会社を辞めたあと、再就職までの生活を支えてくれるのが失業給付(雇用保険の「基本手当」)です。ただ「自己都合だと3ヶ月待たされる」という古い情報のまま動くと、もらえるお金を取りこぼしたり、受給のタイミングを間違えたりしがちです。2025年4月の改正で自己都合の給付制限は原則1ヶ月に短縮され、ルールは変わりました。この記事では、公的機関(ハローワーク・厚生労働省)の情報をもとに、編集部が「この通り動けば損しない」手順を時系列で整理します。
※本記事は編集部が公式情報を整理したものです(専門家個別監修ではありません)。基準日:2026年7月25日。金額・日数は必ず最寄りのハローワークでご確認ください。
まず結論:失業給付の要点
| 何を | 再就職までの生活費を支える「基本手当」。退職前6ヶ月の賃金がベース |
| いつまでに | 離職後すぐ手続き。受給できる期間は離職日の翌日から原則1年。遅れると日数を消化しきれず損 |
| いくら | 賃金日額の45〜80%。1日あたり上限は年齢別で最大8,870円(45〜59歳・2025年8月時点) |
| どのくらい | 自己都合:90〜150日/会社都合:90〜330日(年齢と加入年数で決まる) |
そもそも失業給付(基本手当)とは?もらえる条件
失業給付は「働く意思と能力があり、求職活動をしているのに就職できない」状態の人に、雇用保険から支給されるお金です。単に退職しただけ・すぐ働く予定がない場合は対象外です。もらうには、以下の被保険者期間の要件を満たす必要があります。
| 離職理由 | 必要な被保険者期間 |
|---|---|
| 自己都合・定年など(一般の離職者) | 離職前2年間に通算12ヶ月以上 |
| 倒産・解雇など(特定受給資格者)/一部の特定理由離職者 | 離職前1年間に通算6ヶ月以上 |
申請から入金までの流れ【時系列タイムライン】
自己都合退職を例に、手続きの流れを時系列で並べます。期限の重さを色で示しました(紺=準備/緑=手続き/金=待つ期間/赤=入金・重要)。
会社から離職票(-1・-2)を受け取る。通常10日〜2週間で郵送。届かなければ会社へ催促を。
ハローワークで求職申込み+受給資格の決定。ここから全員共通の待期7日間が始まる。
自己都合は待期後に給付制限が原則1ヶ月(2025年4月改正で2ヶ月→1ヶ月)。会社都合はこの制限がなく、待期7日後すぐ支給対象。
雇用保険説明会に出席し、雇用保険受給資格者証などを受け取る。初回認定日の案内も。
求職活動実績を申告。以降は原則4週間に1回の認定日ごとに、直近期間で原則2回以上の求職活動実績が必要。
失業と認められれば、認定日から通常5営業日程度で口座に振込。以後、所定給付日数まで4週間ごとに繰り返す。受給できるのは離職日翌日から1年以内。
⚠️ 申請しないと損する・つまずくポイント
- 離職票が来ないと始まらない:退職後2週間で届かなければ会社へ、それでも出ない場合はハローワークへ相談を。
- 受給期間は原則1年で時効:病気・妊娠・出産・育児・介護などですぐ働けないときは、受給期間の延長申請(最大3年まで延長・合計4年以内)を早めに。放置すると受給できずに損。
- 2025年改正の裏ワザ:自己都合でも、離職前1年以内などに自ら教育訓練を受けていれば給付制限が解除され、待期7日後から受給できる場合がある。
- 無申告のバイトは厳禁:受給中の就労は申告義務あり。隠すと不正受給として受給額の返還+最大2倍(合計3倍)の納付を求められる。
もらえる日数:自己都合と会社都合はこんなに違う
もらえる日数(所定給付日数)は「離職理由 × 年齢 × 雇用保険の加入年数」で決まります。自己都合は年齢に関係なく最大150日ですが、会社都合(特定受給資格者)は最大330日と大きく差がつきます。
■ 自己都合・定年など(全年齢共通)
| 10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|
| 90日 | 120日 | 150日 |
■ 倒産・解雇など(特定受給資格者)
| 年齢 | 1年未満 | 1〜5年 | 5〜10年 | 10〜20年 | 20年〜 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90 | 90 | 120 | 180 | — |
| 30〜35歳 | 90 | 120 | 180 | 210 | 240 |
| 35〜45歳 | 90 | 150 | 180 | 240 | 270 |
| 45〜60歳 | 90 | 180 | 240 | 270 | 330 |
| 60〜65歳 | 90 | 150 | 180 | 210 | 240 |
※単位は日。障害者等の就職困難者は別枠(最大360日)。65歳以上での離職は基本手当ではなく高年齢求職者給付金(一時金30日/50日分)。
1日いくら?基本手当日額の上限(2025年8月〜)
1日あたりの手当(基本手当日額)は、退職前6ヶ月の賃金の合計を180で割った「賃金日額」の45〜80%(賃金が低い人ほど高い率)です。ただし年齢ごとに上限があり、毎年8月1日に改定されます。以下は2025年8月1日からの上限額です。
