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大学の学費が払えないときの支援【2026年版】多子世帯は所得制限なしで授業料70万円まで減免|給付型奨学金と申込み時期

夜のダイニングテーブルで大学のパンフレットとノートパソコンを一緒に見る母親と高校生の娘。大学の学費支援の記事のアイキャッチ。

「大学に行かせたいが、4年分の学費を出せる自信がない」。高校生の保護者から最も多い相談です。2026年8月時点で、国の支援は返さなくてよい2階建てになっています。授業料と入学金そのものを減らす「授業料等減免」と、生活費にあてる「給付型奨学金」です。さらに2025年度(令和7年度)からは、子どもを3人以上扶養する多子世帯なら所得制限なしで減免が受けられるようになりました。

この記事では、文部科学省の一次資料をもとに「だれが・いくら・いつ申し込むのか」を整理します。制度は年度ごとに拡充が続いているため、必ず最新のリーフレットとあわせてご確認ください。

この記事の結論
  • 国の支援は「授業料等減免」+「給付型奨学金」の2階建て。どちらも返済不要で、申込みは一体になっている。
  • 入口は2つ。①住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯と、②子ども3人以上を扶養する多子世帯(所得制限なし)。
  • 減免の上限は私立大学で授業料 年約70万円・入学金 約26万円、国公立大学で授業料 年約54万円・入学金 約28万円。
  • 多子世帯の無償化は「子ども3人以上を同時に扶養している間」が条件。上の子が扶養から外れると対象から外れる。
  • 令和7年度から学業要件が適正化され、令和6年度以前からの在学生にも適用。進学後も学修状況次第で支援が止まる。
  • 対象は大学だけでなく短期大学・高等専門学校・専門学校。ただし国が確認した「対象機関」に限られる。
基準日:2026年8月9日。出典は文部科学省「高等教育の修学支援新制度」。金額・要件は必ず最新のリーフレットでご確認ください。
目次

結論:国の支援は「減免」と「給付型奨学金」の2階建て

高等教育の修学支援新制度は、令和2年4月に始まった国の制度です。文部科学省は目的を「しっかりとした進路への意識や進学意欲があれば、家庭の経済状況に関わらず、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校に進学できるチャンスを確保できるようにすること」と説明しています。

中身は2つです。1つめが授業料・入学金の免除または減額(授業料等減免)で、学校に納める金額そのものが減ります。2つめが返還を要しない給付型奨学金で、日本学生支援機構(JASSO)から本人の口座に振り込まれ、家賃や教材費などの生活費にあてられます。この2つは別々に申し込むのではなく、同じ手続きの中で判定されます。

対象になる2つの入口
入口1
所得区分で判定される世帯
住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯。所得に応じて支援額が段階的に決まります。令和6年度からは、世帯年収約600万円(目安)までの多子世帯と私立の理工農系学部等に通う学生にも対象が広がりました。
入口2(令和7年度から)
子ども3人以上の多子世帯
所得制限なしで、国が定める一定額まで授業料・入学金が減免されます。ただし給付型奨学金まで満額出るわけではなく、減免が中心である点に注意が必要です。
共通の前提:進学先が国の「修学支援新制度の確認大学等」(対象機関リスト)に載っていること。載っていない学校では制度を使えません。

いくら減るのか:減免の上限額

「無償化」という言葉が使われますが、正確には国が定めた上限額までの減免です。授業料が上限を超える大学では、超えた分は自己負担として残ります。文部科学省の資料では、私立大学の場合「授業料70万・入学金26万(4年間で最大70万円×4年+26万円を支援)」と示されています。

区分入学金の上限授業料の上限(年額)4年間の目安
国公立大学約28万円約54万円約244万円
私立大学約26万円約70万円約306万円
出典:文部科学省「令和7年度からの多子世帯に対する大学等の授業料等減免について」ほか(2026年8月9日確認)。短期大学・高等専門学校・専門学校は別の上限額が設定されています。4年間の目安は上限額をそのまま4年分積み上げた編集部の試算で、実際の減免額は在学状況により変わります。

注意したいのは、私立大学の実際の授業料は上限70万円を上回ることが多い点です。文系で年間80万〜90万円台、理系や医療系ではさらに高くなります。差額は自己負担になるため、「無償化の対象=1円もかからない」ではないことを、進学先を決める前に家族で共有しておいてください。

私立大学の学費と減免上限のイメージ
濃い棒=国の減免上限(年約70万円)/薄い棒=上限を超えて自己負担になりうる部分
減免の上限年 約70万円私立文系の例年 約88万円(差額は自己負担)私立理系の例年 約111万円(差額は自己負担)私立大学の授業料は学部により大きく異なります。上図は編集部が作成したイメージで、実額は各大学の学費表でご確認ください。

多子世帯の無償化でいちばん誤解されている点

令和7年度から始まった多子世帯支援は、文部科学省の表現では「子供を3人以上同時に扶養している間、所得制限なく、国が定める一定の額まで大学等の授業料・入学金を無償とする」制度です。ここでの「3人以上」は、子どもが3人生まれたかどうかではなく、その時点で扶養している子どもの人数で判定されます。

