本記事にはプロモーション(アフィリエイト広告)が含まれます。紹介する順序や評価は、公的機関の一次情報および各社の公式情報をもとに編集部が独自に判断しており、広告の有無で内容を変えていません。
結論の要点
- 令和8年度の業務改善助成金は、交付申請の受付開始が令和8年9月1日。交付要綱・要領は令和8年4月22日に公開済みです。
- 8月中に発注してはいけません。交付決定前に助成対象設備を導入すると助成の対象外になります。8月にやるのは「見積もりを取ること」まで。
- 賃上げの期限は地域別最低賃金の発効日の前日、または11月30日のいずれか早い日。発効日当日に引き上げると対象外です。
- Jグランツで電子申請するならGビズIDプライムが必要。取得には時間がかかるため、8月中に着手するのが逆算の要です。
- 助成上限は最大600万円、助成率は事業場内最低賃金1,050円未満で4/5、1,050円以上で3/4。同一事業所の申請は年度内1回までで、予算の範囲内のため期間内に募集が終わることがあります。
業務改善助成金は、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、あわせて生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、その費用の一部が助成される制度です。令和8年度は受付開始が9月1日。9月になってから調べ始めると、賃上げの期限に間に合わない事業場が出ます。この記事は、厚生労働省の公式資料だけを根拠に「8月のうちに何を終わらせておくか」を逆算したものです。(基準日:2026年8月3日)
8月中にやること・9月以降にやること
8月上旬|自社の位置を確かめる
事業場で最も低い時間給(=事業場内最低賃金)を確認する。これが令和8年度の地域別最低賃金を下回っていることが対象の条件。1,050円を下回るかどうかで助成率と上限額の区分が変わります。
8月上旬|引き上げる人数を数える
対象になるのは週所定労働時間20時間以上の雇用保険被保険者で、雇入れ後6か月を経過した労働者。事業場内最低賃金の人に加え、その引上げによって賃金額を追い抜かれる人も、申請コース以上引き上げれば算入できます。
8月中旬|GビズIDプライムを申請する
Jグランツでの電子申請にはGビズIDプライムが必要です(令和8年度の交付申請ページは後日公開予定)。アカウント発行には日数がかかるため、ここが最も詰まりやすい工程です。紙で申請する場合は都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が窓口になります。
8月中旬|見積もりを取る(発注はしない)
導入したい設備の見積書を用意します。ここで発注・契約・支払いをすると、交付決定前の導入として助成対象外になります。業者には「交付決定後に発注する」と先に伝えておくのが安全です。
8月下旬|申請書類を作る
交付申請書と事業実施計画書を作成。厚生労働省が申請書等簡易作成ツール(令和8年度版)を配布しています。申請マニュアルとQ&Aは令和8年7月7日に更新されています。
9月1日〜|交付申請
受付開始。申請期限は申請事業所に適用される地域別最低賃金の発効日の前日まで。予算の範囲内で交付するため、期間内に募集が終了することがあります。
交付決定後|ここで初めて発注する
計画どおりに設備を導入し、支払いを済ませます。計画に変更が生じたら「事業計画変更申請書」が必要です。
地域別最低賃金の発効日の前日、または11月30日の早いほう
賃金引上げの期限。発効日の「当日」に引き上げると対象外です。引上げ後の額を就業規則等に定める必要があり、複数回に分けての引上げは認められません。
交付決定年度の1月31日
事業完了期限。納品日・支払完了日・賃金引上げ日のいずれか遅い日が事業完了日なので、この3つすべてを1月31日までに済ませる必要があります。やむを得ない理由がある場合は、あらかじめ理由書を出せば3月31日まで延長される場合があります。
賃金台帳と帳簿がそろっているかを先に確認する
申請でも実績報告でも、賃金台帳と事業所の帳簿の提出を求められます。記帳が止まっていると締切直前に慌てるので、先にクラウド会計で当期の数字を整えておくと安全です。
▶ 確定申告のやり方 完全ガイド【2026年版】
▶ 消費税の確定申告のやり方(インボイス登録者向け)
いくらもらえるか(令和8年度の上限額)
