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住居確保給付金の受け方【2026年版】家賃補助は最長9か月・2025年新設の転居費用補助は上限279,200円|敷金と前家賃は出ない

明るい室内の木のテーブルに置かれた木造の家の模型と白紙の書類。住居確保給付金の家賃補助と転居費用補助を表すアイキャッチ画像。

仕事を失った、あるいは配偶者が亡くなって世帯の収入が半分になった。家賃だけがそのまま残る——このときに使えるのが住居確保給付金です。生活保護とは別の制度で、生活困窮者自立支援法にもとづき、家賃相当額を原則3か月、最長9か月支給します。そして2025年(令和7年)4月の法改正で、この制度は大きく変わりました。従来の家賃補助に加えて、家賃の安い住宅へ移るための「転居費用補助」が新設されたのです。目黒区の場合、単身世帯の転居費用補助の上限は279,200円。一方で福岡県太宰府市は96,000円と、同じ制度で約2.9倍の差があります。この記事では、条件・金額・申請の流れ・つまずきやすい点を、厚生労働省と自治体の公式資料をもとに整理します(2026年8月26日時点)。

この記事の結論

  • 住居確保給付金は「家賃補助」と「転居費用補助」の2本立て。転居費用補助は令和7年4月1日の制度改正で新設された。
  • 家賃補助は原則3か月・延長2回で最長9か月。上限は生活保護の住宅扶助基準額(目黒区の単身なら月53,700円)。
  • 収入・資産の要件は共通。目黒区の単身なら収入145,700円以下・金融資産552,000円以下。金額は自治体で異なる。
  • 転居費用補助の対象は礼金・仲介手数料・家賃債務保証料・住宅保険料・運搬費・原状回復費・鍵交換費。敷金と前家賃は対象外で自分で払う。
  • 家賃補助は過去に受給していると原則もう使えない。転居費用補助には求職活動要件がなく、家計改善支援の相談が必須要件という違いがある。
目次

住居確保給付金とは——2025年4月から目的の違う2つの給付になった

住居確保給付金は、生活困窮者自立支援法にもとづく住まいの確保を目的とした給付金です。生活保護のように生活費全般を支えるものではなく、家賃という一点を支える制度で、支給されたお金は本人ではなく大家や不動産仲介業者の口座へ自治体から直接振り込まれます(代理納付)。

令和6年に成立した生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律(令和6年法律第21号)が令和7年4月1日から施行され、住居確保給付金は次の2種類の給付として整理されました。目黒区の案内が最も分かりやすく整理しています。

(1)家賃補助

就職活動を支えるための給付

  • 離職・廃業から2年以内(条件により4年以内)
  • または本人の責任・都合によらず、離職・廃業と同程度まで収入が減った
  • 求職活動要件あり
  • 原則3か月・延長2回で最長9か月

(2)転居費用補助[2025年4月新設]

家計の立て直しのための給付

  • 収入が著しく減った月から2年以内
  • 家賃の安い住宅への転居が必要
  • 求職活動要件なし
  • 家計改善支援事業の相談が必須
  • 一時金(上限あり)

出典:目黒区「住居確保給付金のごあんない」、厚生労働省「住居確保給付金のご案内」リーフレット。

ここが最初の分かれ道です。働く先を探しているなら家賃補助、家賃そのものを下げたいなら転居費用補助。厚労省のリーフレットは転居費用補助の対象者の例として「配偶者が亡くなり世帯の収入が減少した方」「病気で離職し働いて収入が増やせない方」を挙げています。求職活動ができない事情がある人にも道がある、というのが2025年改正の意味です。

収入・資産の条件——「基準額+家賃額」を超えていないか

2つの給付に共通する関門が、収入と資産です。判定はシンプルで、世帯の収入合計が「基準額+家賃額」(=収入基準額)以下であること、そして金融資産が基準額の6倍(100万円が上限)以下であることです。基準額は市町村民税の均等割が非課税となる額の12分の1にあたり、自治体で違います。

目黒区の場合(東京23区の水準)

世帯人数 基準額 家賃額(上限) 収入基準額 金融資産
1人92,000円53,700円145,700円552,000円
2人139,000円64,000円203,000円834,000円
3人172,000円69,800円241,800円1,000,000円
4人214,000円69,800円283,800円1,000,000円
5人255,000円69,800円324,800円1,000,000円

