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令和8年熊本地震で使える事業者の資金支援【2026年版】災害復旧貸付・セーフティネット保証4号・激甚指定で増える保証枠

店内の被害を確認しながらメモを取る日本の小規模事業主

令和8年熊本地震で災害救助法が適用された21市町村の事業者は、セーフティネット保証4号(借入額の100%保証・一般保証とは別枠)を使えます。八代市など5市町はさらに災害関係保証が上乗せされます。

情報基準日: 2026-08-28(経済産業省2026年8月25日発表。2026-09-17に同発表ページで内容を再確認)

2026年7月28日に発生した令和8年熊本地震では、熊本県の10市10町1村に災害救助法が適用されました。事業者向けの資金支援は「相談窓口・融資・信用保証・共済」の4系統で動いており、2026年8月25日の閣議決定で激甚災害の指定にともなう上乗せ措置が決まり、政令は2026年8月28日に公布・施行の予定です。この記事は、どの制度がどの市町村の事業者に使えるのかを、公式発表の原文にあたって整理したものです。

金額・対象地域・施行日はすべて経済産業省と中小企業庁の公表資料をもとにしています(基準日:2026年8月28日)。実際の申込みでは、必ず各金融機関・信用保証協会の最新の案内をご確認ください。

この記事の結論(3行)

  • 災害救助法が適用された21市町村の事業者は、売上減少を理由にセーフティネット保証4号(一般保証とは別枠・借入額の100%保証)を使える。
  • 2026年8月28日施行の政令で、八代市・宇城市・御船町・嘉島町・氷川町の5市町はさらに別枠の災害関係保証(普通保険+2億円ほか)と、公庫の災害復旧貸付の0.9%金利引下げが上乗せされる。
  • 共済契約者は小規模企業共済の災害時貸付で原則即日の低利融資が受けられる。まず罹災証明書(事業所・事業用資産)を取ることが、ほぼすべての入口になる。
目次

支援は4系統ある:相談窓口・融資・信用保証・共済

経済産業省が2026年7月29日に公表した支援措置は、大きく5項目に分かれています。整理すると、①特別相談窓口の設置、②災害復旧貸付等の実施、③セーフティネット保証4号の適用、④既往債務の返済条件緩和、⑤小規模企業共済の災害時貸付の適用です。このうち②③⑤が実際にお金が動く制度で、①④は「借入の入口」と「今ある借入の負担を軽くする」ための措置です。

特別相談窓口は、熊本県内の日本政策金融公庫・商工組合中央金庫・信用保証協会・商工会議所・商工会連合会・中小企業団体中央会・よろず支援拠点・中小企業活性化協議会・全国商店街振興組合連合会・中小企業基盤整備機構九州本部、そして九州経済産業局に設置されています(2026年8月25日更新で中小企業活性化協議会が追記されました)。どこから手をつければよいか分からない段階では、取引のある金融機関か、地元の商工会議所・商工会の窓口が最短です。

図1|4系統の支援と、それぞれの入口

系統制度申込先
相談特別相談窓口(11機関)商工会議所・商工会・よろず支援拠点など
融資災害復旧貸付(+0.9%の金利引下げ)日本政策金融公庫・商工組合中央金庫
保証セーフティネット保証4号/災害関係保証市町村の認定窓口 → 金融機関 → 信用保証協会
共済小規模企業共済 災害時貸付中小機構(委託取扱機関の金融機関窓口)
既往債務返済猶予・条件変更・手続きの迅速化借入先の公庫・商工中金・信用保証協会

時系列でみる:地震発生から資金が届くまで

被災直後は「まず何から」で手が止まりがちです。実際の手続きは、証明書を取る段階・認定を受ける段階・金融機関に申し込む段階の3層に分かれます。日付は令和8年熊本地震の実際の経過にあわせています。

図2|資金支援のタイムライン(令和8年熊本地震)

2026年7月28日

地震発生・災害救助法の適用(10市10町1村)

被害状況の写真を撮る。片づける前に、壊れた設備・浸水・ひび割れを日付が分かる形で残す。

7月29日

経産省が支援措置を公表・特別相談窓口の設置

セーフティネット保証4号は官報告示前でも、信用保証協会で事前相談が始まる。

8月上旬

市町村で罹災証明書・被災証明書の受付開始

八代市はオンラインが8月3日13時から、窓口が8月10日から。事業所や事業用資産の証明はこの段階で取る。

8月5日・8月25日

既往債務の追加措置/激甚災害の指定を閣議決定

返済猶予の申請遅れに遡及対応。5市町に信用保険の特例と公庫の金利引下げ。

8月28日

政令の公布・施行(予定)=災害関係保証が使える

ここから5市町の事業者は、一般保証・セーフティネット保証とは別枠の保証を申し込める。

セーフティネット保証4号:21市町村の事業者が対象

セーフティネット保証4号は、自然災害などで売上高等が減少している中小企業・小規模事業者を対象に、信用保証協会が一般保証とは別枠の限度額で借入額の100%を保証する制度です。今回は、災害救助法が適用された熊本県の10市10町1村が指定地域になります。

