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成年後見制度の使い方【2026年版】申立て費用は実費1万円台+鑑定10万円・報酬は月2万円〜|2026年6月成立の民法改正で「終身制」が終わる

年配の人の手に若い人の手が添えられ、そばに書類と印鑑。成年後見制度の使い方

「親の認知症が進んで、銀行が預金を動かしてくれない」「実家を売りたいが本人が契約できない」。こうした場面で出てくるのが成年後見制度です。ただ、いざ調べると「一度始めたらやめられない」「専門職に毎月お金がかかる」といった話が出てきて、判断に迷う方がほとんどです。この記事では、費用と手続きの実額、いつ使うべきで、いつ他の方法を考えるべきかを、裁判所・法務省の公式情報をもとに編集部が整理しました。

まず押さえる4つの結論
どこへ・誰が
本人の住所地を管轄する家庭裁判所へ申立て。本人・配偶者・四親等内の親族などが申立てできます。
初期費用
印紙・切手・診断書などでおおむね1万〜2万円台。鑑定が必要になると別に10万〜20万円程度。
続く費用
専門職が選ばれた場合の報酬めやすは月2万円から(管理財産が多いほど増額)。本人の財産から支払われます。
2026年の大改正
2026年6月17日に民法改正が成立。後見・保佐を廃止して補助に一元化する内容で、施行は公布から2年6か月以内。今申し立てる場合は現行制度が適用されます。
※基準日:2026年7月29日時点。費用は裁判所の公表資料に基づく目安で、事案・管轄により異なります。
目次

まず「法定後見」か「任意後見」かを分ける

成年後見制度は大きく2つに分かれます。すでに判断能力が落ちている人のための「法定後見」と、元気なうちに将来に備えて自分で決めておく「任意後見」です。任意後見は本人に契約する能力があるうちしか作れません。ここが最大の分かれ道です。

法定後見はさらに、本人の判断能力の程度で3つの類型に分かれます。どの類型になるかは、医師の診断書などをもとに家庭裁判所が判断します。

類型本人の状態の目安できること申立手数料
後見判断能力が欠けているのが通常の状態日常生活に関する行為を除き、財産に関するすべての法律行為を代理。本人がした契約は原則取り消せる800円
保佐判断能力が著しく不十分借金・不動産の売買・相続の承認など重要な行為に同意権。申立てにより特定の行為の代理権を追加できる800円+代理権付与ごとに800円
補助判断能力が不十分本人が同意した範囲で、必要な行為だけに同意権・代理権を設定800円+同意権・代理権付与ごとに800円
出典:裁判所「申立てをお考えの方へ(成年後見・保佐・補助)」。保佐・補助で代理権や同意権の付与を求める場合、申立手数料は合計1,600〜2,400円になります。

申立てから就任までの流れ(時系列タイムライン)

申立てから後見人が決まるまで、おおむね2〜4か月を見ておくのが現実的です。「今月中に実家を売りたい」といった急ぎの話には間に合いません。

STEP1|まず地域包括支援センターか家庭裁判所に相談(費用0円)
いきなり書類を集める前に相談すると、そもそも後見が必要な事案かどうかを整理できます。家庭裁判所は手続きの案内はしても、申立てをすべきかの助言はしません。生活面の相談は地域包括支援センターが入口です。
STEP2|医師の診断書をもらう(数千円〜1万円程度)
裁判所指定の書式で、かかりつけ医などに作成してもらいます。書式は裁判所のサイトからダウンロードして持参します。あわせて本人の生活状況を家族が記入する「本人情報シート」を用意すると、診断がスムーズです。
STEP3|書類を集めて申立て(実費1万〜2万円台)
申立書、本人の戸籍謄本・住民票、財産目録と資料、収支予定表、「登記されていないことの証明書」(300円)などをそろえて家庭裁判所へ。財産目録は通帳のコピーや不動産の資料が必要で、ここが一番時間のかかる作業です。
STEP4|家庭裁判所での面接・調査(申立てから数週間)
申立人と後見人候補者が裁判所で面接を受けます。本人にも調査官が面談や書面で意思を確認します。
STEP5|必要なら鑑定(10万〜20万円程度・数週間〜)
裁判所が必要と判断した場合のみ行われます。申立ての時点で納める費用ではありません。実務上、診断書で足りるとして鑑定を省略する例も多く見られます。
STEP6|審判・確定(申立てから2〜4か月が目安)
後見人が選任されます。審判書を受け取ってから2週間で確定し、その後、法務局に後見登記がされます。
STEP7|就任後は毎年1回、家庭裁判所へ報告
財産目録と収支状況を年1回報告します。この事務が続くかぎり制度は続くのが現行制度の基本形です。
注意|現行制度では途中でやめられないのが原則
「不動産を売るためだけに使う」ことはできません。本人が判断能力を回復した場合などを除き、原則として本人が亡くなるまで続きます。ここが最も後悔の声が多い部分です。