出典:目黒区「住居確保給付金のごあんない」。金額は自治体で異なるため、必ず居住地の自立相談支援機関で確認してください。

比較のために、福岡県太宰府市の数字も見てみます。単身世帯で基準額81,000円・家賃上限32,000円・資産486,000円。目黒区の家賃上限53,700円と比べると21,700円の差があります。生活保護の住宅扶助基準額に連動しているため、家賃の高い地域ほど上限も高いという設計です。

収入が基準額を超えていても、収入基準額の範囲内なら一部支給になります。計算式は次のとおりです。

支給額 = 基準額 + 実家賃額 - 世帯の収入合計額
(支給上限額まで。管理費・共益費は実家賃に含めない)

目黒区の単身世帯で家賃6万円、月収12万円なら、92,000+53,700(上限)-120,000=25,700円が支給額の目安になります。実家賃が上限より高い場合、上限額までしか計算に入らない点に注意してください。

求職活動要件は月に何をすればいいのか

家賃補助を受けるあいだは、求職活動の実績が求められます。厚生労働省の説明では次の内容です。転居費用補助にはこの要件はありません。

家賃補助の求職活動等要件(就労を目指す場合)

  • ハローワーク等へ求職の申込みをする(申請時)
  • 自立相談支援機関の面接・相談:月4回以上
  • ハローワーク等での職業相談:月2回以上
  • 企業等への応募:原則週1回以上
  • 支援プランに沿った活動(家計相談、セミナー参加など)

自営業者は、ハローワークへの求職申込みに代えて経営相談先での経営相談(原則月1回)など、事業再生に向けた活動で要件を満たせる場合があります。目黒区は商工会議所・よろず支援拠点・区の商工相談所を相談先として案内しています。

出典:厚生労働省生活支援特設ウェブサイト「住居確保給付金 制度概要」、目黒区「住居確保給付金のごあんない」。

週1回の応募という頻度に負担を感じる人は多いのですが、これは就職を急かすためというより、支援機関とつながり続けるための設計です。月4回の面接は相談の場でもあり、ここで家計改善や職業訓練へ橋渡しされることがあります。ハローワークの職業訓練を受けながら受給を続ける人もいます。

転居費用補助——家賃を下げるための引っ越し代が出る(2025年4月新設)

家賃補助は「今の家に住み続ける」ための給付ですが、収入が戻る見込みが薄い場合、根本的な解決は家賃そのものを下げることです。ところが引っ越しには初期費用がかかり、その金額が用意できないから動けない——この行き詰まりを解くために新設されたのが転居費用補助です。

支給上限は、転居先の市区町村の生活保護の住宅扶助基準額に基づく額の3倍。したがってどこへ引っ越すかで上限が変わります。目黒区と太宰府市を並べると、その差は歴然です。

転居費用補助の支給上限額(転居先による差)

目黒区へ転居 太宰府市へ転居 1人世帯 279,200円 96,000円 2人世帯 300,000円 114,000円 3人世帯 324,000円 123,300円 4人世帯 344,000円 123,300円 0 10万円 20万円 30万円 40万円

出典:目黒区「住居確保給付金のごあんない」、太宰府市「住居確保給付金事業(転居費用補助)が新たに始まりました」(2026年2月18日更新)。上限は転居先の自治体の基準によります。

そして最重要なのが対象になる経費とならない経費の線引きです。ここを知らずに契約すると、手元の現金が足りなくなります。

支給の対象になる経費 支給の対象にならない経費
・転居先の初期費用(礼金・仲介手数料・家賃債務保証料・住宅保険料)
・転居先への家財の運搬費用
・ハウスクリーニングなどの原状回復費用(転居前の住宅の分を含む)
・鍵交換費用
・敷金(退去時に返還される可能性があるため)
・契約時に払う家賃(前家賃)
・家財や設備の購入費(風呂釜、エアコン等)

出典:目黒区「住居確保給付金のごあんない」、太宰府市の同名ページ。両自治体で線引きは一致しています。

損しないポイント|家賃が上がる転居でも対象になりうる

厚生労働省のリーフレットには、「転居先の家賃が今より多少高くなっても、家計全体が改善すれば対象になる可能性があります」と明記されています。例として挙げられているのは「転居先の方が通院先に近くて交通費が安くなる」ケースです。

