ハローワークの職業訓練は受講料が無料で、雇用保険を受けられない人は月10万円の職業訓練受講給付金も対象です。本人の収入8万円以下・世帯収入30万円以下・世帯の金融資産300万円以下が主な要件です(2026年9月18日時点)。
情報基準日:2026-09-18(出典=厚生労働省「求職者支援制度のご案内」。最終確認日=2026年9月18日)
この記事の結論(2026年8月9日時点)
- ハローワークの職業訓練(ハロートレーニング)は受講料が無料。テキスト代などの実費は自己負担です。
- コースは大きく2種類。雇用保険を受けられる人は「公共職業訓練(離職者訓練)」、受けられない人は「求職者支援訓練」が基本の入口です。
- 雇用保険を受けられない人は、要件を満たせば月10万円の職業訓練受講手当+通所手当(月上限42,500円)が出ます。要件は本人収入月8万円以下・世帯収入月30万円以下・世帯の金融資産300万円以下など8項目すべてを満たすことです。
- 雇用保険を受けられる人は、基本手当に加えて受講手当(日額500円)と通所手当が出るうえ、訓練が終わるまで給付が延長される「訓練延長給付」もあります。
- もっとも大きな分岐は「申込みの順番」です。ハローワークでの求職申込み → 受講申込み → 訓練実施機関の選考、という順で、途中を飛ばせません。人気コースは選考で落ちることもあります。
失業したとき、あるいは今の仕事を続けながら転職を考えるとき、「学び直したいがお金と時間がない」という壁にぶつかります。ハローワークが窓口になっている職業訓練(愛称:ハロートレーニング)は、この壁をかなり低くする制度です。受講料は無料で、条件を満たせば生活費の給付も出ます。
ただし、制度が2本立てになっていて、どちらに乗るかで受け取れるお金がまったく違います。ここを理解しないまま窓口に行くと、「自分は対象なのかどうか」がわからないまま話が進んでしまいます。この記事では、2026年8月9日時点の厚生労働省の公表内容をもとに、みんなのミカタナビ編集部が2種類の違いと申込みの順番を整理しました。
まず「自分がどちらの訓練か」を決める
ハロートレーニングは、公共職業訓練(離職者訓練)と求職者支援訓練の2本立てです。分かれ目は「雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)を受けられるかどうか」。厚生労働省は求職者支援制度の受講要件として「雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと」を挙げており、この一行が実質的な振り分けになっています。
| 比べる点 | 公共職業訓練(離職者訓練) | 求職者支援訓練 |
|---|---|---|
| 主な対象 | 雇用保険の基本手当を受けられる方 | 雇用保険を受けられない方(適用がなかった離職者、フリーランス・自営業の廃業者、受給が終了した方、一定収入以下の在職者など) |
| 受講料 | 無料(テキスト代等は自己負担) | 無料(テキスト代等は自己負担) |
| 生活費の給付 | 基本手当+受講手当(日額500円・上限あり)+通所手当 | 職業訓練受講手当 月10万円+通所手当+寄宿手当(要件を満たす場合) |
| 訓練期間 | おおむね3か月〜2年(長期コースあり) | 2か月〜6か月 |
| 給付がなくても受講できるか | できる | できる(厚生労働省は「支給要件を満たさない場合であっても、無料の職業訓練を受講できます」と明記) |
見落とされやすいのが最後の行です。給付金がもらえないから諦める人がいますが、訓練そのものは給付の有無と関係なく無料で受けられます。親と同居している学卒未就職の方、配偶者に一定の収入がある方、フリーランスとして働きながら正社員を目指す方などがこれにあたります。
月10万円の職業訓練受講給付金:8つの要件を1つずつ確認する
求職者支援制度の中心が、月10万円の職業訓練受講手当です。ただし厚生労働省は8つの要件を挙げ、そのすべてを満たすことを条件としています。しかも「支給単位期間ごとに確認を行います」とされており、受給が始まってからも毎月チェックされます。