助成額は「設備投資等にかかった費用×助成率」と「助成上限額」を比べて、安いほうの金額になります。上限額は引上げ額のコースと引き上げる労働者数で決まります。
| コース | 引き上げる労働者数 | 30人未満 | 30人以上 |
|---|---|---|---|
| 50円コース 50円以上引上げ | 1人 | 30万円 | 40万円 |
| 2〜3人 | 40万円 | 70万円 | |
| 4〜5人 | 70万円 | 70万円 | |
| 6〜7人 | 90万円 | 90万円 | |
| 8人以上 | 110万円 | 110万円 | |
| 10人以上※ | 130万円 | 130万円 | |
| 70円コース 70円以上引上げ | 1人 | 40万円 | 50万円 |
| 2〜3人 | 50万円 | 100万円 | |
| 4〜5人 | 130万円 | 130万円 | |
| 6〜7人 | 180万円 | 180万円 | |
| 8人以上 | 230万円 | 230万円 | |
| 10人以上※ | 300万円 | 300万円 | |
| 90円コース 90円以上引上げ | 1人 | 90万円 | 100万円 |
| 2〜3人 | 150万円 | 240万円 | |
| 4〜5人 | 270万円 | 270万円 | |
| 6〜7人 | 360万円 | 360万円 | |
| 8人以上 | 450万円 | 450万円 | |
| 10人以上※ | 600万円 | 600万円 |
※10人以上の区分は、特例事業者が10人以上の労働者の賃金を引き上げる場合のみ対象。出典:厚生労働省「令和8年度業務改善助成金のご案内」(R8.4)
助成率は引上げ「前」の事業場内最低賃金で決まる
1,050円未満なら「特例事業者(賃金要件)」にも該当し、上限額の10人以上区分が使えます。出典:厚生労働省・同上。
知らないと不交付になるポイント
先に知っておきたい5つ
- 交付決定前の導入は対象外。厚生労働省のリーフレットにも明記されています。9月1日に申請しても交付決定はその後なので、8月の発注はもちろん、9月の申請直後の発注もアウトです。
- 賃上げは発効日の「前日まで」。たとえば10月1日に新しい地域別最低賃金が発効するなら、9月30日までに引上げを完了する必要があります。10月1日に実施すると対象外です。
- 令和8年度から自動車が対象外になりました(特殊用途自動車を除く)。令和7年度に社用車を想定していた事業者は計画の作り直しが必要です。
- 対象労働者は雇用保険被保険者に限定されました。令和7年度からの変更点です。週所定労働時間20時間以上であることも必要です。
- 労働者がいない事業場は対象になりません。従業員の事業場内最低賃金を引き上げるための制度だからです。
設備投資の見積・支払いは記録が残る形で
補助対象の経費は、見積書・請求書・振込記録の三点セットで確認されます。会計ソフトに証憑をひもづけて保存しておくと、実績報告の書類集めが短時間で済みます。
▶ 確定申告のやり方 完全ガイド【2026年版】
▶ 消費税の確定申告のやり方(インボイス登録者向け)
あなたの場合はどうか(パターン別)
事業場内最低賃金が1,050円を下回っている
助成率が4/5になり、さらに特例事業者(賃金要件)として上限額の10人以上区分が使えます。90円コースで10人以上を引き上げれば上限600万円。条件としては最も有利な位置にいます。
原材料費の高騰で利益率が落ちている
申請前6か月間平均の利益率(売上高総利益率または売上高営業利益率)が前年同期に比べ3%ポイント以上低下している場合、特例事業者(物価高騰等要件)に該当します。上限額の拡大に加えて、通常は対象外のパソコン・スマートフォン・タブレット等の端末と周辺機器の新規導入が助成対象になります。ただし就業規則等に事業場内最低賃金が1,100円である旨を定める必要があり、申請時には「事業活動の状況に関する申出書」の提出が必要です。なお令和8年度から、この判定は「最近3か月間のうち任意の1月」から「最近6か月間平均」に変わりました。
工場と事務所など、事業所が複数ある
申請は事業所ごとです。工場Aと事務所Bはそれぞれ別に申請します。ただし同一事業所の申請は年度内1回までです。
過去に業務改善助成金を使ったことがある
過去に活用した事業者も助成対象になると明記されています。前回と同じ設備区分でも、今年度の要綱・要領で要件を確認し直してください。
現場で起きがちなこと
