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後期高齢者医療の保険料は2026年度から月7,989円【2026年版】75歳の加入手続きは不要・1割2割3割の判定と軽減の条件

ダイニングテーブルで市区町村から届いた通知を読む75歳の男性

75歳以上の健康保険料は、東京都の単身で年金収入79万〜300万円なら年15,200〜203,600円(2026年度)。加入手続きは不要、額は都道府県と前年所得で決まります。2026年9月16日時点。

情報基準日: 2026-09-16。厚生労働省の報道発表、東京都後期高齢者医療広域連合「保険料計算例(令和8年度)」、各広域連合の公表資料をもとに、保険料・負担割合・軽減の条件を順に整理します。

この記事の結論(5行)

  • 加入手続きは不要。75歳の誕生日当日に自動で移り、それまでの健康保険は前日で終わります。
  • 2026・27年度の保険料は全国平均で月7,989円(年95,875円)。前の2年間から月578円・7.8%の増です。
  • 金額は都道府県ごとに違います。全国平均の均等割56,083円に対し、沖縄県は61,000円と5千円近く高い。「平均」は目安にしかなりません。
  • 2割負担の配慮措置は2025年9月30日で終了済み。外来の増加額を月3,000円までに抑える仕組みはもうありません。
  • 3割と言われても諦めない。収入が単身383万円未満なら「基準収入額適用申請」で1割・2割に戻せます。ただし遡らず、翌月からです。
目次

75歳の誕生日に何が起きるか──手続きは要らないが、3つだけ変わる

後期高齢者医療制度は、75歳以上の全員(および65〜74歳で一定の障害があると広域連合が認定した方)が入る、都道府県単位の医療保険です。運営しているのは市区町村ではなく都道府県ごとの「後期高齢者医療広域連合」で、保険料率もここが2年に1度決めます。窓口だけが市区町村、という二階建ての構造です。

75歳で変わること

  • 保険者が広域連合になる
  • 保険料が「一人ひとつ」になる(世帯単位ではない)
  • 保険料は原則、年金からの天引き(特別徴収)
  • 本人確認の書類が資格確認書等に切り替わる
  • 扶養という考え方がなくなる

75歳でも変わらないこと

  • かかりつけ医も病院も同じでよい
  • 高額療養費のしくみは引き続き使える
  • 介護保険は別制度のまま(40歳以上で継続)
  • マイナ保険証の利用登録はやり直し不要
  • 加入のための申請・届出は不要

出典:厚生労働省「後期高齢者医療制度」および各後期高齢者医療広域連合の案内をもとに編集部が整理(2026年8月22日時点)。

とくに見落とされやすいのが「扶養という考え方がなくなる」点です。これまで配偶者の健康保険の扶養に入っていて保険料の負担がゼロだった方も、75歳からは自分名義で保険料が発生します。世帯の支出としては純増になるので、後述する軽減措置の確認は必須です。

誕生日の約1〜2か月前

市区町村から案内が届く

制度の説明と、負担割合・保険料の見込みを知らせる書類が郵送されます。この時点で返送するものは基本的にありません。中身を捨てずに保管してください。

誕生日の前日

それまでの健康保険が終わる

国民健康保険なら誕生月の前月分まで、会社の健康保険なら勤務先が資格喪失を届け出ます。会社員として働き続ける場合でも、医療保険だけは後期高齢者医療へ移ります(厚生年金は別です)。

誕生日当日

後期高齢者医療の被保険者になる

申請は不要です。保険料はこの月から月割りで計算されます。医療機関では新しい資格で受診します。マイナ保険証を使っていた方は、登録し直す必要はありません。

加入後おおむね1〜2か月

保険料の決定通知が届く

前年の所得をもとに年額が確定します。ここで初めて実額が分かります。軽減が効いているか、負担割合が想定どおりかを、この通知で必ず確認してください。

以後 毎年8月

負担割合が見直される

前年の所得にもとづき、8月1日から翌年7月31日までの負担割合が決まります。所得が減った年の翌年に1割へ戻ることもあります。毎年8月は通知を開ける月だと覚えておくと損をしません。

2026年度の保険料はいくらか──全国平均は月7,989円

保険料は2年に1度改定されます。2026年度はその改定年で、厚生労働省が2026年4月10日に令和8・9年度の保険料率を公表しました。全国平均の数字は次のとおりです。