つまり、長子が大学を卒業して就職し扶養から外れると、扶養している子どもは2人になり、下の子は対象外になります。3人きょうだいの真ん中が在学中にこの切り替わりが起きるケースは珍しくありません。「いつ誰が扶養から外れるか」を家族の年表に書き出しておくことを強くおすすめします。

また、多子世帯の支援は減免が中心です。文部科学省の資料では、年収約600万円までの多子世帯には給付型奨学金も支給される一方、それを超える多子世帯は減免が対象という整理になっています。生活費まで賄えるとは限らないため、下宿を伴う進学では別途の資金計画が必要です。

いつ申し込むのか:予約採用と在学採用

申込みには2つのタイミングがあります。進学前に高校を通じて申し込む予約採用と、進学後に大学等を通じて申し込む在学採用です。予約採用で「採用候補者」になっておくと、進学後の手続きがスムーズで、入学金の減免にも間に合いやすくなります。

高校3年生から進学後までの流れ
高校3年生の春
予約採用の申込み(高校経由)
校内の締切は高校ごとに違い、春のうちに締め切る学校が多いのが実情です。募集の案内を見落とすと1年待つことになります。担任や進路指導室に自分から確認してください。
高3の秋〜冬
採用候補者決定通知を受け取る
この通知は進学後の手続きで必要になります。紛失しないよう受験関係の書類とまとめて保管してください。
進学直後(4月)
進学届の提出・減免の申請
大学等に進学届を出して初めて支援が確定します。授業料等減免は進学先の大学へ申請します。予約採用をしていない場合は、ここで在学採用に申し込みます。
毎年度
継続手続きと学業要件の確認
年に1回、所得や資産の状況を届け出て支援区分が見直されます。学業要件を満たさないと支援が停止・打切りになります。
具体的な締切は在学校・進学先の案内で必ず確認してください。学校ごとに校内締切が異なります。

進学後も続けるための学業要件

見落とされやすいのが、進学後の要件です。文部科学省は「大学等への進学後、学生の十分な学修状況を見極める観点から、学修意欲とともに、学修成果についても一定の要件(学業要件)を設けています」と説明し、令和7年度から新たな学業要件を、令和6年度以前から在学している学生も含めて適用すると明記しています。

支援は入学時に確定して4年間続くものではなく、毎年度チェックされると考えてください。単位の修得状況が著しく悪い、出席率が低い、といった状態が続くと、警告を経て支援が停止・打切りになります。打切りの内容によっては、すでに受け取った支援額の返還を求められる場合もあります。

損しないポイント(家族で共有しておきたい5つ)
  1. 高3の春に動く。予約採用の校内締切は春に来ます。「進学先が決まってから」では間に合いません。
  2. 進学先が対象機関かを先に確認する。文部科学省の「修学支援新制度の確認大学等の一覧(対象機関リスト)」に載っていない学校では使えません。志望校選びの段階で確認してください。
  3. 上限額と実際の学費の差額を計算しておく。私立大学では上限を超える分が自己負担で残ります。
  4. 多子世帯は「扶養している人数」で判定される。上の子の就職・扶養外れのタイミングを年表にしてください。
  5. 学業要件は毎年チェックされる。支援が続く前提で資金計画を立てず、停止された場合の備えも考えておくと安全です。

イレギュラー・現場でつまずく点

公式資料に書かれているのに見落とされやすい論点を、文部科学省の資料を読み込んで整理しました。

①「無償化」の語感と実額のずれ。減免は国が定めた上限額までです。私立大学では超過分が残り、下宿の家賃・食費・教科書代はそもそも減免の対象外です。給付型奨学金が出ない区分では、生活費は全額自己資金か貸与型奨学金で賄うことになります。

②在学中に世帯状況が変わったとき。家計急変(保護者の失職・死亡・災害など)に対応する仕組みがあります。年1回の定期判定を待たず申請できる場合があるため、状況が変わったらすぐ大学の学生支援窓口に相談してください。「次の春まで待つ」のは損です。

③浪人・仮面浪人・編入。高校卒業からの年数や在学期間には要件があり、進学時期がずれると使えなくなることがあります。予約採用の採用候補者決定を受けていても、進学届の提出時期を逃せば無効になります。

④資産の要件がある。所得だけでなく世帯の資産額にも基準があります。所得だけで判断して「うちは対象」と思い込まないよう、申込み前にJASSOの進学資金シミュレーターで確認しておくと確実です。

相場観と編集部の価値判断

私立大学に4年間通う場合、授業料と入学金だけで350万〜450万円前後、下宿ならさらに年100万円前後の生活費が乗ります。これに対して国の減免は最大でも私立で約306万円分(上限額を4年積み上げた編集部の試算)。「無償化」で消えるのは学費の大部分であって、家計負担のすべてではないというのが実感に近い理解です。