費用の内訳|最初にいくら、その後いくら

項目金額の目安補足
申立手数料(収入印紙)800円後見・保佐・補助の開始。代理権・同意権の付与を求めるとさらに各800円
後見登記手数料(収入印紙)2,600円審判が確定すると法務局に登記される
連絡用の郵便切手3,000〜5,000円程度管轄の家庭裁判所ごとに必要な組合せが指定される
医師の診断書数千円〜1万円程度裁判所指定の書式。医療機関により金額が異なる
登記されていないことの証明書300円法務局で取得
戸籍謄本・住民票など1通数百円本人・後見人候補者の分
鑑定費用(必要な場合のみ)10万〜20万円程度裁判所が必要と判断したときに納める
専門職後見人の報酬(毎年)月2万円〜管理財産1,000万円超5,000万円以下は月3〜4万円、5,000万円超は月5〜6万円が大阪家裁のめやす
出典:裁判所「申立てをお考えの方へ(成年後見・保佐・補助)」、大阪家庭裁判所「成年後見人等の報酬額のめやす」(令和4年2月)。報酬額に法律上の基準はなく、裁判官が事案ごとに決めます。切手代など一部は管轄により異なります。

見落とされがちですが、後見人の報酬は本人の財産から支払われます。家族の持ち出しではない一方、月2万円なら年24万円、10年で240万円が本人の資産から減っていく計算になります。付加報酬(特別に困難な事情があった場合、基本報酬の50%の範囲内)が付くこともあります。

専門職後見人の基本報酬めやす(月額・大阪家裁) 〜1,000万円2万円 1,000万〜5,000万円3〜4万円 5,000万円超5〜6万円 大阪家庭裁判所「成年後見人等の報酬額のめやす」(令和4年2月)をもとにみんなのミカタナビ作成。管轄・事案により異なります。

ここを知らないと後悔する4つのポイント

申し立てる前に必ず確認したいこと
  1. 目的が終わっても、原則やめられない。現行制度では、実家の売却や保険金の請求が終わっても後見は続きます。「一度きりの手続きのため」に使う制度ではありません。
  2. 希望した親族が後見人に選ばれるとは限らない。候補者を書いても、家庭裁判所が事案に応じて弁護士・司法書士・社会福祉士などを選ぶことがあります。後見人として誰が選ばれたかを理由に不服を申し立てることは、一般に認められていないとされています。
  3. 任意後見は元気なうちしか作れない。「そのうち考える」と先送りにすると、選べるのは法定後見だけになります。
  4. 後見人がついても自由に財産を使えるわけではない。本人のための支出に限られ、家族への贈与や生活費の援助は原則できません。相続税対策を目的とした資産の組み替えも困難になります。

あなたの場合はこうなる|状況別の分岐

あなたの状況考えられる選択肢
親はまだ判断できるが、将来が不安任意後見を検討できます。公正証書で契約し、判断能力が落ちた時点で家庭裁判所が任意後見監督人を選任して効力が生じます。誰に任せるかを自分で決められるのが最大の利点です。
親の判断能力がすでにかなり落ちている法定後見(後見・保佐・補助)しか選べません。任意後見契約は本人に契約能力が必要なため、この段階では作れません。
預金を少し下ろしたいだけ金融機関によっては、医療費など使途が明確な場合に代理での引出しに応じる運用があります(全国銀行協会も2021年に考え方を示しています)。まずは取引先の金融機関に相談を。後見の申立てはその後でも遅くありません。
実家を売って介護費用に充てたい本人の居住用不動産の売却には家庭裁判所の許可が必要です。後見人がついても自由に売れるわけではありません。2〜4か月の申立て期間も含めて逆算してください。
子ども同士で意見が割れている親族が後見人候補でも、対立があると専門職が選ばれる可能性が高くなります。家庭裁判所は本人の利益を基準に判断します。
本人に資産がほとんどない報酬を払う原資がない場合、市区町村の成年後見制度利用支援事業で申立費用や報酬の助成を受けられることがあります。要件は自治体ごとに異なるため、地域包括支援センターへ相談を。