基本手当日額の上限(年齢別)
下限額は全年齢共通で2,411円(2025年8月1日〜)。上限に達する人以外は「賃金日額×給付率」で計算されます。
あなたの場合はどう動く?パターン別の分岐
自分の意思で辞めた(自己都合)
待期7日+給付制限1ヶ月を経てから支給。日数は加入年数のみで決まり最大150日。国民健康保険料の軽減(非自発的失業者向け)は受けられません。
解雇・倒産・雇止めなど(会社都合・特定受給資格者)
給付制限なしで待期7日後すぐ支給対象。日数も手厚く最大330日。さらに国民健康保険料が前年所得の3割で計算される軽減措置の対象になり得ます。退職後の健康保険選びとセットで検討を。
5年間で3回以上、自己都合で辞めている
この場合の給付制限は3ヶ月に伸びます。短期離職を繰り返している人は要注意。
妊娠・出産・育児・介護・病気ですぐ働けない
今は求職できないので、受給期間の延長申請を。働ける状態になってから受給を開始できます。申請を忘れると1年の時効で権利が消えます。
現場でよくあるトラブルと対処法
体験談ブログや相談事例で目立つ「つまずき」を、編集部の視点で整理しました。
- 離職票の退職理由が実態と違う(勝手に自己都合にされた):ハローワークで異議申立てができます。残業時間の記録・退職勧奨のメール・タイムカードなど、実態を示す資料を持参すると認められやすくなります。
- 認定日に行けなくなった:原則その回は不支給ですが、就職・面接・国家試験・本人の病気・親族の葬儀などは、証明書があれば認定日の変更・振替が可能です。事前にハローワークへ連絡を。
- 求職活動実績が2回に足りない:求人応募だけが実績ではありません。ハローワークでの職業相談、セミナーや説明会への参加も1回としてカウントされます。ネット応募だけで済ませず、窓口相談を組み合わせると安全です。
- 「すぐ働ける状態」と言えず受給資格が下りない:受給には「働く意思と能力」が前提。療養が必要な間は前述の受給期間延長を使い、無理に受給しないのが結果的に得です。
編集部の価値判断:損しない受け取り方の目安
「1日でも早く・1円でも多く」だけを追うと、かえって損をすることがあります。判断材料として、編集部の考え方を示します(最終判断はご自身で)。
- 会社都合を偽装しない:早く受給したいために離職理由を偽るのは不正受給のリスク。実態に沿って手続きするのが最も安全で結果的に得です。
- 「再就職手当」も視野に:早く決まっても損とは限りません。所定給付日数を3分の2以上残して就職すると残日数の70%、3分の1以上残しなら60%が一時金でもらえます。だらだら受給しきるより有利なことも。
- 堅実に済ませたい人:給付を生活防衛に充てつつ、認定に必要な最低限の求職活動をこなし、条件の合う仕事を計画的に探す。
- キャリアを立て直したい人:教育訓練給付と組み合わせ、給付を受けながらスキルを磨く期間として使う。2025年改正で、自己都合でも教育訓練を受ければ給付制限が解除される点も後押しになります。
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よくある質問(FAQ)
失業給付は手続きから何日で振り込まれますか?
会社都合なら、待期7日の後に最初の認定を受け、認定日から通常5営業日程度で初回が振り込まれます。自己都合は待期7日に加えて原則1ヶ月の給付制限があるため、最初の入金は手続きから約1ヶ月半後が目安です。
自己都合と会社都合で何が違いますか?
大きな違いは3つです。①給付制限(自己都合は原則1ヶ月、会社都合はなし)②もらえる日数(自己都合は最大150日、会社都合は最大330日)③国民健康保険料の軽減(会社都合=非自発的失業者は対象になり得る)。会社都合のほうが手厚くなります。
パート・アルバイトでも失業給付はもらえますか?
雇用保険に加入していて、必要な被保険者期間(自己都合なら離職前2年間で12ヶ月以上)を満たしていればもらえます。週の所定労働時間が短く雇用保険未加入だった場合は対象外です。給与明細や離職票で加入状況を確認しましょう。
受給中にアルバイトをしてもいいですか?
可能ですが、働いた日や収入は必ず認定時に申告が必要です。労働時間や収入によってその日の手当が減額・繰り延べになります。無申告は不正受給となり、受給額の返還に加えて最大2倍(合計3倍)の納付を求められるため、必ず正直に申告してください。
出典・参考(公式)
- ハローワークインターネットサービス(厚生労働省)「基本手当について」「基本手当の所定給付日数」
- 厚生労働省「令和7年4月1日から自己都合離職者の給付制限期間が見直されます」
- 厚生労働省「令和7年8月1日から雇用保険の基本手当日額等が変更されます」
※制度・金額は2026年7月25日時点。最新の要件・金額はお住まいを管轄するハローワークで必ずご確認ください。
なお、所定給付日数を3分の1以上残して再就職が決まった場合は、残りをまとめて受け取れる再就職手当の対象になります。給付率は残日数によって70%と60%に分かれ、1日の違いで数万円変わることもあります。