- 設備業者から「先に押さえておかないと納期に間に合わない」と言われ、交付決定前に発注してしまう。納期が読めない機器ほど、この落とし穴に落ちやすい。事業完了期限の延長制度(理由書の事前提出)があることを業者にも伝えておくと、話が噛み合いやすくなります。
- 就業規則の改定を後回しにして、賃上げ日だけ先に動かしてしまう。引上げ後の事業場内最低賃金額と同額を就業規則等に定める必要があります。10人未満で就業規則がない事業場は、賃金の定めをどう書面化するか事前に労働局へ相談を。
- 「引き上げる労働者数」の数え方を誤り、想定より上限額が下がる。すでに引上げ後の額以上をもらっている人は算入できません。数え方は申請マニュアルに図解があります。
- 支払いをクレジットカードで行い、口座の引き落とし日が翌月になって事業完了日がずれる。銀行振込なら振込日、カードなら引き落とし日が基準です。
相場観と、編集部としての見方
堅実に狙うなら、ここまで
どのみち最低賃金の改定で賃上げが避けられない事業場なら、「やる予定だった賃上げ」に設備投資をひもづけるのがいちばん無理のない使い方です。50円コース・1〜3人でも30万〜70万円。POSレジや管理システムのように、もともと入れる予定だったものを対象にできれば、実質的な持ち出しは小さくなります。
背伸びする価値があるかは、慎重に
上限600万円は90円コースで10人以上を引き上げ、かつ特例事業者に該当する場合の数字です。90円の引上げは翌年度以降も続く固定費であり、助成金は一度きり。「上限額が大きいコースを選ぶ」判断は、助成額ではなく人件費が毎年いくら増えるかで決めるのが本筋です。設備業者やコンサルが上位コースを勧めてくることはありますが、そのコストを負い続けるのは事業者側です。
まず見るべき公式の入口
最新の交付要綱・要領、申請マニュアル、申請書等簡易作成ツールは厚生労働省「業務改善助成金」にあります。個別の判断は業務改善助成金コールセンター(0120-366-440/平日9:00〜17:00)または管轄の都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)へ。
よくある質問
令和8年度の業務改善助成金はいつから申請できますか?
交付申請の受付開始日は令和8年9月1日です。交付要綱・要領は令和8年4月22日に公開されています。申請期限は、申請事業所に適用される地域別最低賃金の発効日の前日までです。
受付開始前に設備を発注してもいいですか?
いけません。交付決定前に助成対象設備の導入を行った場合は助成の対象となりません。賃金引上げも設備投資等も、これから実施するものが対象です。8月にできるのは見積書の取得までと考えてください。
賃上げはいつまでに行う必要がありますか?
令和8年9月1日から、申請事業所の都道府県において適用される地域別最低賃金の発効日の前日、または同年11月30日のいずれか早い日までです。発効日の当日に引き上げた場合は対象外になります。複数回に分けての引上げも認められません。
助成金はいくらもらえますか?
設備投資等にかかった費用に助成率をかけた金額と、コース・人数ごとの助成上限額を比べて、安いほうの金額が支給されます。助成率は引上げ前の事業場内最低賃金が1,050円未満なら4/5、1,050円以上なら3/4です。上限は最大600万円です。
令和7年度から変わった点はありますか?
主な変更点は3つです。助成対象経費の特例だった自動車(特殊用途自動車を除く)が対象外になったこと、引き上げる対象労働者が雇用保険被保険者に限定されたこと、物価高騰等要件の判定が「最近3か月間のうち任意の1月」から「最近6か月間平均」になったことです。
事業はいつまでに完了させればいいですか?
事業完了期限は交付決定の属する年度の1月31日です。導入機器等の納品日、支払完了日、賃金引上げ日のいずれか遅い日が事業完了日になるため、この3つすべてを1月31日までに終える必要があります。やむを得ない理由がある場合は、あらかじめ理由書とともに申請すれば3月31日まで延長される場合があります。
関連する記事
出典
- 厚生労働省「業務改善助成金」(受付開始日・特例事業者・事業完了期限・申請窓口)
- 厚生労働省「令和8年度業務改善助成金のご案内」(R8.4)(助成上限額・助成率・申請期限・変更点)
本記事は2026年8月3日時点で公表されている厚生労働省の資料にもとづく整理です。要件は交付要綱・要領の改定により変わることがあります。申請前に必ず最新の交付要綱・要領をご確認ください。専門家による監修は受けていません。