現場でよくあるイレギュラーと対処

制度の説明では出てこないが、実際の手続きでつまずきやすい点をまとめました。制度・費用は公式資料で裏取りし、体験に基づく話は「体験談で多く語られる」と明記しています。

  • 診断書を書いてくれる医師探しでつまずく。認知症の診断がついていても「後見用の書式は書いたことがない」と断られることがあります。体験談では、かかりつけ医に裁判所の書式と記載例を印刷して持参したら受けてもらえたという声が多く見られます。書式は裁判所のサイトで公開されています。
  • 財産目録づくりが一番の山場。本人名義の通帳・保険証券・不動産の資料をすべて集める必要があります。通帳の場所が分からない、印鑑が見つからないという状態から始まることも多く、ここに1〜2か月かかるのは珍しくありません。
  • 鑑定は必ず行われるわけではない。裁判所が必要と判断した場合に限られ、実務では診断書で足りるとして省略される例も多く報告されています。申立て時に10万円を用意する必要はありません。
  • 後見が始まると銀行手続きは一変する。後見登記事項証明書を提出し、口座の名義が「本人 成年後見人 ○○」の形になります。ネットバンキングが使えなくなる銀行もあり、支払いの方法を組み直す必要が出ます。
  • 報酬付与は自動ではない。後見人が家庭裁判所に報酬付与の申立てをして、審判で決まります。親族が後見人の場合、報酬を請求しないことも多くあります。
  • 市区町村長申立てという手もある。身寄りがない、親族が協力しないといった場合、市区町村長が申立てをする制度があります。地域包括支援センターが窓口になります。

2026年の民法改正で何が変わるのか

2026年6月17日、「民法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第45号)が成立し、6月24日に公布されました。成年後見制度については、現行の後見・保佐を廃止して「補助」に一元化し、本人にとって必要な範囲・必要な期間だけ利用する仕組みへ改めるものです。あわせて遺言制度の見直しも含まれています。

いつから? 成年後見制度に関する部分の施行は、公布(2026年6月24日)から2年6か月を超えない範囲で政令で定める日とされています。つまり2028年内の施行が見込まれ、いま申し立てる場合は現行制度が適用されます。

今どうすべき? 改正を待って手続きを止めるかどうかは、本人の状況次第です。預金が動かせず生活に支障が出ているなら待つ意味はありません。一方、「今すぐの実害はないが将来が不安」という段階なら、任意後見や家族信託を含めて選択肢を比べる時間があります。改正の詳細な運用は今後の政令・規則で固まるため、最新情報は法務省の公式ページで確認してください。

編集部の見方|「とりあえず後見」は避けたほうがいい

成年後見は、判断能力が落ちた人の権利を守るための大事な仕組みです。同時に、始めたら原則として続く・費用が毎年かかる・財産の使い方が制限されるという重い側面もあります。どちらか一方だけを強調する情報が多いので、判断材料として編集部の整理を示します。

堅実に済ませたい人はここまで
まず「後見がないと本当に困っていることは何か」を1行で書き出す。その1行が「定期預金の解約」「実家の売却」「施設の入所契約」のどれかなら、金融機関・施設に代替手段がないかを先に確認します。困りごとが解消できるならそれで十分です。親が元気なうちなら、公正証書での任意後見契約を1本作っておくのがコストと安心のバランスが良い選択です。
しっかり備えたい人はここまで
資産が多い、不動産が複数ある、相続人間で意見が割れそう——こうした事情があるなら、任意後見+家族信託+遺言をセットで設計する余地があります。専門家への設計費用は数十万円規模になりますが、後から法定後見で毎年報酬を払い続けるコストと比べる価値はあります。ただし家族信託は万能ではなく、身上保護(施設契約や医療同意まわり)はカバーしません。そこは後見の役割です。

なお、費用や設計の相談先として司法書士・弁護士に見積もりを取る場合、複数から取って内容を比べることをおすすめします。同じ「家族信託の組成」でも、範囲と金額の幅が大きい分野です。

関連する手続き

よくある質問

成年後見の申立てに全部でいくらかかりますか?

