この記事の結論(2026年8月7日時点・第20回公募要領 第8版)
- 自社サイト・ECサイトに載せる動画は「③ウェブサイト関連費」。SNS広告・デジタルサイネージ等で流す動画は「②広報費」。
- 広報費もウェブサイト関連費もそれぞれ補助金交付申請額の上限30万円(税込)。両方使えば合計60万円まで。
- 広報費だけ/ウェブサイト関連費だけの申請はできない。必ず他の経費と組み合わせる。動画1本だけの計画は門前払いになる。
- 有料配信する動画・有料講座用の教材動画はどの区分でも対象外。
- 第20回は受付開始2026年11月5日・締切2026年12月15日17時。様式4の発行依頼締切は12月4日で11日早い。
動画を作って売上につなげたい。その費用を小規模事業者持続化補助金で賄えないか——ここまでは多くの事業者が調べます。ところが実際に申請書を書く段になると、「動画制作費は、広報費とウェブサイト関連費のどちらに書けばいいのか」で手が止まります。公募要領は両方の区分に「動画」を挙げているからです。
この判断を間違えると、単に書き直しになるだけでは済みません。区分ごとに30万円の上限があり、しかもどちらも単独では申請できないためです。この記事では第20回公募要領(第8版・2026年7月21日改版)を一次情報として、動画制作費の経費区分の決め方を整理します。
動画制作費はどちらの区分か:判定は「どこで流すか」で決まる
公募要領は、広報費の説明のなかで次のように明示しています。「自社ホームページや、ECサイトにて使用する動画や写真の制作費用等については、③ウェブサイト関連費にて計上してください」。つまり判定基準は動画の内容ではなく、その動画をどこに置くか(掲載先)です。
| 動画の使い道 | 計上する経費区分 |
|---|---|
| 自社ホームページに埋め込む商品紹介動画 | ③ウェブサイト関連費 |
| ECサイトの商品ページに載せる使用イメージ動画 | ③ウェブサイト関連費 |
| Instagram・YouTubeで配信するSNS広告の動画 | ②広報費 |
| 街頭ビジョン・デジタルサイネージに流す動画 | ②広報費 |
| SNSの運用代行(投稿用の短尺動画制作を含む) | ②広報費 |
| 有料配信・有料講座で使う動画 | 対象外(どの区分でも不可) |
出典:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募 公募要領(第8版)P.13〜15 の対象経費例より編集部作成。
損しないポイント:上限30万円は「区分ごと」。分けて書けば合計60万円まで載る
申請しないと損をする3点
- 上限30万円は区分ごとに独立している。広報費の補助金交付申請額の上限が30万円(税込)、ウェブサイト関連費も別枠で30万円(税込)。ウェブ用の商品紹介動画とSNS広告用の動画を分けて設計すれば、動画関連だけで合計60万円まで載せられます。
- 広報費・ウェブサイト関連費は単独申請できない。公募要領は両区分に「〜のみによる申請はできません。必ず、ほかの経費と一緒に申請してください」と明記。撮影機材(機械装置等費)、展示会出展費、店舗改装(委託・外注費)などと組み合わせる必要があります。
- インボイス特例・賃金引上げ特例の上乗せを取りこぼさない。補助上限は通常50万円ですが、インボイス特例で+50万円、賃金引上げ特例で+150万円、両方で+200万円。補助率は2/3(賃上げ特例の赤字事業者は3/4)です。
数字で見る:動画60万円を計上したときの自己負担
補助対象経費60万円(広報費30万円+ウェブサイト関連費30万円)の内訳
補助率2/3で計算。補助上限50万円(通常枠)の範囲内に収まるため、動画60万円のみでも上限には達しません。ただし広報費・ウェブサイト関連費は単独申請できないため、実際には他区分の経費が別途必要です。補助金は後払いで、支払いは事業者がいったん全額立て替えます。
パターン別:あなたの動画はどう書くか
自社サイトのリニューアルと同時に動画を入れる場合
サイト制作費と動画制作費をまとめてウェブサイト関連費に計上します。ただしこの区分の上限は30万円(税込)なので、サイト制作50万円+動画30万円のような計画でも、ウェブサイト関連費として補助金申請できるのは30万円までです。サイトと動画で枠を食い合う点に注意してください。動画をSNS広告にも転用するなら、広告配信用のバージョンを広報費側に分けるのが現実的です。
SNS運用を外注していて、動画もその一部の場合
公募要領は広報費の対象例に「SNS広告、運用代行費」を挙げています。運用代行の契約に動画制作が含まれるなら広報費でまとめて構いません。ただし請求書が「SNS運用一式」のような書き方だと支出内容が不明確として認められない可能性があります。見積書・請求書の段階で内訳を分けてもらうことが重要です(公募要領は「見積金額に複数の項目が含まれる場合は、その内訳を示してください」と要求しています)。
