIONARY/保険適用について
  • こども家庭庁「みんなで知ろう、不妊症不育症のこと」不妊のこと DICTIONARY/不妊は特別ではない
  • 国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」(2021年)
  • 日本産科婦人科学会「ARTデータブック(2022年)」/厚生労働省「令和4年(2022年)人口動態統計(確定数)」

本記事は制度の一般的な解説であり、医学的な助言ではありません。治療方針・保険適用の可否については必ず主治医および加入している医療保険者にご確認ください。制度の内容は変更されることがあります。

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この記事を書いた人

みんなのミカタナビ編集部です。運営者・たくの編集方針のもと、相続・出産・退職・補助金など「知らないと損する手続きとお金」を、公的機関の一次情報と体験談の取材をもとに時系列で整理しています。数値・期限は必ず公式情報で裏取りし、出典を明記します。

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