職業訓練受講給付金 支給要件チェックリスト
本人の収入が月8万円以下
税引前の給与(賞与含む)、事業収入、役員報酬、不動産賃貸収入、各種年金、仕送り、養育費などが「収入」に含まれます。
世帯全体の収入が月30万円以下
「世帯」は本人のほか、同居または生計を一つにする別居の配偶者・子・父母を指します。実家暮らしの場合は親の収入も入ります。
世帯全体の金融資産が300万円以下
同じく世帯単位です。
現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
実家の名義が自分に入っている場合などは要確認です。
すべての訓練実施日に出席している
やむを得ない理由で欠席し証明できる場合でも、8割以上の出席が必要です。ここが実務上いちばん厳しい要件です。
世帯の中で同時にこの給付金を受けて訓練を受けている人がいない
夫婦同時受給はできません。
過去3年以内に、不正行為により特定の給付金を受けたことがない
過去6年以内に職業訓練受講給付金を受けたことがない
一度使うと、次に使えるのは6年後です。使いどころを選ぶ制度だという点は押さえておきたいところです。
収入・世帯要件を外れても、交通費だけは出ることがある
厚生労働省は、要件1(本人収入月8万円以下)または要件2(世帯収入月30万円以下)を満たさない場合でも、本人収入が月12万円以下かつ世帯収入が月34万円以下で他の要件を満たすなら、通所手当だけは受けられるとしています。月10万円は無理でも交通費は出る、という中間の枠があることは覚えておく価値があります。
3つの手当の大きさを並べてみる
求職者支援制度で受け取れる月あたりの上限
それでも生活費が足りない場合に備えて、求職者支援資金融資という貸付制度も用意されています。単身者は月5万円、扶養家族がいる方は月10万円を上限に、受講予定訓練月数を掛けた額まで。利率は2%(うち信用保証料0.5%)で、担保・保証人は不要です。給付ではなく借入れなので、返済の見通しを立てたうえで検討する種類のものです。
申込みから受講開始までの流れ(順番を飛ばせません)
受講までの時系列
STEP 1|ハローワークで求職申込みと職業相談
窓口で「訓練の相談を受けたい」と伝えます。制度の説明を受け、求職申込みをします。ここを済ませていないと先へ進めません。
STEP 2|訓練コースを選ぶ
職業相談を受けながらコースを決めます。全国のコースは「ハローワークインターネットサービス」で都道府県・分野・募集期間・訓練期間から検索できます。
STEP 3|受講の申込み(給付金の審査申請も同時に)
ハローワークで受講を申し込みます。給付金を希望する場合は、この段階で審査の申請も行います。
STEP 4|訓練実施機関の選考を受ける
面接や筆記試験があります。ここで不合格になることがあります。志望動機と就職後の見通しを説明できるよう準備しておきます。
STEP 5|受講あっせん(指示)
選考に合格すると、ハローワークが訓練の受講をあっせん(指示)します。
STEP 6|受講開始と毎月の職業相談
訓練中から修了後3か月間、原則として月1回ハローワークに来所して職業相談を受けます。給付金はこの職業相談のあとに支給申請を行い、申請からおおむね1週間程度で指定口座に振り込まれます。
この流れで最大の落とし穴は、STEP 4の選考です。無料だから誰でも入れる、という制度ではありません。とくにIT・デジタル分野やWebデザインは応募が集中しやすく、厚生労働省もデジタル分野の定員増に取り組んでいると公表しているほどです。募集期間は限られているため、「行きたいコースの募集開始時期」から逆算して求職申込みを済ませておくのが実務上のコツになります。
雇用保険を受けられる人が知っておきたい3つの上乗せ
基本手当を受けられる方がハローワークの指示で公共職業訓練を受ける場合、雇用保険から次の3つが加わります。求職者支援制度の月10万円とは別枠の話です。
編集部の見立て:訓練は「早く相談したほうが得」な制度