鑑定がなければ、申立手数料800円、後見登記手数料2,600円、郵便切手数千円、医師の診断書数千円〜1万円程度、戸籍・住民票などの実費を合わせて、おおむね1万〜2万円台に収まるのが一般的です。家庭裁判所が鑑定を必要と判断した場合は、別に10万〜20万円程度がかかります。

申立てから後見人が決まるまでどのくらいかかりますか?

事案によりますが、申立てから審判まで2〜4か月程度が目安です。審判書を受け取ってから2週間で確定し、その後に法務局へ登記されます。書類集め(特に財産目録)に1〜2か月かかることも多いため、余裕を持って準備してください。

子どもが後見人になれますか?

申立てのときに候補者として希望を書くことはできますが、選任するのは家庭裁判所です。親族間に対立がある、管理する財産が大きい、といった事情があると、弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職が選ばれることがあります。

後見人の報酬はいくらで、誰が払いますか?

報酬額に法律上の基準はなく、家庭裁判所が事案ごとに決めます。大阪家庭裁判所が公表しているめやすでは、専門職の基本報酬は月2万円、管理財産が1,000万円超5,000万円以下で月3〜4万円、5,000万円超で月5〜6万円です。報酬は本人の財産から支払われ、家族が負担するものではありません。

途中でやめることはできますか?

現行制度では、本人の判断能力が回復した場合など限られた事情がなければ、原則として本人が亡くなるまで続きます。「不動産の売却が終わったので終了したい」という理由では終わりません。なお2026年6月に成立した民法改正では、必要な期間だけ利用する仕組みへ改める内容が盛り込まれており、施行は公布から2年6か月以内とされています。

費用が払えない場合はどうすればよいですか?

多くの市区町村に成年後見制度利用支援事業があり、申立費用や後見人の報酬の助成を受けられる場合があります。要件や助成額は自治体ごとに異なるため、地域包括支援センターまたは市区町村の高齢者福祉担当窓口に相談してください。

任意後見と家族信託はどちらがよいですか?

目的が異なるため、どちらが優れているとは言えません。家族信託は財産の管理・承継を柔軟に設計できますが、施設の入所契約や本人の身のまわりを守る身上保護は対象外です。任意後見は身上保護を含められる一方、任意後見監督人が選任され監督を受けます。両方を組み合わせる設計もあります。

出典・参考

  • 裁判所「後見ポータルサイト」公式サイト|申立ての流れ、書式、費用
  • 東京家庭裁判所「申立てをお考えの方へ(成年後見・保佐・補助)」公式ページ|必要書類と手数料
  • 大阪家庭裁判所「成年後見人等の報酬額のめやす」(令和4年2月)PDF|基本報酬・付加報酬の考え方
  • 法務省「民法等の一部を改正する法律(成年後見及び遺言の制度の見直し)について」公式ページ|2026年6月17日成立・6月24日公布、施行時期
  • 法務省「成年後見制度・成年後見登記制度Q&A」公式ページ

※本記事は編集部が公式情報をもとに整理したものです(弁護士・司法書士などの専門家による監修は受けていません)。制度・費用は2026年7月29日時点の公表内容に基づきます。実際の手続きや費用は事案・管轄裁判所により異なりますので、最終的な確認は家庭裁判所・法務局・地域包括支援センターなどの公式窓口で行ってください。

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この記事を書いた人

みんなのミカタナビ編集部です。運営者・たくの編集方針のもと、相続・出産・退職・補助金など「知らないと損する手続きとお金」を、公的機関の一次情報と体験談の取材をもとに時系列で整理しています。数値・期限は必ず公式情報で裏取りし、出典を明記します。

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