項目(医療分・全国平均)2024・25年度2026・27年度
均等割額(年額)50,389円56,083円
所得割率10.21%10.17%
一人あたり平均保険料(年額)88,940円95,875円
同(月額)7,411円7,989円
賦課限度額(年額の上限)80万円85万円

月額で578円、率にして7.8%の増加です。所得割率はわずかに下がっているのに平均保険料が上がっているのは、均等割額(全員が等しく負担する部分)が5,694円上がったからです。所得の少ない方ほど、増加分の体感が大きくなる構造になっています。

さらに2026年度からは「子ども・子育て支援金」分が新設され、医療分に上乗せされます。全国平均は均等割1,351円(年額)、所得割率0.25%、一人あたり平均は年2,333円・月194円です。少額ですが、通知書の内訳が2段になるので「知らない項目が増えた」と驚かないようにしてください。

そしてここが最も誤解されるところですが、この数字はあくまで全国平均であって、あなたが払う額ではありません。保険料率は都道府県ごとの広域連合が決めるため、同じ所得でも住む県で数千円変わります。たとえば沖縄県の令和8・9年度の均等割は61,000円で、全国平均より4,917円高く設定されています。

均等割額(年額)の比較:全国平均と沖縄県

全国平均 2024・25年度50,389円全国平均 2026・27年度56,083円沖縄県 2024・25年度56,400円沖縄県 2026・27年度61,000円0円61,000円

出典:厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和8・9年度の保険料率について」(2026年4月10日)、糸満市「令和8年度 後期高齢者医療保険料率改定及び軽減基準の見直しのお知らせ」(沖縄県は県内均一)。

沖縄県の所得割率は10.81%(前期は11.60%)で、こちらは全国平均10.17%より高い水準です。ご自身の実額を知りたいときは、必ず「○○県後期高齢者医療広域連合」の公表資料を見てください。ニュースで流れる全国平均は、増減の方向を知るための指標だと割り切るのが正解です。

とはいえ「平均を見ろ」で終わっては、知りたい実額にたどり着けません。そこで、料率を都内均一で公表している東京都の公式計算例を、年金収入の額ごとに並べておきます。住む県が違っても、軽減がどこで切り替わり、どのくらいの段差で増えるのかという構造は同じです。

図:年金収入別・後期高齢者医療保険料の早見表(東京都・2026年度)

単身世帯(本人のみ)・収入は公的年金等のみ・75歳以上の場合。医療分+子ども・子育て支援金分の合計(年額)。

年金収入(年)受けられる軽減年間保険料月あたり目安負担の大きさ
79万円均等割7.2割軽減15,200円約1,260円
168万円7.2割軽減+所得割5割軽減22,800円約1,900円
173万円5割軽減+所得割25%軽減42,400円約3,530円
198.5万円均等割5割軽減73,400円約6,110円
203万円均等割2割軽減94,300円約7,850円
224万円均等割2割軽減115,500円約9,620円
300万円軽減なし203,600円約16,960円

東京都の料率は都内均一で、医療分が均等割53,300円・所得割9.88%、子ども・子育て支援金分が均等割1,300円・所得割0.26%(いずれも2026年度)。年間保険料は医療分と子ども分をそれぞれ100円未満を切り捨ててから合計します。「月あたり目安」は年額を12で割った編集部の参考値で、実際の納付は年6〜9回の分割(年金天引きなら偶数月の年6回)です。東京都の均等割53,300円は全国平均56,083円より低いため、同じ年金収入でも他の道府県ではこれより高くなることがあります。

出典:東京都後期高齢者医療広域連合「後期高齢者医療制度 保険料計算例(令和8年度)」および「保険料の決め方・賦課」(2026年5月27日更新/2026年9月16日取得)。表の金額は同資料の計算例1〜6・19を採録したものです。

都道府県別の保険料率一覧(令和8・9年度)──同じ収入でも住む県で月5,000円以上ちがう

保険料率は都道府県の広域連合が2年に1度決めるため、全国平均の月7,989円はあくまで真ん中の目安です。1人あたり平均保険料額(月額)がもっとも高いのは東京都の10,352円、もっとも低いのは青森県の4,990円で、その差は2.07倍あります。自分の県の数字を下の表で確認してください(数値はいずれも厚生労働省が令和8年4月10日に公表した確定値・2026年9月19日確認)。