編集部として最も強調したいのは、この制度は「知っていた人だけが使える」構造だという点です。予約採用の校内締切は高校3年の春で、その時期はまだ受験のことで頭がいっぱいです。学校からの案内はプリント1枚で流れていくことも多く、気づいたときには締切後というケースが実際に起きています。高2の冬に一度、家族で制度を確認する時間を取る価値があります。

もう一つは、貸与型奨学金と組み合わせる前提で考えることです。給付型だけで足りない部分は、無利子の第一種奨学金を優先し、それでも足りなければ有利子の第二種を検討する、という順番が基本です。ただし借入は卒業後の家計を長く縛ります。返す人(多くは学生本人)と一緒に金額を決めてください。奨学金の返還が難しくなった場合の減額返還や返還期限猶予といった仕組みがあることも、借りる前に知っておくと安心です。

なお、本記事は制度の理解を助けることを目的としたもので、個別の家計判断についての助言ではありません。具体的な借入額の判断は、進学先の学生支援窓口やファイナンシャルプランナー等にご相談ください。

よくある質問

年収がいくらまでなら対象になりますか?

所得区分による支援は住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯が中心で、令和6年度からは世帯年収約600万円(目安)までの多子世帯・私立理工農系の学生にも広がりました。多子世帯の授業料等減免(令和7年度から)には所得制限がありません。世帯構成で判定額が変わるため、JASSOの進学資金シミュレーターでの確認が確実です。

専門学校や短大でも使えますか?

使えます。制度の対象は大学・短期大学・高等専門学校・専門学校です。ただし国が確認した「対象機関」に限られるため、進学したい学校がリストに載っているかを文部科学省のページで確認してください。

多子世帯の無償化は子どもが3人いれば必ず受けられますか?

「子どもを3人以上同時に扶養している間」という条件です。上の子が就職して扶養から外れると扶養している子どもが2人になり、下の子は対象から外れます。子どもの人数ではなく、その時点の扶養人数で判定される点にご注意ください。

途中で成績が悪いと打ち切られますか?

学業要件があり、令和7年度から新たな要件が令和6年度以前からの在学生も含めて適用されています。修得単位数や出席状況が著しく悪い場合は警告を経て支援の停止・打切りとなり、内容によっては返還を求められることもあります。

親の失業など家計が急に変わったときはどうすればいいですか?

家計急変に対応する仕組みがあります。年1回の定期判定を待たずに申請できる場合があるため、状況が変わったらすぐ在学先の学生支援窓口に相談してください。

高校の授業料の支援とは別の制度ですか?

別の制度です。高校は「高等学校等就学支援金」、大学等は「高等教育の修学支援新制度」で、申込先も要件も異なります。高校段階の支援については高校授業料の支援は2026年4月からこう変わった【2026年版】で解説しています。

あなたの体験を聞かせてください

この手続きで「実際はこうだった」「ここでつまずいた」という経験があれば、体験談募集フォームから教えてください。許諾をいただいたものだけ、出所を明示して記事に反映します。

あわせて読みたい

高校段階の支援は高校授業料の支援は2026年4月からこう変わった【2026年版】、小中学校の費用は就学援助の申請方法【2026年版】で解説しています。ひとり親世帯の方は児童扶養手当のもらい方【2026年版】もあわせてご確認ください。

教育費と並んで家計を圧迫しがちな固定費の見直しは固定費の見直しガイドに、出産から進学までの手続き全体は出産・育児ガイドと暮らしの手続きガイドにまとめています。

最新の要件は必ず公式で
制度の全体像と最新のリーフレットは文部科学省「高等教育の修学支援新制度」、支援区分の目安や申込みの手続きは日本学生支援機構(JASSO)の公式サイトで確認できます。進学先が対象になるかは文部科学省「修学支援新制度の確認大学等の一覧(対象機関リスト)」で調べられます。個別の締切は在学校・進学先の案内が正本です。

出典・参考

  • 文部科学省「高等教育の修学支援新制度」(令和8年2月6日にリーフレット令和8年度版を掲載)
  • 文部科学省「令和7年度からの多子世帯の学生に対する大学等の授業料・入学金の減免について」
  • 文部科学省「令和7年度からの奨学金制度の改正(多子世帯の大学等の授業料等減免)に係るFAQ」
  • 文部科学省「学業要件の適正化について」
  • 文部科学省「修学支援新制度の確認大学等の一覧(対象機関リスト)」
いずれも2026年8月9日時点で編集部が確認した内容です。本記事は制度の理解を助けることを目的としており、個別の家計判断や借入の可否についての助言ではありません。詳細は進学先の学生支援窓口等にご相談ください。

読み終えたら、次に手を動かすこと

減免や奨学金の申請には結果が出るまで時間がかかります。並行して毎月の固定費を下げておくと、結果を待つあいだの生活費を確保しやすくなります。

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この記事を書いた人

みんなのミカタナビ編集部です。運営者・たくの編集方針のもと、相続・出産・退職・補助金など「知らないと損する手続きとお金」を、公的機関の一次情報と体験談の取材をもとに時系列で整理しています。数値・期限は必ず公式情報で裏取りし、出典を明記します。

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