自分が使える補助金・助成金を30秒でチェック(無料・登録不要)

退職金にかかる税金と受け取り方【2026年版】申告書を出さないと20.42%源泉徴収|2026年1月からiDeCo先取りの調整は「前年以前9年内」に

退職金の税金と受け取り方の記事アイキャッチ。電卓と納付書が置かれた日本の自宅デスク

まず押さえる3つ

  • 「退職所得の受給に関する申告書」を退職金の受取日の前日までに会社へ出す。出さないと支給額の20.42%がまるごと源泉徴収されます(国税庁 No.2732)。
  • 一時金は税制上とても有利。勤続20年以下は40万円×年数、20年超は800万円+70万円×(年数−20)が控除され、残りをさらに1/2にしてから課税されます。
  • 2026年1月1日から、iDeCo・企業型DCを先に一時金で受け取った人の調整期間が「前年以前4年内」→「前年以前9年内」に延びました。60歳でiDeCo、65歳で退職金という順番だと控除が減る可能性があります。

基準日:2026年7月31日/出典:国税庁タックスアンサー No.1420・No.2732(令和7年4月1日現在法令等)

目次

紙1枚を出したかどうかで、手取りが100万円単位で変わる

退職金の税金でいちばん怖いのは、税率の高さではありません。「退職所得の受給に関する申告書」という紙を会社に出し忘れることです。この申告書を出していれば会社が退職所得控除を計算して源泉徴収してくれますが、出していないと控除がいっさい効かず、支給額に一律20.42%を掛けた額が引かれます。

国税庁が示している例で比べると差が実感できます。

ケース申告書あり申告書なし
退職金800万円・勤続10年2か月
勤続年数は切り上げて11年/控除440万円
91,890円1,633,600円
退職金2,300万円・勤続29年2か月
勤続年数は切り上げて30年/控除1,500万円
380,322円支給額×20.42%
国税庁タックスアンサー No.2732 の計算例をもとに編集部作成。いずれも所得税+復興特別所得税の源泉徴収額。

800万円のケースで差は約154万円。出し忘れても翌年に確定申告をすれば精算されて戻ってきますが、半年から1年ほど資金が拘束されます。退職直後で収入が途切れている時期に150万円が手元にないのは、それだけで生活設計が狂います。

なお退職所得には住民税もかかります。こちらは他の所得と分けて計算する分離課税で、退職所得の金額×10%(市町村民税6%・道府県民税4%)を会社が特別徴収して納めます。翌年に自分で払う必要はありません(総務省「個人住民税」)。

いつ・何をするか(退職2か月前から翌年3月まで)

退職金まわりの失敗は、ほとんどが「知らないうちに期限が過ぎていた」型です。順番に見ていきます。

退職の1〜2か月前

受け取り方を選ぶ書類が届く

企業年金がある会社では、一時金・年金・併用のどれにするかを選ぶ書類がこの時期に配られます。いったん出すと変更できないことが多いので、この段階で下の分岐表を見て決めておきます。

退職金の受取日の前日まで(最重要)

「退職所得の受給に関する申告書」を会社へ提出

提出先は税務署ではなく退職金を払う会社です。過去に他社や企業年金から退職金を受け取っていれば、その分も記入欄に書きます。書き漏らすと後から会社経由で是正することになります。

退職から2〜4週間

「退職所得の源泉徴収票(特別徴収票)」を受け取る

確定申告や自治体の手続きで使います。再発行を頼むと数週間かかるため、届いたら年金手帳・雇用保険被保険者証と同じ場所に保管します。

退職から1〜2か月

iDeCo・企業型DCは自分で受取請求をする

会社の退職金と違い、DCは自分で運営管理機関に連絡しないと1円も動きません。書類の到着に2週間前後、その後の入金までさらに1〜2か月かかるのが一般的です。

退職した年の年末

年末調整がないので給与分の精算が残る

年の途中で退職して再就職しない場合、給与所得の年末調整が行われません。給与から引かれすぎた所得税は確定申告で戻ります(退職金とは別の話です)。

翌年2月16日〜3月15日

確定申告(必要な人・戻る人だけ)

申告書を出し忘れて20.42%引かれた人、医療費控除や寄附金控除を使う人、再就職しなかった人はここで精算します。還付だけなら5年以内でも請求できますが、早いほど資金繰りが楽です。

退職所得控除は勤続年数で階段状に増える

控除額は勤続20年を境に伸び方が変わります。20年までは1年あたり40万円、21年目からは1年あたり70万円です。この段差があるため、勤続20年を数か月またぐかどうかで控除が数十万円変わることがあります。勤続年数の1年未満の端数は切り上げなので、20年2か月なら21年として計算されます。

勤続年数別の退職所得控除額

勤続10年400万円勤続20年800万円勤続25年1,150万円勤続30年1,500万円勤続35年1,850万円勤続40年2,200万円 国税庁 No.1420 の計算式(20年以下=40万円×年数/20年超=800万円+70万円×(年数−20))に基づき編集部が算出