動画をオンライン講座や有料配信に使う予定がある場合
ここは明確に対象外です。公募要領はウェブサイト関連費の対象外経費として「有料配信する動画の制作費」「有料の講座で使用する動画や電子教材の作成」を挙げています。無料公開の集客動画と有料コンテンツを1本の発注にまとめると、全額が対象外になりかねません。発注を分けてください。
撮影機材を自分で買って内製する場合
カメラや照明は機械装置等費の候補になりますが、パソコン・タブレット端末・WEBカメラ・PC周辺機器は「汎用性が高く目的外使用になりえるもの」として明確に対象外と列挙されています。編集用PCを補助金で買う計画は通りません。単価50万円(税抜)以上の機械装置等は処分制限財産になり、5年程度は自由に売却・廃棄できなくなる点も押さえておいてください。
第20回のスケジュール:様式4の締切は申請締切より11日早い
いますぐ(2026年8月〜)
GビズIDプライムのアカウントを取得する。公募要領は「アカウントの取得には数週間程度を要します」と明記。ここが最も見落とされる前提条件です。あわせて動画制作会社から見積を取り始めます。
10月中
経営計画(様式2)・補助事業計画を書き上げ、動画の掲載先ごとに経費区分を割り振った経費明細表を作る。1件50万円超(税込)の発注は2者以上の相見積が必須です。
2026年11月5日(木)
申請受付開始。電子申請システムのみで、郵送申請は一切受け付けません。
2026年12月4日(金)|最大の関門
事業支援計画書(様式4)発行の受付締切。商工会・商工会議所に発行を依頼できるのはこの日まで。公募要領は「受付締切以降の発行依頼は、いかなる理由があってもできません」と書いています。申請締切の11日前です。
2026年12月15日(火)17:00
申請受付締切。17時ちょうどで締まります。
2027年3月頃(予定)
採択発表。ここからさらに見積書等を提出し、交付決定まで概ね1〜2か月かかります。交付決定日より前に動画制作を発注・契約すると対象外です。
2028年3月31日(金)/4月10日(月)
補助事業実施期限と実績報告書の提出期限。動画は期限内に公開して販路開拓に使った実績まで必要です。作っただけ・支払っただけでは補助対象外になります。
現場で詰まるポイント(公募要領から読み取れる実務上の落とし穴)
①「作った」だけでは通らない。公募要領は「ホームページで受注システムを作成したものの、補助事業終了までにホームページにて公開して販路開拓の取組を行っていない場合も、当該経費は補助対象外」と例示しています。動画も同じで、期限内に公開まで完了させる必要があります。制作会社の納品が期限ギリギリになる契約は危険です。
②ネット広告は証憑が揃わないと消える。電子商取引について公募要領は、「発注した日が確認できる取引画面を提出できない」「広告が確認できるインターネット画面が取得できない」場合は補助対象外と明記しています。SNS広告は配信終了後に管理画面から履歴が消えることがあるため、配信中にスクリーンショットを残すのが実務上の鉄則です。
③被写体の購入費は動画本体と扱いが違う。広報費では「チラシ等に使用する画像等における被写体や商品(紹介物等を含む)の購入に係る関連経費」は対象外ですが、ウェブサイト関連費では「ウェブサイトに使用する画像等における被写体や商品の購入に係る費用」が対象例に挙がっています。同じ小道具でも掲載先で結論が逆になります。
④外注先の選び方に制限がある。役員・従業員や代表者・役員の3親等以内の親族への発注、その親族が代表・役員を務める事業者への発注は対象外です。知人の映像制作者に頼む場合は関係性を確認してください。また「デザイン会社によるデザインの外注など、補助事業者が通常事業として実施している業務」は委託・外注費に含められません。
相場観と編集部の判断:いくらの動画を作るべきか
制作会社に相談すると、ブランドムービーや複数本のシリーズ企画といった上位プランを勧められることがあります。補助金の枠と照らして、判断材料を2つに整理します。
堅実に済ませたい人は「区分ごと30万円」を天井にする
補助金の枠を超えた分は全額自己負担です。ウェブ用に30万円、SNS広告用に30万円と決め打ちし、その予算内で作れる範囲を制作会社に提示するほうが、資金繰りは読みやすくなります。補助金は後払いのため、交付までの数か月は全額を自社で立て替える点も忘れないでください。
こだわりたい人は「補助対象外の部分を織り込んで」設計する
上限を超える制作費をかけること自体は問題ありません。ただし超過分は補助対象外として自己資金で賄う前提を、見積の段階で切り分けておくこと。「あとから補助金の枠に収まらないと分かって計画を削る」のが最も手戻りが大きいパターンです。なお、どちらを選んでも採択されるかどうかは審査次第で、不採択・減額の可能性は残ります。
よくある質問
動画制作費だけで持続化補助金に申請できますか?