被保険者1人あたり平均保険料額(月額)/令和8・9年度・高い順5県と低い順5県出典:厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和8・9年度の保険料率について」(令和8年4月10日)東京都10,352円神奈川県9,842円愛知県9,045円大阪府9,010円沖縄県8,731円全国平均7,989円新潟県5,852円秋田県5,847円福島県5,744円岩手県5,496円青森県4,990円
後期高齢者医療(医療分)令和8・9年度の均一保険料率/出典:厚生労働省 保険局高齢者医療課 報道発表(令和8年4月10日)・2026年9月19日確認
都道府県均等割額(年)所得割率平均保険料(月)
北海道59,963円11.61%7,295円
青森県50,500円9.00%4,990円
岩手県48,800円8.50%5,496円
宮城県52,200円9.12%6,933円
秋田県55,996円9.73%5,847円
山形県52,500円9.63%6,014円
福島県49,000円9.24%5,744円
茨城県49,500円9.32%7,128円
栃木県49,100円9.00%6,476円
群馬県54,600円9.78%6,877円
埼玉県52,370円9.49%8,189円
千葉県51,000円9.40%8,237円
東京都53,300円9.88%10,352円
神奈川県52,531円10.30%9,842円
新潟県49,200円8.61%5,852円
富山県55,800円10.19%7,296円
石川県57,300円11.14%8,065円
福井県54,140円10.83%7,840円
山梨県52,610円9.44%7,070円
長野県48,827円8.80%6,745円
岐阜県55,385円9.71%7,317円
静岡県51,100円9.35%7,415円
愛知県56,130円10.48%9,045円
三重県54,843円9.53%7,263円
滋賀県55,380円10.13%8,051円
京都府59,590円10.15%8,280円
大阪府64,931円11.51%9,010円
兵庫県58,427円10.77%8,301円
奈良県57,100円10.63%8,622円
和歌山県58,748円10.36%6,771円
鳥取県52,138円10.64%6,568円
島根県57,170円10.02%6,561円
岡山県60,100円10.88%7,891円
広島県55,090円9.93%7,831円
山口県63,513円11.36%7,836円
徳島県60,976円10.91%6,829円
香川県58,000円9.93%7,388円
愛媛県55,630円9.79%6,186円
高知県60,400円10.31%6,747円
福岡県66,340円11.70%8,330円
佐賀県68,700円11.79%8,159円
長崎県56,200円9.59%6,192円
熊本県63,000円11.06%7,088円
大分県64,200円11.25%7,283円
宮崎県56,300円10.08%5,875円
鹿児島県69,800円11.72%7,174円
沖縄県61,000円10.81%8,731円

表の「平均保険料(月)」は、各広域連合が条例改正時に見込んだ被保険者1人あたりの平均額です。実際に課される額は前年の所得と軽減判定で一人ひとり異なるため、正確な金額はお住まいの市区町村の後期高齢者医療担当窓口か、都道府県の広域連合が公表している保険料計算例で確認してください。なお、令和8年度からは上の医療分に加えて「子ども・子育て支援金分」(全国平均で均等割1,351円・所得割0.25%・月194円)が上乗せされます。

保険料が下がる人──均等割の軽減と、被扶養者だった人の2年間

所得が低い世帯には、均等割額を減らす軽減措置があります。申請は不要で、住民税の申告情報から自動で判定されます。ただし裏を返せば、所得の申告をしていないと軽減がかからないということでもあります。収入が年金だけで「申告する必要がない」と思っている方が、ここでつまずきます。

判定は世帯単位(世帯主と被保険者の総所得金額等の合計)で行われます。2026年度は判定基準が拡充され、5割軽減・2割軽減の対象が少し広がりました。沖縄県の実額を例に示します。

軽減割合世帯(世帯主および被保険者)の総所得金額等軽減後の均等割(沖縄県・医療分)
7.2割軽減
(2026・27年度の特例。通常は7割)
43万円 + {10万円 ×(給与所得者等の数 − 1)} 以下17,080円
5割軽減43万円 + 31万円 × 被保険者数 + {10万円 ×(給与所得者等の数 − 1)} 以下30,500円
2割軽減43万円 + 57万円 × 被保険者数 + {10万円 ×(給与所得者等の数 − 1)} 以下48,800円
軽減なし上記のいずれにも当てはまらない世帯61,000円

