まず結論:3つだけ押さえれば迷いません
| 何を | 運転免許証を警察に返し、希望すれば運転経歴証明書を同時に申請します。返納そのものの手数料はかかりません。 |
| いつまでに | 返納に期限はありません。ただし運転経歴証明書は返納から5年以内でないと申請できません。 |
| いくら | 運転経歴証明書のみ1,150円/マイナ経歴証明書のみ900円/2枚持ち1,250円(東京都の場合)。 |
※本記事は2026年8月5日時点。手数料・受付時間は都道府県で異なるため、最後に必ずお住まいの県警サイトで確認してください。
「親の運転が心配だが、どう切り出せばいいかわからない」「返納したら身分証がなくなるのでは」——運転免許の自主返納は、手続き自体は1回の窓口訪問で終わるのに、周辺の不安が大きいテーマです。この記事では警察庁と警視庁の公式情報をもとに、手続きの流れ・かかるお金・返納後に受けられる支援を、家族が動きやすい順番で整理しました。
自主返納とは:できる人と、できない人がいる
自主返納は、運転免許が不要になった方や、加齢に伴う身体機能の低下等で運転に不安を感じるようになった方が、自分の意思で運転免許を取り消してもらう制度です。年齢の条件はなく、高齢者に限られた制度ではありません。
ただし警察庁は返納できない人を明示しています。運転免許の停止・取消しの行政処分中の方、そして停止・取消処分の基準等に該当する方は自主返納できません。つまり「違反が重なって処分が始まりそうな段階」では、自主返納という選択肢が使えなくなることがあります。
手続きの流れと、当日つまずきやすいところ
流れそのものは単純です。ただしどこで申請するかによって、受け取りまでの日数と写真の要否が変わります。ここが実際にいちばん差が出るところです。
当日の流れ(試験場で申請する場合)
STEP1|持ち物をそろえる
運転免許証(またはマイナ免許証、両方持ちなら両方)。警察署で申請するなら申請用写真1枚が必須です。
STEP2|窓口で返納を申請する
運転免許試験場・免許更新センター・警察署のいずれかへ。平日は概ね8時30分〜16時台までですが、試験場だけは日曜も受付している地域があります。
STEP3|運転経歴証明書を同時に申請する
返納と同時の申請がいちばん手間が少ない方法です。写真は持参分か、試験場で撮影したものを選べます。
STEP4|受け取る(ここで大きく差がつく)
試験場なら即日交付。警察署・更新センターだと約2週間(東京の島部の警察署は約4週間)かかります。
5年を過ぎたら|もう申請できません
返納から5年、失効から5年を過ぎると運転経歴証明書は交付されません。ここだけが実質的な締切です。
手数料と必要書類
返納そのものは無料です。お金がかかるのは運転経歴証明書などを申請する場合だけです。
| 申請するもの | 手数料 | こんな人に |
|---|---|---|
| 運転経歴証明書のみ | 1,150円 | カード型の身分証を手元に置きたい人(最も一般的) |
| マイナ経歴証明書のみ | 900円 | マイナンバーカードに一体化したい人 |
| 2枚持ち(両方) | 1,250円 | 特典提示用のカードも手元に残したい人 |
出典:警視庁(2026年3月10日更新)。金額は東京都の例で、他県では異なる場合があります。
必要書類は、日本国籍の方であれば運転免許証(またはマイナ免許証、両方あれば両方)と申請用写真1枚です。なお外国籍の方の必要書類は、令和7年10月1日の道路交通法施行規則改正で変更されているため、県警サイトで最新の一覧を確認してください。
損しないポイント
申請しないと損すること・戻せないこと
- 運転経歴証明書は5年で締切。返納後5年、失効後5年を過ぎると一生取れません。迷ったら返納と同時に取るのが安全です。
- 取消処分になると取れません。交通違反で免許取消しになった人は対象外。自主的に返す前に処分が始まると権利を失います。
- 特典は「提示」が条件。バス・タクシーの割引や自治体の商品券は、運転経歴証明書を見せて初めて受けられます。証明書がないと使えない特典が多数あります。
- 返納は取り消しできません。もう一度運転したい場合は、学科・技能試験から取り直しになります。
あなたの場合はこう:状況別の進め方
本人が「もう運転しない」と納得している場合
最短ルートです。試験場へ本人が行けば即日で運転経歴証明書まで終わります。写真代を節約したいなら試験場の証明写真機を使えます。
家族が心配しているが、本人が渋っている場合
返納は本人の意思でしかできません。家族が代わりに決めることはできず、代理人申請も「本人が返納を決めた後の手続き代行」に限られます。まず移動手段の代替案(介護タクシー・コミュニティバス・買い物代行)を用意してから話すほうが進みます。
本人が窓口へ行けない場合
代理人による申請ができます。委任状と、代理人の住所・氏名・生年月日が確認できるものを持参します。ただし受け取りまでの日数は延びます。
マイナ免許証を持っている場合
マイナ免許証と従来の免許証の両方を持っているなら両方を持参します。マイナ経歴証明書だけなら900円と安く済みますが、カードを提示して使う特典には不向きなことがあります。
現場でよくあるつまずきと、その回避法