対象地域は、熊本市・八代市・水俣市・山鹿市・菊池市・宇土市・上天草市・宇城市・天草市・合志市の10市、下益城郡美里町・菊池郡大津町・菊池郡菊陽町・上益城郡御船町・上益城郡嘉島町・上益城郡益城町・上益城郡甲佐町・八代郡氷川町・葦北郡芦北町・葦北郡津奈木町の10町、そして阿蘇郡西原村です。

大事なのは、この制度が建物が壊れたかどうかではなく、売上が落ちたかどうかで判断される点です。店舗そのものは無事でも、断水・停電・道路の寸断・来客の減少で売上が落ちていれば対象になり得ます。手続きは、事業所のある市町村で「4号認定」を受け、その認定書を持って金融機関に融資を申し込む流れです。セーフティネット保証の全体像は、セーフティネット保証4号・5号の違いと認定の取り方で詳しく整理しています。

激甚指定で上乗せされた2つ(2026年8月28日施行)

2026年8月25日、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律にもとづく政令等が閣議決定されました。対象は八代市・宇城市・御船町・嘉島町・氷川町の5市町で、内容は「中小企業信用保険の特例措置」と「日本政策金融公庫の災害復旧貸付の金利引下げ」の2つです。政令の公布・施行は2026年8月28日の予定とされています。

図3|災害関係保証で増える保証枠(別枠)

保険の種類一般保証限度額災害関係保証限度額
普通保険2億円+2億円
無担保保険8,000万円+8,000万円
(うち特別小口保険)2,000万円+2,000万円

出典:経済産業省「令和8年熊本地震による災害が激甚災害として指定されたことに伴い、追加の被災中小企業・小規模事業者対策を講じます」(2026年8月25日)。借入債務の額の100%を保証。

災害関係保証を使うには、市町村長等から「事業所または主要な事業用資産に係る罹災証明」を受けていることが条件です。セーフティネット保証4号が「売上減少」で判断されるのに対し、災害関係保証は「実際に壊れた」ことの証明を求める、という違いがあります。この2つは別枠なので、要件を満たせば重ねて使えます。

日本政策金融公庫の災害復旧貸付:限度額と0.9%の引下げ

災害復旧貸付は、運転資金にも設備資金にも使えます。貸付限度額は、中小企業事業が別枠で1.5億円、国民生活事業が各貸付制度の限度額に3,000万円を上乗せ。基準利率は貸付期間5年以内で中小企業事業2.75%、国民生活事業2.70%です(いずれも令和8年8月3日現在)。

激甚指定の5市町では、この基準利率から0.9%の引下げが入ります。ただし引下げの対象は貸付額のうち1,000万円まで・貸付後3年間という上限つきです。金額の効き方を見ておきましょう。

図4|1,000万円を3年借りたときの利息の差(国民生活事業・基準利率2.70%で試算)

引下げなし 2.70%約81.0万円引下げあり 1.80%約54.0万円差額=約27万円(元金を減らさない単純計算・編集部試算)

実際は元金均等などで残高が減るため利息はこれより少なくなります。あくまで「上限1,000万円・3年」という条件の効き方を示すための概算です。

つまり、引下げの恩恵は最大でも30万円前後で、借入額が大きいほど全体に占める割合は小さくなります。「0.9%引下げがあるから借りる」ではなく、返済計画が成り立つかを先に決めて、そのうえで使える上乗せを取りにいく順番が正しい判断です。補助金と融資の使い分けは、融資と補助金の違い・併用の考え方にまとめています。

小規模企業共済の災害時貸付:原則として即日

小規模企業共済の契約者であれば、災害救助法が適用された21市町村で被害を受けた場合に、中小機構が原則として即日で低利の融資を行う災害時貸付が使えます。手元資金が数日でも足りないときに、いちばん早く現金が動く選択肢です。