軽減後の金額は都道府県で異なりますが、7割・5割・2割という枠組みと判定式は全国共通です。なお2026・27年度は、7割軽減に該当する方の医療分だけ「7.2割」という特例の軽減率が適用されます。均等割が大きく上がった分を、最も影響を受ける層で吸収する措置と理解してよいでしょう。

「給与所得者等の数」に入るのはこの3タイプ

  • 給与収入が55万円を超える方(専従者給与は除く)
  • 65歳未満で、公的年金等の収入が60万円を超える方
  • 65歳以上で、公的年金等の収入が125万円を超える方

同じ世帯の世帯主と被保険者のうち、上のいずれかに当てはまる人数を数えます。2人以上いると判定のラインが10万円ずつ上がるため、夫婦とも年金を受け取っている世帯では軽減に届きやすくなります。

もうひとつ、見落とすと確実に損をするのが「被扶養者だった人」の軽減です。75歳になる直前まで、会社員である子や配偶者の健康保険の扶養に入っていた方は、後期高齢者医療に加入した月から2年を経過する月まで、均等割が5割軽減され、所得割はかかりません。

注意:国民健康保険からの移行は「被扶養者だった人」に当たりません

この2年間の軽減は、被用者保険(協会けんぽ・健康保険組合・共済など)の被扶養者だった方だけが対象です。国民健康保険や国保組合には「扶養」という区分がなく、全員が被保険者なので対象外になります。自営業の家族として国保に入っていた方が「扶養だったはず」と考えて窓口で食い違うのは、この線引きが理由です。

窓口負担は1割・2割・3割のどれか──パターン別の分岐

負担割合は、前年の所得をもとに毎年8月1日に切り替わります。判定は世帯単位で、同じ世帯に後期高齢者医療の被保険者が複数いる場合は合算して見ます。

上から順に当てはめる判定フロー

① 世帯に「課税所得145万円以上」の被保険者がいるか

いる → 現役並み所得者として3割。ただし②の救済あり。
いない → ③へ進む。

② 収入合計が基準未満なら「基準収入額適用申請」で戻せる

被保険者が世帯に1人なら収入383万円未満、2人以上なら合計520万円未満。認定されれば1割または2割になります。ここでいう収入は、必要経費や公的年金等控除を引く前の金額です(所得ではありません)。

③ 課税所得28万円以上 かつ 収入基準を超えるか

「年金収入+その他の合計所得金額」が、単身世帯で200万円以上、被保険者が2人以上の世帯で合計320万円以上なら2割。

④ いずれにも当てはまらない

1割。後期高齢者医療の被保険者の多くがここに入ります。

2022年10月に2割区分が新設されたとき、急な負担増を和らげるために「配慮措置」が設けられていました。外来医療について、1か月の負担増加額を3,000円までに抑える仕組みです(入院は対象外)。この配慮措置は2025年9月30日をもって終了しました。2026年の今、2割の方は緩和なしの2割をそのまま負担しています。

毎月の通院回数が多い方ほど、この終了の影響は大きく出ます。負担の天井を決めるのは高額療養費の自己負担限度額なので、通院が続いている方は高額療養費制度の2026年改正もあわせて確認しておくと安心です。

損しないポイント5つ

ここだけは押さえる

  1. 収入が少なくても住民税の申告はする。均等割の軽減は申請不要ですが、所得が把握できない世帯は判定に乗りません。「非課税だから出さなくていい」は誤りです。
  2. 3割の通知が来たら収入額を確かめる。単身383万円未満・2人以上520万円未満なら基準収入額適用申請で戻せます。変更は申請月の翌月からで、遡って還付されるわけではありません。気づいた月に動くほど得です。
  3. 被扶養者だった人の2年間軽減を自分で確認する。会社員の家族の扶養から移った方が対象です。決定通知の内訳に反映されているか、加入初年度に一度は見てください。
  4. 全国平均の数字で家計を組まない。均等割は全国平均56,083円ですが、沖縄県は61,000円。お住まいの広域連合の公表額で試算してください。
  5. 毎年8月の通知は必ず開ける。負担割合は8月1日に切り替わります。前年に所得が減っていれば、こちらから何もしなくても1割へ戻っていることがあります。逆に上がっていれば、翌月からの医療費が変わります。

