補助金で認められるのは、交付決定後に契約し補助事業実施期間内に自社名義の銀行振込で払った分だけ。リース・レンタルは期間内の費用のみ対象、車両リース料と借入利息は対象外(2026年9月18日時点)。
情報基準日: 2026-09-18(出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金「公募要領(第23次公募)」2026年2月6日)
この記事の結論
- リース・レンタル(借用)は補助対象になる制度がある。ものづくり補助金では機械装置・システム構築費に「借用」が明記されている
- ただし条件は厳しい。交付決定後に契約したことが確認でき、補助事業実施期間中に要する経費のみ。契約期間がはみ出す分は按分で切り落とされる
- 割賦・ローンは事実上使えない。支払実績が期間内に確認できないうえ、借入金の支払利息は補助対象外経費と明記されている
- 支払い方法は補助事業者自身の名義の銀行振込が原則。現金払い・クレジットカード払いは原則不可、手形払いなど実績を確認できないものは一切認められない
- 設備を担保に金融機関から借入をする場合は事務局への事前申請が必要で、担保権が実行されると国庫納付になる
「補助金を使いたいが、手元資金が足りない。リースや分割払いでも対象になるのか」——設備投資型の補助金を検討する事業者から、必ずと言っていいほど出てくる疑問です。
結論から言えば、リース・レンタルと割賦・ローンはまったく別の扱いを受けます。前者は制度によっては正面から補助対象経費に組み込まれていますが、後者は補助金の支払い確認ルールと真正面からぶつかるため、実務上ほぼ使えません。この違いを知らずに契約を進めると、交付決定後に「その経費は対象外です」と言われ、自己負担だけが残ります。
この記事では、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(以下ものづくり補助金)と小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>の公式文書をもとに、どの借り方なら通るのか、どの払い方が落ちるのかを条文単位で整理します。
【基準日と出典】本記事は2026年8月17日時点の公表情報にもとづきます。主な一次資料は、全国中小企業団体中央会「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(第23次公募)」(2026年2月6日)、小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>事務局「申請時によくあるご質問(第19回公募)」および「参考資料」(2026年3月)です。制度は公募回ごとに改定されるため、実際の申請では必ず最新の公募要領をご確認ください。
リース・レンタルは「借用」として補助対象に入っている
ものづくり補助金の公募要領(第23次公募)は、補助対象経費の筆頭である「機械装置・システム構築費」を次のように定義しています。
① 専ら本事業のために使用される機械・装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費。
② 専ら本事業のための使用される専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用に要する経費。
出典:全国中小企業団体中央会「公募要領(第23次公募)」2.7.1 補助対象経費
注目すべきは「借用」という3文字です。同要領は注記で、「借用」とはいわゆるリース・レンタルをいうとはっきり書いています。つまり、機械を買わずに借りるという選択肢は、制度の側であらかじめ想定されているということです。
ただし「借用」には3つの縛りがある
同じ注記には、借用を補助対象とするための条件が続けて書かれています。ここを読み落とすと確実につまずきます。
| 条件 | 公募要領の書きぶりと実務上の意味 |
|---|---|
| 契約のタイミング | 「交付決定後に契約したことが確認できるもの」。交付決定より前に結んだリース契約は、金額がいくらであっても対象外になります |
| 対象になる範囲 | 「補助事業実施期間中に要する経費のみ」。実施期間より前・後にかかるリース料は対象になりません |
| はみ出し分の扱い | 「契約期間が補助事業実施期間を超える場合の補助対象経費は、按分等の方式により算出された補助事業実施期間分のみ」。5年リースを組んでも、対象になるのは実施期間にあたる数か月分だけです |
出典:ものづくり補助金 公募要領(第23次公募)機械装置・システム構築費 注記3をもとに編集部が整理