控除しきれずに残った金額は、さらに2分の1にしてから税率をかけます。つまり勤続30年で退職金が1,500万円以下なら、所得税・住民税ともゼロです。

ただし2分の1が使えない例外が2つあります。役員等としての勤続年数が5年以下の人が受け取る「特定役員退職手当等」は2分の1計算がありません。また役員以外でも勤続5年以下の「短期退職手当等」は、控除後の金額のうち300万円を超える部分について2分の1が使えません(国税庁 No.2732)。

知らないと損する4つのポイント

申告書は「受取日の前日まで」。退職日ではありません

退職金の振込が退職の1〜2か月後になる会社もあります。提出期限は退職金が支払われる日の前日まで。総務から渡されないまま退職してしまったら、振込前に自分から連絡してください。

過去の退職金を書き漏らすと、あとで是正が必要になる

申告書には過去に受け取った退職手当等を記入する欄があります。前職の退職金や企業年金の一時金を書かずに出すと、控除が過大に計算され、後から会社を通じて訂正することになります(国税庁 質疑応答事例)。

勤続年数の端数は切り上げ。数か月の差が控除を動かす

19年10か月なら20年、20年1か月なら21年。退職日を数か月ずらせるなら、20年・30年の節目を越えられないかは確認する価値があります。

年金でもらうと、税金だけでなく国保・後期高齢者医療の保険料に響く

企業年金やiDeCoを年金形式で受け取ると公的年金等の雑所得になり、公的年金と合算されます。一方、一時金として受け取った退職所得は分離課税で、保険料算定の所得には原則含まれません。「税金は同じくらいでも保険料で差がつく」のはここです。算定方法は自治体で異なるため、加入先の市区町村・広域連合で確認してください。

2026年1月から変わった「iDeCoを先にもらう」ときの調整

退職所得控除は、短い間隔で複数の退職金を受け取ると重複する勤続期間の分だけ差し引かれます。この「重複調整の対象になる期間」が、2026年(令和8年)1月1日以後に支払を受けるものから変わりました。

受け取る順番調整対象になる期間
iDeCo・企業型DCの老齢一時金が先/会社の退職金が後前年以前9年内(2026年1月1日以後に受け取ったDC一時金が対象。それより前に受け取った分は従来どおり前年以前4年内)
会社の退職金が先/iDeCo・DCの一時金が後前年以前19年内(従来と同じ)
上記以外の退職手当等どうし前年以前4年内
出典:国税庁タックスアンサー No.2732「退職手当等に対する源泉徴収」(令和7年4月1日現在法令等)を編集部が表に整理。

いわゆる「5年ルールが10年ルールになった」と言われているのがこれです。60歳でiDeCoを一時金で受け取り、65歳で会社の退職金を受け取るという設計は、2026年以降だと重複調整の対象に入ります。逆方向(先に会社の退職金、あとからiDeCo)は以前から19年内が対象なので、変更の影響はありません。

重複調整といっても控除がゼロになるわけではなく、重複する勤続年数分の控除額相当が差し引かれる仕組みです。金額のインパクトは勤続年数と受取額で大きく変わるため、該当しそうな人は受け取り前に税務署または税理士に個別確認するのが確実です。

一時金か年金か:あなたの場合はどちらか

企業年金や確定拠出年金がある人は、受け取り方を選べます。制度上の一般論としての判断材料を整理します。

あなたの状況検討の向き理由
勤続が長く、退職金が退職所得控除の枠に収まる一時金が有力控除内なら所得税・住民税ともかからず、国保などの保険料算定にも原則入りません。
住宅ローンの残債がある/退職後に大きな支出予定がある一時金が有力まとまった現金が必要な局面では、税制の有利さと資金需要の向きが一致します。
退職金が控除枠を大きく超える/お金の管理に不安がある年金・併用も検討年金受取は据置期間中も運用が続き、受取総額が増える制度設計になっていることがあります(利率・条件は制度ごとに違います)。
65歳以降も働く予定/公的年金の繰下げを考えている年金受取は要注意企業年金・iDeCoの年金は公的年金等の雑所得となり、公的年金と合算されます。給与や公的年金と重なる年に集中させると所得が膨らみます。
iDeCo・DCと会社の退職金の両方がある受け取る順番と間隔を先に確認上の重複調整表のとおり、順番と年の空け方で控除額が変わります。
公的年金等控除の額は年齢と年金収入額、年金以外の所得によって変わります(国税庁 No.1600)。実際の有利不利は個別に試算が必要です。

現場でつまずくポイントと回避法

ここからは、体験談として語られることの多いつまずき方です。制度の説明ではなく「実際にどこで止まるか」の話なので、事実関係は各制度の窓口で確認してください。

申告書を「もらった記憶がない」まま退職している

退職時は返却物・保険・年金の書類が一度に押し寄せるため、申告書1枚が紛れます。退職手続きの説明会でまとめて配られ、その場で書いて出す会社もあれば、後日郵送する会社もあります。「退職所得の受給に関する申告書は出しましたか」と総務に一言確認するだけで防げます。退職金の振込前なら、たいてい間に合います。

iDeCoは「請求しないと出てこない」ことを知らない

会社の退職金は自動的に振り込まれますが、iDeCoや企業型DCは運営管理機関へ自分で裁定請求をしないと動きません。よく語られるのは、請求書類の取り寄せに2週間ほど、書類提出から入金までさらに1〜2か月という時間感覚です。「退職金と同じタイミングで入る」と思って生活費を組むとずれます。