借入限度額は掛金の7〜9割の範囲で、掛金納付月数に応じて50万円〜1,000万円。償還期間は借入額500万円以下で36か月、505万円以上で60か月(6か月ごとの元金均等割賦償還)です。すでに積み立てた自分の掛金が原資なので、審査で時間を取られにくいのが最大の利点です。

セーフティネット保証4号の認定を受ける4ステップ

実務でいちばん詰まるのが認定申請です。市町村の様式に沿って、売上の減少を数字で示す必要があります。手順は次の4つです。

図5|4号認定から融資実行までのチェックリスト

1

売上高の資料をそろえる

災害後1か月の売上見込みと、前年同期の実績が分かる帳簿・試算表。創業1年未満は市町村に代替の算定方法を確認する。

2

市町村の窓口で4号認定を申請する

事業所の所在地の市町村。認定書には有効期間があるため、金融機関との相談と並行して動く。

3

認定書を持って金融機関へ申し込む

保証協会への申込みは金融機関経由が一般的。既往債務がある場合は同じ場で条件変更も相談する。

4

保証審査・融資実行

今回は貸出手続きの迅速化と担保徴求の弾力化が要請されている。書類の不足があれば早めに確認する。

損しないポイント:ここを外すと使える制度を落とす

損しないポイント(5つ)

  • 片づける前に写真を撮る。事業所の罹災証明も、災害関係保証の要件も、被害の記録が出発点になる。
  • 売上減少と物的被害は別ルート。壊れていなくても売上が落ちていれば4号、壊れていれば災害関係保証。両方あるなら両方申請する。
  • 既往債務の相談を後回しにしない。返済猶予の申請が遅れても、公庫・商工中金は返済期日に遡及した猶予に柔軟対応すると明記されている。
  • 0.9%の引下げは1,000万円・3年が上限。全額に効くと思って借入額を膨らませない。
  • 共済契約者は災害時貸付を先に検討する。原則即日で、審査待ちの数週間を埋められる。

パターン別の分岐:あなたはどれに当てはまるか

パターンA

5市町(八代・宇城・御船・嘉島・氷川)で建物や設備が壊れた

最も手厚い。罹災証明を取り、災害関係保証(別枠)+災害復旧貸付の0.9%引下げ+セーフティネット保証4号を組み合わせられる。まず市町村の証明を取るのが最優先。

パターンB

21市町村内だが、建物は無事で売上だけ落ちた

セーフティネット保証4号が本線。災害関係保証は罹災証明が要件のため使えない。売上の落ち込みを数字で示す資料を先に用意する。

パターンC

県外の事業者だが、取引先が被災して売上が落ちた

4号の指定地域外なので4号は使えない。業況の悪化した業種を対象とするセーフティネット保証5号や、取引適正化の配慮要請(2026年8月7日)を踏まえた発注側との協議が現実的な入口になる。

パターンD

すでに借入があり、返済が重い

新規の借入より先に、既往債務の条件変更を相談する。提出書類の簡素化と契約手続きの迅速化が要請されており、遡及した返済猶予にも柔軟対応とされている。

イレギュラー・現場対応:告示前・区域外・書類不足

被災直後の資金繰りでは、制度の説明どおりに進まない場面が必ず出ます。今回の公表資料と自治体の運用から読み取れる、実務上のイレギュラーを3つ挙げます。

現場でよく起きる3つ

①「官報告示がまだ」で止められた/経産省は、地域指定の告示前でも信用保証協会が事前相談を開始すると明記しています。告示待ちで手続きを止めず、相談だけ先に進めるのが正しい動き方です。

②罹災証明の窓口が混雑している/八代市はオンライン申請を用意し、被害が軽微な場合は写真で判定する自己判定方式も案内しています。窓口に並ぶ前に、自治体サイトでオンライン導線と自己判定の可否を確認してください。ただし自己判定方式は、後から区分の見直しを求めにくくなる場合があります。被害が大きいと感じたら現地調査を選ぶ判断もあります。

③決算書や試算表が事務所ごと被災した/今回は提出書類の簡素化と契約手続きの迅速化が要請されています。書類がそろわないことを理由に相談自体をあきらめず、その事情を窓口で先に伝えるのが実務的です。

相場観と編集部の価値判断:借りる前に順番を決める

今回の支援策を通してみると、令和8年熊本地震の事業者向けメニューはほぼすべてが「融資」と「保証」で、返さなくてよいお金(給付・補助)は国のレベルではまだ表に出ていません。過去の大規模災害ではグループ補助金のような設備復旧の補助が後から立ち上がった例がありますが、現時点で確定した情報はなく、あるものとして計画を立てるのは危険です。