イレギュラー・現場対応──よくある3つのつまずき

自治体の相談窓口や広域連合の案内で繰り返し取り上げられている、実務でつまずきやすい場面を編集部の視点で整理しました。

誕生月の医療費が「二重に高い」ように見える

誕生日の前日までは元の健康保険、当日からは後期高齢者医療です。ひと月の途中で保険が切り替わるため、高額療養費の自己負担限度額もそれぞれの制度で別々に計算されます。結果として、誕生月だけ窓口での支払いが多くなったように見えることがあります。これは請求の誤りではなく制度上の仕組みで、月の初日が誕生日の方(つまり前月末日生まれの方)は起こりません。入院や手術の予定に自由が利くなら、月をまたがない日程にするだけで負担が変わる場面です。

本人だけ75歳になり、配偶者が「無保険」になりかける

会社の健康保険に本人として加入していた方が75歳で後期高齢者医療へ移ると、その扶養に入っていた74歳以下の配偶者は同時に資格を失います。本人の移行は自動ですが、配偶者は自分で国民健康保険への加入手続きをしなければ無保険になります。ここだけは「手続き不要」ではありません。市区町村の国保窓口で、資格喪失日から14日以内に届け出てください。65歳以上の配偶者であれば、あわせて介護保険の申請の流れも確認しておくと、次の相談が一度で済みます。

資格確認書が届く人・届かない人が2026年8月から変わった

紙の保険証に代わる書類の運用は、2026年8月から交付要件が見直されました。埼玉県後期高齢者医療広域連合の案内では、2026年8月1日時点で85歳以上の方には全員に資格確認書が、84歳以下の方にはマイナ保険証の保有状況に応じて資格確認書または「資格情報のお知らせ」が届くと明示されています。84歳以下でマイナ保険証を持っている方でも、市区町村の窓口で申請すれば資格確認書を受け取れます。「今年は封筒の中身が去年と違う」と感じたら、それは間違いではありません。詳しくは資格確認書と資格情報のお知らせの違いで解説しています。

相場観と編集部の価値判断

月7,989円という全国平均をどう受け止めるか。年額にすると95,875円で、これは国民年金の満額(月額換算で約7万円弱)を受け取っている単身の方にとって、年金の1か月分を超える支出です。しかも均等割の伸びが主因なので、所得の少ない人ほど負担の増え方が急になります。7割軽減層に対して2026・27年度だけ7.2割という特例が入っているのは、その痛みを行政も認識している証拠だと編集部は見ています。

そのうえで、家計の観点から実務的に効くのは次の順番です。第一に、負担割合の判定を疑うこと。3割から1割に戻れば、通院1回あたりの支払いが3分の1になります。年間の医療費が20万円なら、窓口負担は6万円から2万円へ。これは保険料の軽減より桁が大きい話です。第二に、軽減の判定に乗っているかを確認すること。7.2割軽減と軽減なしでは、沖縄県の例で年44,000円近い差になります。第三に、通院・入院が続くなら高額療養費と医療費控除で取り戻すこと。

逆に、保険料そのものを「安くする」交渉の余地はありません。保険料率は広域連合が条例で決めるもので、個別の減額は災害・失業などの減免要件に当てはまる場合に限られます。削るところではなく、受け取り損ねている軽減と還付を拾うところに時間を使う——これが後期高齢者医療との付き合い方だと考えています。医療費が年間で一定額を超えた年は、医療費控除とセルフメディケーション税制の確認も忘れないでください。

よくある質問

後期高齢者医療への加入に手続きは必要ですか。

必要ありません。75歳の誕生日当日に自動的に被保険者となり、それまで加入していた健康保険は前日で資格を失います。市区町村から事前に案内が届き、加入後に保険料の決定通知が郵送されます。ただし、あなたの扶養に入っていた74歳以下の家族は同時に資格を失うため、その家族は自分で国民健康保険などへ加入する手続きが必要です。

2026年度の保険料は全国でいくらですか。

厚生労働省が2026年4月10日に公表した令和8・9年度の保険料率では、医療分の一人あたり平均保険料は全国平均で月7,989円(年95,875円)です。令和6・7年度の月7,411円から578円、7.8%の増加になります。均等割額は年56,083円、所得割率は10.17%、賦課限度額は80万円から85万円へ引き上げられました。これらは全国平均で、実際の料率は都道府県ごとの広域連合が決めます。

保険料の軽減を受けるのに申請は要りますか。

均等割額の軽減は申請不要で、世帯の所得情報から自動的に判定されます。ただし所得の申告がされていないと判定できないため、収入が少なく住民税が非課税になる方でも住民税の申告は行ってください。被用者保険の被扶養者だった方が受けられる2年間の5割軽減も、原則として自動で適用されます。決定通知の内訳で反映を確認するのが確実です。