つまり判定は家賃の額そのものではなく、家計全体の収支で行われます。通院・通勤の交通費、駐車場代、光熱費の構造が変わるなら、その分を家計改善支援の場できちんと数字にして示すことが重要です。「家賃が下がらないから対象外だろう」と自己判断して相談に行かないのが、いちばんもったいない選択になります。

もう一点。敷金と前家賃は対象外なので、支給決定後に自分で不動産仲介業者へ支払う必要があります。また、実際の支出額が支給額を下回った場合は差額を自治体へ返還することになります。見積もりは実額で出してもらってください。

転居費用補助を使って引っ越すなら、家賃と同じく毎月かかるインターネット回線も同じタイミングで見直すのが効率的です。給付が終わったあとに残るのは家賃と固定費なので、移転手続きの順番と実質費用は引越し・新生活のインターネット回線 完全ガイド【2026年版】で、工事の予約が入居日に間に合うかどうかは引越しの光回線はいつ申し込むか(逆算カレンダー)で確認できます。

相談から入金までの流れ——窓口は自立相談支援機関

申請先は市区町村の福祉窓口ではなく、自立相談支援機関です。名称は自治体ごとに違い、目黒区なら「めぐろ くらしの相談窓口」、太宰府市なら「生活の困りごと相談窓口(生活支援課生活支援係)」といった具合です。全国の一覧は厚生労働省が案内するポータルから探せます。

申請から入金までの時系列

STEP 1|自立相談支援機関へ相談

電話で来所を予約する。太宰府市は申請書を原則として来所時に渡す運用で、制度説明を受けてから記入する。転居費用補助はこの段階で家計改善支援の相談に入る。

STEP 2|(家賃補助のみ)ハローワークへ求職申込み

申請時までにハローワーク等へ求職の申込みをする。自営業で事業再生を目指す場合は、商工会議所やよろず支援拠点への経営相談の申込みに代えられる場合がある。

STEP 3|書類を揃えて申請

本人確認書類、離職・廃業の証明または減収がわかる書類、収入がわかる書類、預貯金通帳の写し、賃貸借契約書の写し、そして貸主・管理会社に記入してもらう「入居(予定)住宅に関する状況通知書」。この通知書は相手方に書いてもらうため、いちばん時間がかかる。早めに依頼すること。

STEP 4|自治体で審査・支給決定

郵送申請の場合、申請日は消印日。月末に投函すると翌月扱いになり、収入関係書類を出し直すことになる(目黒区の注意書き)。連絡がつかないと審査が一時停止する点にも注意。

STEP 5|大家・仲介業者へ直接振込

支給は代理納付で、本人の口座には入らない。太宰府市の案内では書類が全部そろってから入金まで4週間程度。自己負担分は自分で貸主へ支払う。

出典:目黒区「住居確保給付金のごあんない」、太宰府市「住居確保給付金事業(転居費用補助)」、厚生労働省生活支援特設ウェブサイト。

つまずきやすい5つのポイント

申請前に確認しておきたいこと

1|家賃補助は「一度きり」の運用がある。目黒区は「原則、受給先の自治体を問わず、過去に家賃補助を受給されていたかたは対象外」と明記しています。コロナ禍に受給した記憶があるなら、今回は使えない可能性があります。ただし転居費用補助は別の給付なので、家賃補助の受給歴がある人でも相談する価値があります。

2|「休職」は対象にならない。太宰府市は支給要件の注記で明示しています。会社に籍があり給与が続いている状態は、離職・廃業と同程度の減収とは扱われません。

3|郵送は消印日が申請日。月末の投函は翌月申請になり、収入書類の出し直しが発生します。急ぐなら窓口へ。

4|支出が上限を下回ったら返還。転居費用補助では、実際の支出額が支給額を下回った場合、差額を自治体へ返す必要があります。多めに見積もっておくという発想は通用しません。

5|貸主・管理会社の記入書類がボトルネック。「入居(予定)住宅に関する状況通知書」は不動産会社の社印が要ります。管理会社が変わっている場合は変更がわかる書類も必要になるため、依頼は最優先で。