ここで効いてくるのが按分です。ものづくり補助金の製品・サービス高付加価値化枠の補助事業実施期間は「交付決定日から10か月(ただし採択発表日から12か月後の日まで)」。仮に月額10万円・60か月のリースを組んでも、実施期間が8か月なら対象経費は80万円分にとどまり、残り520万円は自己負担です。「リースなら初期費用ゼロで補助金が使える」という理解は、この一点で崩れます。
クラウドサービスは「借りる中身」で扱いが分かれる
もうひとつ見落とされやすいのが、クラウドサービス利用費の線引きです。公募要領は、サーバーの領域を借りる費用(借入・リースを含む)は対象としつつ、サーバー購入費・サーバー自体のレンタル費等は対象にならないと明記しています。同じ「借りる」でも、領域を借りるのか機器そのものを借りるのかで結論が逆になります。こちらも契約期間が実施期間を超える場合は按分です。
割賦・ローンが事実上使えない3つの理由
一方、割賦販売(分割払い)や設備資金ローンで機械を買う場合はどうか。公募要領には「割賦は対象外」という一文があるわけではありません。にもかかわらず実務では通らない——その理由は、支払いの確認ルールと補助対象外経費の規定の側にあります。
理由1
期間内の支払実績が確認できない
補助対象経費は「補助事業実施期間内に補助事業のために支払いを行ったことを確認できるもの」に限られます。10か月の実施期間に対して36回払いを組めば、完済は期間外。支払済みの数回分しか実績にできません
理由2
利息・手数料が補助対象外
補助対象外経費に「借入金などの支払利息及び遅延損害金」「振込等手数料(代引手数料を含む)」が並んでいます。割賦手数料に相当する部分は補助の外に出ます
理由3
支払い方法が銀行振込に限定
支払いは「補助事業者自らの名義で行った銀行振込の実績」で確認されます。原則、現金払い及びクレジットカード払いは不可。代行払いや手形払い等で実績を確認できないものは一切認められません
つまり割賦・ローンは、「期間内に自社名義の振込で払い切れるか」という一点に集約されます。実施期間内に完済できる短期の分割であれば、支払済み分は理屈のうえで対象になり得ますが、利息部分は必ず落ちます。長期の割賦・ローンを前提にした申請は、交付申請の精査段階で減額される可能性が高いと考えるべきです。
設備を担保に借りる場合は「事前申請」を忘れない
自己資金が足りず、購入した機械装置を担保に金融機関から借入を行うケースもあります。ものづくり補助金の公募要領は、この場合に事務局への事前申請が必要であること、そして担保権実行時には国庫納付が必要であることを注記しています。無断で担保に入れると、後から取得財産の処分制限違反として扱われるおそれがあります。
関連して、本補助事業で取得した財産は法に基づき売却・転用・破棄等の処分に制限が課され、処分する場合は残存簿価相当額または時価(譲渡額)により、当該財産に係る補助金交付額を限度に国庫納付しなければならない、と重要事項欄に明記されています。「借りる・担保に入れる・売る」はいずれも所有権や使用権を動かす行為であり、補助金の世界ではまとめて要注意領域です。
契約と支払いのタイミングを時系列で確認する
リースでも購入でも、落とし穴はほぼすべて「タイミング」に集約されます。ものづくり補助金と持続化補助金に共通する時系列を並べると、どこで契約してよいのかが一目で分かります。
1. 公募申請
この時点ではまだ何も契約してはいけません。リース会社・販売店からの見積書は取得しておきます
2. 採択発表
採択されても、まだ発注・契約はできません。持続化補助金のFAQも「採択結果発表日や採択通知書の日付が補助事業開始可能日ではありません」と明記しています
3. 交付申請・見積書の提出
単価50万円(税抜)以上の物件等は原則2者以上から同一条件の相見積が必要。リースなら複数のリース会社から取ります
4. 交付決定 ← ここが起点
交付決定日以降でなければ発注・契約・支出はできません。交付決定日より前の発注・契約・購入は「いかなる理由があっても補助対象外」です
5. 契約・納品・支払い
自社名義の銀行振込で支払います。リース料も同じ。実施期間内に発生した分だけが対象です
6. 実績報告・額の確定
見積書・発注書・契約書・納品書・請求書・領収書・通帳の該当部分の写しなど、一連の証憑を提出します。リースは契約書と月次の振込記録が要ります
ものづくり補助金は「交付申請は、原則、採択発表日から遅くとも2か月以内」と定めています。ここが遅れると実施期間そのものが圧迫され、リースの按分対象月数も減っていきます。採択されたらすぐ交付申請——これがリース活用の前提条件です。
制度ごとに扱いはどう違うか
「補助金」とひとくくりにできないのが、この論点の厄介なところです。代表的な2制度を並べます。
