「新事業進出補助金」と「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」が統合され、2026年から新事業進出・ものづくり商業サービス補助金になりました。申請枠は革新的新製品・サービス枠/新事業進出枠/グローバル枠の3つ。多くの解説は枠ごとの説明で終わっていますが、実務でいちばん困るのは「自社はどれで出すのか」です。この記事は、その判定だけに絞ります。
結論の要点
- まず何を
- 枠は「やりたいこと」で決まります。新製品開発なら革新的新製品・サービス枠/新しい市場へ出るなら新事業進出枠/輸出体制の強化ならグローバル枠。金額で選ぶと要件に合いません。
- 最初の足切り
- 新事業進出枠とグローバル枠は補助下限が750万円。投資額が小さい案件は革新的新製品・サービス枠(下限100万円)しか選べません。
- いくら
- 上限は従業員数で変わります。革新的新製品・サービス枠は最大3,500万円、新事業進出枠とグローバル枠は最大9,000万円(いずれも賃上げ特例適用時)。
- 補助率で見ると
- グローバル枠だけが一律2/3で最も有利です。輸出体制の強化を実態として説明できるかが分かれ目になります。
- いつまでに
- 第1回の応募締切は令和8年10月30日(金)18:00厳守(申請受付開始は9月30日)。
従業員数×補助上限額の早見表
| 従業員数 | 革新的新製品・サービス枠 | 新事業進出枠 | グローバル枠 |
|---|---|---|---|
| 1〜5人 | 750万円(850万円) | 2,500万円(3,000万円) | 2,500万円(3,000万円) |
| 6〜20人 | 1,000万円(1,250万円) | 2,500万円(3,000万円) | 2,500万円(3,000万円) |
| 21〜50人 | 1,500万円(2,500万円) | 4,000万円(5,000万円) | 4,000万円(5,000万円) |
| 51〜100人 | 2,500万円(3,500万円) | 5,500万円(7,000万円) | 5,500万円(7,000万円) |
| 101人以上 | 2,500万円(3,500万円) | 7,000万円(9,000万円) | 7,000万円(9,000万円) |
| 補助下限額 | 100万円 | 750万円 | 750万円 |
| 補助率 | 1/2(2/3)※小規模・再生2/3 | 1/2(2/3) | 一律2/3 |
| 必須の経費 | 機械装置・システム構築費 | 機械装置・システム構築費 または 建物費 | 機械装置・システム構築費 または 建物費 |
| 建物費 | 対象外 | 対象 | 対象 |
カッコ内は賃上げ特例を適用した場合の上限額です。特例を使うと上限は上がりますが、要件を満たせなかった場合は上乗せ分の返還が求められます。
同じ規模でも自己負担はここまで違う
枠を決める5つの判定
判定1
投資額はいくらか
補助額が750万円に届かないなら、革新的新製品・サービス枠一択です。新事業進出枠とグローバル枠は下限750万円のため、そもそも申請できません。ここで多くの案件が絞られます。
判定2
輸出体制の強化か
自社が自発的に新しい国・地域へ販路を開くために国内拠点を強化するならグローバル枠。補助率が一律2/3で最も有利です。ただし取引先に言われて対応する案件は対象外になります。
判定3
新しい市場に出るのか、新しい製品を作るのか
既存事業と違う顧客層・市場に出るなら新事業進出枠。自社の技術で新しい製品・サービスを開発するなら革新的新製品・サービス枠。ここは事業計画の書き方の軸そのものが変わります。
判定4
建物費が必要か
工場や店舗の建設・改修を含めたいなら、建物費が対象になる新事業進出枠かグローバル枠に限られます。革新的新製品・サービス枠では建物費は対象外です。
判定5
賃上げ特例を使うか
上限額が上がりますが、要件未達なら上乗せ分の返還が求められます。無理のない数字かを先に検算してください。
令和8年10月30日(金)18:00
応募締切(厳守)
申請受付開始は9月30日。電子申請のみで、GビズIDプライムが必須です。
「うちは対象外かもしれない」を先に確認する
革新的新製品・サービス枠で対象外になる事業
- 既存の製品・サービスの生産プロセスの改善・向上を図る事業(生産性を上げるだけの設備更新はここで落ちます)
- 単に機械装置・システム等を導入するにとどまり、新製品・新サービスの開発を伴わないもの
- 同業の中小企業者等(地域性の高いものは同一地域の同業他社)においてすでに相当程度普及している新製品・新サービスの開発
新事業進出枠で対象外になる事業