訓練延長給付も給付制限の取扱いも、訓練の開始時期と受給の残日数の組み合わせで結果が変わります。つまり「失業手当を使い切ってから考える」より、離職が決まった時点で訓練の相談まで済ませておくほうが選択肢が広がります。コースの募集にも周期があるため、動き出しが早いほど有利になりやすい制度だと考えます。ただし個別の判定は必ずハローワークの窓口で行われます。ここで書いた一般論を前提に、自分の受給資格者証を持って相談してください。
どんなコースがあるのか
厚生労働省は求職者支援訓練の主な分野として、基礎(ビジネスパソコン科・オフィスワーク科など)、IT(WEBアプリ開発科など)、営業・販売・事務(OA経理事務科など)、医療事務、介護福祉(介護職員初任者研修科など)、デザイン(WEBデザイナー科など)、その他(3次元CAD活用科、ネイリスト養成科など)を挙げています。託児サービスを利用できるコースもあり、子育て中の方の受講も想定されています。
訓練期間は求職者支援訓練が2か月〜6か月、公共職業訓練は最長2年のコースもあります。国家資格の取得を伴う長期コースは公共職業訓練側にあることが多く、「資格を取り切りたい」のか「短期で実務スキルを身につけて早く就職したい」のかで選ぶ側が変わります。
実際につまずきやすいところ(イレギュラー対応)
制度の説明どおりに進まない場面もあります。以下は、厚生労働省の案内や受講者向けの説明で繰り返し注意喚起されている論点を、編集部の視点で整理したものです。
よくある質問
職業訓練は本当に無料ですか?
受講料は無料です。ただしテキスト代などの実費は自己負担で、コースによっては数千円〜1万円台かかります。作業服や道具が必要な分野では別途費用が生じることもあるため、申込み前に訓練実施機関へ確認してください。
月10万円の給付金は誰でももらえますか?
いいえ。厚生労働省が定める8つの要件をすべて満たす必要があります。本人収入が月8万円以下、世帯収入が月30万円以下、世帯の金融資産が300万円以下などで、1つでも外れると支給されません。ただし要件を満たさなくても、訓練自体は無料で受講できます。
在職中でも受けられますか?
受けられます。厚生労働省は求職者支援制度の対象者に「一定額以下の収入のパートタイムで働きながら、正社員への転職を目指す方」を挙げています。ハローワークに求職の申込みをしていることが前提です。
雇用保険をもらいながら訓練を受けると、どう変わりますか?
基本手当に加えて受講手当(日額500円・上限あり)と通所手当が支給されます。さらに、訓練の途中で所定給付日数が尽きても訓練修了まで基本手当が延長される訓練延長給付があります。
訓練の選考に落ちることはありますか?
あります。受講申込みの後、訓練実施機関による面接や筆記などの選考があり、合格して初めてハローワークが受講あっせん(指示)を行います。人気分野は競争になりやすいため、志望動機と就職の見通しを整理して臨んでください。
給付金はいつ振り込まれますか?
厚生労働省は「給付金は支給申請から、おおむね1週間程度で指定する金融機関の口座に振り込みます」としています。ただし毎月ハローワークで職業相談を受けたうえで申請する必要があり、来所を飛ばすと申請自体ができません。
出典と基準日
基準日:2026年8月9日
- 厚生労働省「求職者支援制度のご案内」(受講要件・8つの支給要件・支給額・主な訓練コース・制度活用の流れ・求職者支援資金融資)
- 厚生労働省「ハロートレーニング特設ホームページ 就職支援・給付金などについて知る」(雇用保険の受講手当・通所手当、給付金の要件と注記)
- 厚生労働省「ハローワークインターネットサービス 訓練コース検索」
本記事は公的資料をもとにみんなのミカタナビ編集部が整理したもので、専門家による監修を受けたものではありません。給付の可否・金額・訓練の募集状況は個別の事情や地域によって異なります。実際の判断は必ず住所地を管轄するハローワークにご確認ください。
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