共通しているのは「期間に対応する分だけを対象にする」という考え方です。リースもサブスクも家賃も、補助事業実施期間という箱に収まる分しか補助されません。逆に言えば、実施期間の長さがそのまま補助される金額を決めます。
現場でつまずく典型パターン
以下は、事務局が公表しているFAQや公募要領の注記に繰り返し登場する論点を、編集部が実務の順序に並べ直したものです。個別事業者の体験談ではなく、公式文書に「わざわざ書かれている」=それだけ間違いが多い箇所と読んでください。
パターン1:採択通知が届いた日に発注してしまった
最も多い事故です。持続化補助金のFAQは「発注・契約や支出は交付決定日(=補助金交付決定通知書の交付決定日)以降可能です。その日より前の発注・契約や支出は補助対象外となります」と回答しています。採択と交付決定は別物で、間には交付申請と見積書の精査が挟まります。
パターン2:長期リースを組んで按分の意味に後から気づく
リース料の総額を経費明細に書いてしまうケース。交付決定時の精査で実施期間分に切り縮められ、補助金額が申請時より大きく減ります。公募要領は「事務局の精査の結果次第では、交付決定額が申請時に計上した補助金申請額から減額又は全額対象外となる場合があります」と重要事項に明記しています。
パターン3:クレジットカードや代表者個人の口座で払ってしまった
支払いは「補助事業者自らの名義で行った銀行振込の実績」で確認されます。法人の補助事業なのに代表者個人の口座から振り込むと、名義が一致せず証憑として認められないおそれがあります。やむをえず少額を現金やカードで支払う場合は、事前に事務局へ相談するよう求められています。
パターン4:中古機械をフリマアプリや個人から買おうとした
持続化補助金のFAQは「新品・中古問わず、(開業していない)個人からの購入は補助対象外」と明言しています。中古品は複数の中古品販売事業者からの同等品見積が要件で、取れなければ対象外。ものづくり補助金は3者以上、持続化補助金は2者以上と本数も違います。
パターン5:補助事業実施期間の延長を期待してしまう
持続化補助金のFAQは「いかなる場合においても延長はできません」と回答しています。ものづくり補助金も、実施期限までに交付申請・実績報告がなければ採択取消しまたは交付決定取消しです。リースの按分月数を増やすために期間を延ばす、という調整はできません。
損しないための実務ポイント
ここを押さえると取りこぼしが減ります
- リースは「実施期間に収まる契約」に設計し直す。長期契約を按分するより、実施期間に合わせた短期契約+期間後の再契約のほうが補助対象額を最大化できる場合があります(再契約分は当然対象外です)
- 交付申請は採択発表後すぐに動く。ものづくり補助金は原則2か月以内。着手が遅れるほど実施期間が食われ、按分できる月数が減ります
- 相見積は申請の準備段階で取っておく。公募要領も「申請の準備段階においてあらかじめ複数者から見積書を取得いただくと、採択後、円滑に事業を開始いただけます」と勧めています
- 支払い口座を一本化する。補助事業者名義の口座から振り込み、通帳の該当ページをその都度控えておくと実績報告が一気に楽になります
- 利息・手数料は最初から自己負担として資金計画に入れる。支払利息・遅延損害金・振込手数料・各種保険料・公租公課はいずれも補助対象外です
- 担保に入れる予定があるなら事前に事務局へ申請する。事後報告では処分制限違反になりかねません
相場観と編集部の価値判断
按分がどれだけ効くのかを、金額で見ておきます。月額10万円・60か月(総額600万円)のリース契約を組んだと仮定し、補助事業実施期間の長さごとに「補助対象経費になる金額」を並べたものです。
補助率2分の1なら、実施期間10か月でも手元に入るのは50万円。600万円の契約に対して実質の補助は8%強にとどまります。「リースでも補助金が使える」は事実ですが、購入と同じ感覚で補助率を掛けると大きく外す——ここが編集部の見立てです。
では、リースを選ぶ意味がないのかというと、そうではありません。第一に、ものづくり補助金は単価50万円(税抜)以上の機械装置等を「取得」する設備投資が必須であり、リースだけで申請を組み立てることはできません。主となる設備は購入し、周辺の測定器やソフトウェアなど短期間だけ必要なものをリース・レンタルで補う、という組み合わせが制度の設計に素直です。第二に、実施期間中しか使わない検査機器や試作用の装置であれば、買い切るより借りるほうが総支出を抑えられます。