- 過去に製造・提供していた製品等を再び手がけること(新たな製品等とは言えないため)
- 既存事業ですでに対象としていた顧客層に向けた製品・サービス(新市場に当たらない)
- 公募開始日より前にすでに着手している事業(新規性は公募開始日以降に初めて取り組む事業とみなされます)
グローバル枠で対象外になる事業
- 取引先主導の事業(自発的な取組とは言えないため)
- 既存事業ですでに対象としていた国・地域への輸出(新たな海外市場に当たらない)
- 海外拠点そのものへの投資(支援対象は国内の製造等拠点の強化です)
枠選びで損しないためのポイント
枠選びで損しないためのポイント
- 上限額の大きさで枠を選ばない。9,000万円という数字に引かれて新事業進出枠を選んでも、既存市場向けの事業なら要件に合いません。枠は「やること」で決まります。
- 公募開始日より前に着手しない。新事業進出枠の新規性は、申請する公募回の公募開始日以降に初めて取り組む事業が対象とされています。先に走り出すと新規性を失う可能性があります。
- 補助率の差は上限額の差より効くことがある。同じ2,500万円でも、1/2と2/3では自己負担が1,250万円変わります。グローバル枠の要件に当てはまるなら、まずそこを検討する価値があります。
- 3つの達成要件を先に検算する。付加価値額の年平均成長率+4.0%以上、1人あたり給与支給総額の年平均成長率+3.5%以上、事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上。未達なら返還義務が生じる場合があります。
3つの枠に共通する要件
どの枠を選んでも、補助事業終了後3〜5年の事業計画において次のすべてを満たす必要があります。
- 付加価値額の年平均成長率+4.0%以上増加
- 1人あたり給与支給総額の年平均成長率+3.5%以上増加
- 事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+30円以上高い水準
事務局は、目標未達の場合は補助金の一部または全額の返還義務が生じる場合があると案内しています。枠を決める前に、この3つを満たす数字が作れるかを検算してください。
よくある質問
1社で複数の枠に同時に申請できますか?
公募要領で申請の重複に関する制限が定められています。同一の公募回で複数申請を検討している場合は、必ず第1回公募要領の該当箇所を確認するか、事務局のコールバック予約システムで確認してください。
新規性は「日本初」でなければいけませんか?
いいえ。事務局は、ここでの新規性とは補助事業に取り組む中小企業等にとっての新規性であり、世の中における新規性(日本初・世界初)ではないと明記しています。
生産ラインを新しくするだけでも申請できますか?
革新的新製品・サービス枠では対象外とされています。既存の製品・サービスの生産等のプロセスについて改善・向上を図る事業や、単に機械装置・システム等を導入するにとどまり新製品・新サービスの開発を伴わないものは、補助対象事業に該当しないとされています。
工場を建てる費用は補助対象になりますか?
建物費が補助対象経費に含まれるのは、新事業進出枠とグローバル枠だけです。革新的新製品・サービス枠では対象外です。
取引先から言われて始める輸出はグローバル枠で申請できますか?
できません。事務局は、取引先主導の事業は自発的な取組とは言えず補助対象外としています。
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出典・基準日
基準日:2026年8月7日。公募内容・日程・金額は変更されることがあります。申請の前に、必ず事務局の公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。本記事は一般的な情報提供であり、採択を保証するものではありません。
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公式サイト(中小企業基盤整備機構) https://shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp/(3枠の対象事業・対象外事業・補助率・補助上限額・必須経費・達成要件。2026年8月7日閲覧)
- 第1回 公募要領PDF(2026年7月17日更新) PDF
- 中小企業庁「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回公募要領を公開しました」 https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/kobo/2026/260630002.html