そのうえで、編集部としての判断はこうです。順番は「①証明書を取る → ②既往債務を軽くする → ③共済の即日資金 → ④保証つき融資」。②を飛ばして④から入ると、月々の返済が積み上がったまま新しい借入が乗ります。0.9%の引下げは3年で最大30万円前後の効果ですが、既往債務の返済猶予は月々のキャッシュに直接効きます。効き方の大きさで並べると、順番は自然にこうなります。

また、災害関係保証は「別枠」であって「返さなくてよい」ではありません。普通保険で最大2億円が上乗せされるという数字は心強く見えますが、限度額いっぱいまで借りられることと、返せることは別の話です。復旧後の売上見込みを、被災前ではなく被災後の商圏で置き直してから借入額を決めてください。補助金がいつ入金されるかという後払いの構造は、補助金はいつもらえるのかでも整理しています。

被災後の資金繰りは「記録」が先、「借入」が後

認定申請でも罹災証明でも、求められるのは被害と売上の記録です。日々の売上と経費が帳簿として残っていれば、認定も融資審査も格段に速く進みます。

あわせて読む:セーフティネット保証4号・5号の違いと認定の取り方/補助金のつなぎ融資と資金繰り

よくある質問

セーフティネット保証4号と災害関係保証は同時に使えますか

災害関係保証は、一般保証およびセーフティネット保証とは別枠での信用保証と説明されています。したがって、それぞれの要件(4号は売上減少、災害関係保証は事業所または主要な事業用資産の罹災証明)を満たせば、枠を重ねて利用できます。実際の与信は金融機関と保証協会の審査によります。

災害関係保証はいつから申し込めますか

根拠となる政令は2026年8月28日に公布・施行の予定と公表されています。対象は八代市・宇城市・御船町・嘉島町・氷川町の5市町です。施行前でも、必要書類の準備や金融機関・保証協会への事前相談は進められます。

建物が壊れていなくても支援は受けられますか

受けられる可能性があります。セーフティネット保証4号は、災害の影響で売上高等が減少している事業者が対象で、建物の損壊は要件になっていません。断水・停電・交通の寸断・来客減による売上減も対象になり得ます。一方で災害関係保証と公庫の金利引下げは、罹災証明や被害の証明が前提です。

災害復旧貸付の0.9%引下げは借入全額に適用されますか

いいえ。引下げの対象は貸付額のうち1,000万円を上限とし、期間も貸付後3年間に限られます。1,000万円を超える部分と4年目以降は基準利率です。基準利率は貸付期間5年以内で中小企業事業2.75%、国民生活事業2.70%(令和8年8月3日現在)と公表されています。

返済猶予の申請が遅れてしまいました。もう間に合いませんか

2026年8月5日の追加措置で、日本政策金融公庫および商工組合中央金庫は、地震の影響で返済猶予の申請に遅れが生じている場合でも、返済期日に遡及した返済猶予に柔軟に対応するとされています。あきらめずに借入先へ相談してください。

出典・基準日

基準日:2026年8月28日

  • 経済産業省「令和8年熊本地震に伴う災害に関して被災中小企業・小規模事業者支援措置を行います」(2026年7月29日公表/8月5日・8月25日更新)
  • 経済産業省「令和8年熊本地震による災害が激甚災害として指定されたことに伴い、追加の被災中小企業・小規模事業者対策を講じます」(2026年8月25日)
  • 八代市「令和8年熊本地震における『り災証明書』の申請について」(2026年8月24日最終更新)
  • 中小企業基盤整備機構「小規模企業共済 共済契約者貸付(災害時貸付)」

本記事は公的機関の公表資料をもとに、みんなのミカタナビ編集部が整理したものです。個別の融資可否・保証可否は金融機関および信用保証協会の判断によります。制度は変更されることがあるため、申込み前に必ず公式情報をご確認ください。

補助金・助成金の全体像は補助金・助成金ガイドにまとめています。制度ごとの締切や手続きの後半(実績報告・返還)もあわせてご覧ください。

読み終えたら、次に手を動かすこと

借入は資金繰りの入口で、出口は毎月の固定費です。制度の申請と並行して、動かせる支出を先に軽くしておくと返済計画に余裕が出ます。

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この記事を書いた人

みんなのミカタナビ編集部です。運営者・たくの編集方針のもと、相続・出産・退職・補助金など「知らないと損する手続きとお金」を、公的機関の一次情報と体験談の取材をもとに時系列で整理しています。数値・期限は必ず公式情報で裏取りし、出典を明記します。

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