逆に、割賦・ローンで初期負担を平準化しながら補助金も受けたい、という発想は制度と相性が悪いと考えます。補助金は原則として精算払い——実績報告と額の確定を経てから入金されます。支払いを先に済ませる必要がある以上、つなぎ資金の手当ては割賦ではなく、金融機関の短期借入や自己資金で行うのが実務の定石です。その借入の利息が補助対象外である点も、あらかじめ資金計画に織り込んでおくべきでしょう。
よくある質問
リース契約なら交付決定前に結んでもよいですか。
いいえ。ものづくり補助金の公募要領は「借用」の要件として「交付決定後に契約したことが確認できるもの」と定めています。また「交付決定日よりも前に発注・契約・購入を行った経費はいかなる理由があっても補助対象外となります」とも明記されています。交付決定日より前のリース契約は対象になりません。
補助事業実施期間を超えるリース契約は全額対象外になりますか。
全額が落ちるわけではありません。公募要領は「契約期間が補助事業実施期間を超える場合の補助対象経費は、按分等の方式により算出された補助事業実施期間分のみ対象となります」としています。実施期間に対応する分だけが補助対象経費として残り、それ以外は自己負担です。
割賦販売で機械を買った場合、支払った分だけでも補助対象になりますか。
公募要領に「割賦は対象外」という直接の規定はありませんが、補助対象経費は補助事業実施期間内に支払いを行ったことを確認できるものに限られ、支払いは補助事業者自らの名義の銀行振込の実績で確認されます。したがって実施期間内に振込で支払った分に限られ、割賦手数料に相当する支払利息は補助対象外経費です。実務上は事前に事務局へ確認することを強くおすすめします。
クレジットカードで支払っても大丈夫ですか。
原則として認められません。公募要領は「原則、現金払い及びクレジットカード払いは不可」とし、振込代行サービス等を活用した代行払いや手形払い等で実績を確認できないものは一切認めないとしています。やむをえず少額を現金やクレジットカードで支払う場合は、事前に事務局に相談するよう求められています。
クラウドサービスやサブスクリプションは対象になりますか。
ものづくり補助金では、専ら本事業のために利用するクラウドサービスやWEBプラットフォームの利用費が「クラウドサービス利用費」として対象になります。ただしサーバー購入費・サーバー自体のレンタル費等は対象外で、契約期間が実施期間を超える場合は按分です。持続化補助金では、一定期間・一定料金のサブスク型広告が広報費として対象になりますが、補助事業実施期間内に広告が使用・掲載される分の費用に限られます。
補助金で買った設備を担保に借入をしてもよいですか。
ものづくり補助金では、本事業で購入する機械装置等を担保に金融機関から借入を行う場合、事務局への事前申請が必要です。また担保権実行時には国庫納付が必要とされています。取得した財産には処分制限がかかるため、担保設定を含めて事前に事務局へ相談してください。
まとめ:借りるのは制度の中、分割で払うのは制度の外
リース・レンタルは、ものづくり補助金では「借用」として正面から補助対象経費に含まれています。ただし交付決定後の契約であること、補助事業実施期間中に要する経費であること、はみ出す分は按分されることの3点が絶対条件です。総額の大半が自己負担として残る点は、資金計画の段階で織り込んでおく必要があります。
一方、割賦・ローンは、実施期間内に自社名義の銀行振込で支払った実績しか証憑にできないという構造上、長期になるほど補助対象から外れます。支払利息と遅延損害金は明文で補助対象外です。「借りる」は制度の中にあり、「分割で払う」は制度の外にある——この整理が、設備投資型の補助金と付き合ううえでの出発点になります。
迷ったら、契約を結ぶ前に事務局へ問い合わせてください。公募要領も「対象となるもの、対象とならないもの全てを公募要領に記載している訳ではございません。購入等を検討しているものの、対象となるかならないかが不明な場合は、事前に補助金事務局にお問い合わせください」と案内しています。契約後の相談では取り返しがつきません。
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補助金の公式情報を確認する
補助対象経費の可否は公募回ごとに改定されます。申請前には、ものづくり補助金総合サイトおよび小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>事務局の最新の公募要領・FAQを必ずご確認ください。個別の可否判断は各事務局の問い合わせ窓口が唯一の正解です。
本記事は公的機関および各補助金事務局が公表した資料をもとに、みんなのミカタナビ編集部が整理したものです。個別の補助対象可否は事務局の判断によります。税務・会計上の取扱いについては税理士等の専門家にご相談ください。