退職所得の源泉徴収票を捨ててしまう

給与の源泉徴収票とは別に、退職金には「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」が発行されます。確定申告や、その後の各種手続きで求められることがあります。再発行は会社の経理を経由するため時間がかかります。退職関係の書類はまとめて1つのクリアファイルに入れ、最低5年は保管するのが無難です。

退職した年の「住民税の請求」に驚く

退職金にかかる住民税は会社が特別徴収して完了しますが、給与にかかる住民税は前年の所得に対して翌年に請求されます。退職金の税金の話とは別物で、収入が途切れた年に前年分の請求だけが届きます。ここは減免の余地がある場合もあるので、退職後の住民税と保険料の減免もあわせて確認してください。

どこまでやるか:編集部の価値判断

退職金の受け取り方は、金融機関や保険代理店にとって提案の入口になりやすいテーマです。相談すると運用商品や保険への組み替えを勧められる場面が多くなります。それ自体が悪いわけではありませんが、判断の順番として、まず税金の取りこぼしをなくすほうが先です。順に整理します。

堅実に済ませたい人はここまで

①申告書を期限までに出す ②iDeCo・DCがあるなら受け取る順番と間隔だけ確認する ③退職所得の源泉徴収票を保管する。この3つで、大多数の人は「損をしない状態」になります。退職金が退職所得控除の枠内なら、そもそも税金はかかりません。

最適化したい人はここまで

退職金が控除枠を大きく超える、iDeCoと退職金の両方がある、65歳以降も働く予定がある——このどれかに当てはまるなら、受け取り前に税理士に有料で試算を頼む価値があります。受け取ったあとでは打ち手がほとんどありません。相談は税務署の電話相談センターでも受け付けています。

急がなくていいこと

受け取った退職金の運用先を退職直後に決めることです。振り込まれた直後は判断が鈍りやすく、この時期の営業も集中します。使い道が決まっていないお金は、当面そのまま置いておいても損はしません。生活費の見通しが立ってから考えても遅くありません。

よくある質問

退職金の税金はいくらかかりますか?

勤続年数から計算した退職所得控除額を差し引き、残りを2分の1にした額に税率をかけます。勤続20年以下は40万円×勤続年数、20年超は800万円+70万円×(勤続年数−20年)が控除額です。退職金がこの控除額以下なら所得税・住民税はかかりません。

「退職所得の受給に関する申告書」を出さないとどうなりますか?

退職金の支給額に一律20.42%をかけた所得税・復興特別所得税が源泉徴収されます。退職所得控除がいっさい適用されないため、支給額800万円なら1,633,600円が引かれます。翌年に確定申告をすれば精算されて戻ってきますが、半年から1年ほど資金が拘束されます。

申告書はどこに、いつまでに出しますか?

税務署ではなく、退職金を支払う会社(支払者)に提出します。期限は退職金の支払を受ける日の前日までです。退職日ではなく振込日が基準なので、退職後に振り込まれる会社では退職後でも間に合う場合があります。

2026年からiDeCoの受け取りで何が変わりましたか?

iDeCoや企業型DCの老齢一時金を先に受け取り、あとから会社の退職金を受け取る場合の退職所得控除の重複調整期間が、「前年以前4年内」から「前年以前9年内」に延びました。2026年1月1日以後に支払を受けたDC一時金が対象です。会社の退職金が先でiDeCoが後の場合は従来どおり前年以前19年内です。

一時金と年金、どちらで受け取るほうが得ですか?

一律の正解はありません。退職所得控除の枠に収まるなら一時金は税金がかからず、国民健康保険料などの算定にも原則含まれないため有利になりやすい一方、年金受取は据置中も運用が続く制度設計のことがあります。年金受取は公的年金等の雑所得として公的年金と合算されるため、公的年金の受給開始時期や就労予定と合わせて判断してください。

退職金にも住民税はかかりますか?

かかります。退職所得の金額に10%(市町村民税6%・道府県民税4%)をかけた額を、会社が特別徴収して納めます。他の所得と分けて計算する分離課税なので、翌年に自分で納める必要はありません。

あわせて読みたい

出典・確認先(2026年7月31日時点)

本記事は編集部が上記の公的機関の公開情報をもとに整理したものです。専門家の監修は受けていません。税額は勤続年数・受取額・他の退職金の有無によって結論が変わります。具体的な判断が必要な場合は、税務署(電話相談センター)または税理士にご相談ください。企業年金・確定拠出年金の受け取り方や利率は制度ごとに異なるため、勤務先および運営管理機関の規約をご確認ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

みんなのミカタナビ編集部です。運営者・たくの編集方針のもと、相続・出産・退職・補助金など「知らないと損する手続きとお金」を、公的機関の一次情報と体験談の取材をもとに時系列で整理しています。数値・期限は必ず公式情報で裏取りし、出典を明記します。

目次