公式の案内を読んだだけでは気づきにくく、窓口で戸惑いやすいのは次の点です。いずれも警視庁の案内に根拠のある内容です。
警察署で申請すると、写真を持っていかないと手続きできない
試験場には証明写真機があり、その場で撮った写真を使えます。一方警察署や更新センターでは「持参した申請用写真がそのまま運転経歴証明書の写真になる」扱いです。写真を忘れると出直しになるため、近所の警察署で済ませるつもりの方は写真の準備を先に済ませてください。
近所の警察署のほうが「早い」とは限らない
距離だけで選ぶと、受け取りが2週間先になります。身分証をすぐ手元に置きたい場合は、遠くても試験場に行って即日交付を受けるほうが結果的に早く終わります。
郵送で受け取るならレターパックを先に買う
警察署・更新センターで申請し、運転経歴証明書を郵送で受け取りたい場合は、レターパックライト(青色・430円)を郵便局で事前に購入し、申請時に持参する必要があります。窓口では売っていません。
返納する免許証の住所が古いままだと止まることがある
返納する免許証の住所が現住所と異なる場合は、現住所が分かるもの(マイナンバーカード、住民票の写しなど)も必要です。引っ越し後に住所変更をしていない方は要注意です。
体験談として多く語られるのは「本人を説得するほうが手続きより何倍も大変だった」という声です。手続きは1日で終わりますが、移動手段の代替が用意できていないと話が進まないケースが目立ちます。先に介護保険の申請や地域のコミュニティバスを調べておくと、会話の内容が「取り上げる話」から「代わりの手段の話」に変わります。
返納後に受けられる支援と特典
運転免許証を自主返納した方を対象に、地域の実情に応じて自治体や事業者による様々な支援が行われています。内容は地域差が大きく、路線バスの運賃が半額になる地域、タクシー運賃が1割引になる地域、商品券やタクシーチケットを配布する自治体などがあります。
共通しているのは運転経歴証明書を提示して使うという点です。全国の制度は全日本指定自動車教習所協会の「高齢運転者支援サイト」、東京都の加盟企業の特典は警視庁のサポート協議会一覧にまとまっています。返納前に地元の制度を調べておくと、本人への説明材料にもなります。
相場観と編集部の価値判断
編集部の判断材料:どこまでやるかは価値観で決めていい
堅実に済ませたい人はここまで。試験場に一度行き、返納と運転経歴証明書(1,150円)を同時に済ませる。これで身分証は生涯確保でき、特典も使えます。追加費用はかかりません。
手続きを一度で終わらせたい人はここまで。マイナンバーカードを持参して一体化まで済ませる。2枚持ち(1,250円)にすれば、提示用のカードとマイナ側の記録の両方が残ります。
逆に、急いで決めなくてよいことも判断材料です。返納に期限はありません。実質の締切は「返納後5年以内に運転経歴証明書を取る」ことだけ。まず車を使わない生活を数週間試し、移動手段の目処が立ってから窓口へ行く進め方も十分に現実的です。
よくある質問
自主返納に手数料はかかりますか?
返納そのものは無料です。費用がかかるのは運転経歴証明書などを申請する場合で、東京都では運転経歴証明書のみ1,150円、マイナ経歴証明書のみ900円、2枚持ちで1,250円です。
免許を返納したら身分証明書がなくなりますか?
平成24年4月1日以降に交付された運転経歴証明書は、運転免許証に代わる公的な本人確認書類として使えます。有効期限がなく生涯使えるため、返納と同時に申請しておくのが安心です。
返納したあとで気が変わったら、免許を戻せますか?
戻せません。再び運転するには、学科試験・技能試験を受けて取り直す必要があります。迷っている段階なら、まず運転をやめてみて生活が回るかを試してから返納するほうが安全です。
誰でも自主返納できますか?
できない人がいます。運転免許の停止・取消しの行政処分中の方や、停止・取消処分の基準等に該当する方は自主返納できません。また交通違反等で免許取消しになった方は運転経歴証明書の交付も受けられません。
運転経歴証明書はあとから申請できますか?
返納から5年以内であれば、あとからでも申請できます。更新を受けずに失効した場合も、失効から5年以内なら申請できます。5年を過ぎると申請できなくなります。
家族が本人に代わって返納できますか?
家族が本人の意思に反して返納することはできません。本人が返納を決めたうえで、窓口での手続きを代理人が行うことは可能で、その場合は委任状が必要です。
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出典(すべて公的機関)
- 警察庁「運転免許証の自主返納について」(返納できない場合・運転経歴証明書の5年要件・本人確認書類としての利用)
- 警視庁「運転免許証等の自主返納と同時に運転経歴証明書等の交付申請をする方」(2026年3月10日更新/手数料・必要書類・交付までの日数・委任状・レターパックライト)
- 警視庁「高齢者運転免許自主返納サポート協議会加盟企業・団体の特典一覧」
- 全日本指定自動車教習所協会「高齢運転者支援サイト」(自治体・事業者の支援制度)
基準日:2026年8月5日。手数料・受付時間・特典の内容は都道府県および事業者ごとに異なります。手続き前に必ずお住まいの都道府県警察のサイトで最新情報を確認してください。