できません。動画制作費が該当する広報費とウェブサイト関連費は、どちらも公募要領に「〜のみによる申請はできません。必ず、ほかの経費と一緒に申請してください」と明記されています。展示会等出展費、機械装置等費、委託・外注費(店舗改装など)といった他の区分と組み合わせた事業計画にしてください。
広報費とウェブサイト関連費で、上限30万円は合算されますか?
合算されません。公募要領は各区分の説明にそれぞれ「当経費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)です」と個別に記載しています。したがって両区分を使えば、動画関連で合計60万円まで補助金交付申請額を計上できます。ただし通常枠の補助上限は50万円であり、特例の適用がなければ補助金額はそこで頭打ちになります。
採択の通知が来たら、すぐ動画制作を発注していいですか?
いけません。公募要領は「補助金交付決定通知書の前に送付される採択通知書だけでは、補助事業を始めることはできません」「交付決定日前に行われた発注・契約・支出行為は、補助対象外です」としています。採択発表から交付決定までは概ね1〜2か月かかるため、制作会社には交付決定後に着手する前提で日程を相談してください。
編集用のパソコンやカメラは補助対象になりますか?
パソコン・タブレット端末・WEBカメラ・PC周辺機器は、機械装置等費の「対象とならない経費例」に「汎用性が高く目的外使用になりえるもの」として明示的に挙げられており、対象外です。撮影用の専用機材については、補助事業の遂行に必要と特定でき、単なる取替え更新でないことが条件になります。判断に迷う場合は、様式4の発行依頼の際に商工会・商工会議所へ確認してください。
第20回はいつまでに何をすればいいですか?
申請受付は2026年11月5日(木)開始、締切は2026年12月15日(火)17時です。ただし事業支援計画書(様式4)の発行受付締切が2026年12月4日(金)と11日早く、この日を過ぎると理由を問わず発行を受けられません。GビズIDプライムの取得に数週間かかるため、8月時点で未取得なら今すぐ手続きを始めてください。
申請の前に、必ず公式の公募要領で最新版を確認してください
公募要領は改版されます(第20回は2026年7月21日時点で第8版)。金額・期限・対象経費は、申請時点の最新版が優先されます。商工会議所地区の方は小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>公式サイト、商工会地区の方は商工会地区の公式サイトをご確認ください。
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- 持続化補助金 第20回の逆算カレンダー
- 事業支援計画書(様式4)の取り方
- 用途別に見る動画制作の補助金
- 補助金・助成金ガイド(総合ハブ)
出典
- 小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募 公募要領(第8版・2026年7月21日改版)(小規模事業者持続化補助金事務局)
- 商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>公式サイト
- 小規模事業者持続化補助金 まとめサイト(公式)
- GビズID(デジタル庁)
本記事は2026年8月7日時点の第20回公募要領(第8版)にもとづく整理です。制度・金額・期限は変更される場合があります。個別の経費が補助対象になるかの最終判断は、補助金事務局および地域の商工会・商工会議所にご確認ください。