編集部の見方——「家賃補助を9か月」より「家賃を下げる」が効く場面

この制度をどう使うかは、収入が戻る見込みがあるかどうかで分かれます。再就職の目処が立っていて、あと数か月をしのげばいい——そういう局面では家賃補助が的確です。最長9か月あれば、多くの人にとって十分な猶予になります。

一方で、病気で働き方を変えざるを得ない、配偶者を亡くして世帯収入が半分になった、といった構造が変わってしまった場合、9か月後に同じ家賃を払える保証はありません。このとき家賃補助だけを使うと、9か月かけて問題を先送りすることになりかねない。2025年に転居費用補助が加わった意味は、まさにここにあります。単身で目黒区内へ移るなら上限279,200円。礼金・仲介手数料・保証料・運搬費をまかなえば、月1万円家賃を下げるだけでも1年で12万円、3年で36万円の差になります。

ただし転居は生活基盤を動かす決断です。通院先、子どもの学区、職場までの距離——家賃だけで判断すると別のコストが増えます。だからこそ家計改善支援の相談が必須要件になっているのだと編集部は読んでいます。数字を一緒に並べてくれる相手がいる状態で決められる、というのがこの制度の実質的な価値です。相談は無料です。固定費の見直しを単独で進める前に、まず窓口へ行ってみてください。

よくある質問

住居確保給付金は生活保護とどう違いますか?

生活困窮者自立支援法にもとづく制度で、生活保護に至る前の段階を支える位置づけです。生活費全般ではなく家賃という一点を支え、支給されたお金は本人ではなく大家や不動産仲介業者の口座へ自治体から直接振り込まれます(代理納付)。支給期間も家賃補助で原則3か月・最長9か月と有期です。資産要件はありますが、生活保護のように自動車や生命保険の処分を求められる仕組みではありません。

いくらもらえますか?

世帯の収入が基準額以下なら実際の家賃額(住宅扶助基準額が上限)、基準額を超える場合は「基準額+実家賃額-世帯の収入合計額」で計算した額です。目黒区の単身世帯なら上限は月53,700円、太宰府市の単身世帯なら月32,000円で、自治体によって異なります。転居費用補助は転居先の住宅扶助基準額の3倍が上限で、目黒区内への単身転居なら279,200円、太宰府市内なら96,000円です。

コロナ禍に一度受給しました。また使えますか?

家賃補助については、目黒区が「原則、受給先の自治体を問わず、過去に家賃補助を受給されていたかたは対象外」と案内しています。運用は自治体で異なる可能性があるため断定はできませんが、再受給は難しいと考えて相談したほうが現実的です。一方、2025年4月に新設された転居費用補助は別の給付なので、家賃補助の受給歴がある人でも対象になりうるかを窓口で確認する価値があります。

転居先の家賃が今より高くなる場合は対象外ですか?

必ずしも対象外ではありません。厚生労働省のリーフレットは「転居先の家賃が今より多少高くなっても、家計全体が改善すれば対象になる可能性があります」とし、例として通院先に近くなって交通費が下がるケースを挙げています。判定は家賃の額ではなく家計全体の収支で行われます。家計改善支援の相談で、交通費や光熱費を含めた収支の変化を数字で示してください。

敷金や引っ越し当日の家賃も出ますか?

出ません。敷金(退去時に返還される可能性があるため)と契約時に払う家賃(前家賃)、家財・設備の購入費は支給対象外です。支給されるのは礼金・仲介手数料・家賃債務保証料・住宅保険料・家財の運搬費用・原状回復費用・鍵交換費用です。対象外の分は支給決定後に自分で不動産仲介業者へ支払う必要があるため、手元資金の計画に入れておいてください。

どこへ相談すればいいですか?

お住まいの地域の自立相談支援機関です。名称は自治体ごとに異なり、目黒区は「めぐろ くらしの相談窓口」、太宰府市は「生活の困りごと相談窓口(生活支援課生活支援係)」です。太宰府市のように申請書を来所時に手渡す運用の自治体もあるため、まず電話で来所の予約を取ってください。相談は無料です。

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この記事を書いた人

みんなのミカタナビ編集部です。運営者・たくの編集方針のもと、相続・出産・退職・補助金など「知らないと損する手続きとお金」を、公的機関の一次情報と体験談の取材をもとに時系列で整理しています。数値・期限は必ず公式情報で裏取りし、出典を明記します。

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