窓口負担が3割と通知されました。下げられませんか。

世帯の被保険者が1人なら収入383万円未満、2人以上なら収入合計520万円未満であれば、「基準収入額適用申請」を市区町村の窓口で行うことで1割または2割に変更できます。ここでいう収入は必要経費や公的年金等控除を差し引く前の金額です。注意点は、負担割合が変わるのが申請した日の翌月からであることです。過去に遡って適用されるわけではないため、気づいた時点で早く申請するほど損が小さくなります。

2割負担の配慮措置はまだ使えますか。

使えません。2022年10月の2割負担導入にあわせて設けられた、外来医療の負担増加額を1か月3,000円までに抑える配慮措置は、2025年9月30日をもって終了しました。2026年8月時点では、2割に該当する方は緩和なしの2割を負担しています。通院回数が多い方は、高額療養費制度の自己負担限度額を確認しておくと、月ごとの上限が把握できます。

75歳を過ぎても働いていますが、会社の健康保険に残れますか。

残れません。会社に勤めていて厚生年金や雇用保険に加入している場合でも、医療保険については75歳の誕生日当日に後期高齢者医療制度へ移ります。会社の健康保険の被保険者資格は前日で終わり、保険料は給与天引きではなく、原則として年金からの特別徴収に切り替わります。健康保険と厚生年金は別の制度なので、厚生年金の加入はそのまま続きます。

保険料はどうやって払いますか。

原則は、受給している年金からの天引き(特別徴収)です。年金の年額が18万円未満の方、介護保険料と合わせた額が年金額の2分の1を超える方などは、納付書や口座振替による普通徴収になります。口座振替への変更は申し出によって選べる場合が多く、世帯主や配偶者の口座から支払えば、その方の社会保険料控除に算入できます。取り扱いは広域連合ごとに違うため、窓口で確認してください。

保険証の切り替えと同時に、暮らしの備えも見直すなら

75歳の節目は、介護の入口と身のまわりの整理を同時に考える時期でもあります。買う前に借りられるもの、先に書いておくものを2本にまとめています。

75歳を境に、あわせて見直しておくと効く手続き

あなたの体験を聞かせてください

この手続きで「実際はこうだった」「ここでつまずいた」という経験があれば、体験談募集フォームから教えてください。許諾をいただいたものだけ、出所を明示して記事に反映します。

出典・参考

  • 厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和8・9年度の保険料率について」(2026年4月10日 報道発表)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_72371.html
  • 厚生労働省 保険局「後期高齢者医療の保険料の賦課限度額について」(第207回社会保障審議会医療保険部会 資料3)
    https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001610193.pdf
  • 厚生労働省「一定以上の所得のある方の医療費の窓口負担割合が変わります」(2割負担の判定基準・配慮措置)
    https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000981142.pdf
  • 糸満市「令和8年度 後期高齢者医療保険料率改定及び軽減基準の見直しのお知らせ」(沖縄県の料率・軽減後の実額)
    https://www.city.itoman.lg.jp/soshiki/9/22148.html
  • 埼玉県後期高齢者医療広域連合「令和8年8月以降のマイナ保険証・資格確認書について」
    https://www.saitama-koukikourei.org/seido/taisho/hokensho-2-2-2-2-2/
  • 江東区「後期高齢者医療制度の医療費の負担割合」(基準収入額適用申請・適用開始時期)

本記事は2026年8月22日時点の公表情報にもとづく編集部の整理です。保険料率・軽減基準・負担割合の判定は都道府県ごとの後期高齢者医療広域連合が定めており、金額や運用は地域と年度によって異なります。実際の手続きにあたっては、お住まいの市区町村および広域連合の案内を必ずご確認ください。本記事は医療・税務の個別相談ではありません。

年齢の節目でやることは、後期高齢者医療だけではありません。役所での届出をまとめて確認したい方は暮らしの手続きガイドから、関連する制度をたどれます。

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みんなのミカタナビ編集部です。運営者・たくの編集方針のもと、相続・出産・退職・補助金など「知らないと損する手続きとお金」を、公的機関の一次情報と体験談の取材をもとに時系列で整理しています。数値・期限は必ず公式情報で裏取りし、出典を明記します。

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