| まず何を | 勤務先に育児休業の申出をするとき、「夫婦それぞれが14日以上の育休を取れるか」を先に確認します。2025年4月に新設された出生後休業支援給付金は、ここが分かれ目です。 |
|---|---|
| いつまでに | 対象期間は父=子の出生後8週間以内/母=産後休業終了後8週間以内。この枠の中で14日以上の育休を取る必要があります。育休の申出は原則1か月前までなので、産前に段取りを決めておくのが安全です。 |
| いくら | 育児休業給付金67%+出生後休業支援給付金13%=合計80%(最大28日分)。給付金は非課税で社会保険料も免除されるため、手取りではおおむね10割相当になります。復帰後に時短勤務をする人は、育児時短就業給付金(賃金の10%)が2歳未満まで。 |
※本記事は編集部が厚生労働省・ハローワークの公表資料をもとに整理したものです(基準日:2026年7月27日)。個別の支給判定は勤務先または管轄のハローワークにご確認ください。
「育休を取ると収入が3分の2に減る」。長くそう言われてきましたが、2025年4月に出生後休業支援給付金と育児時短就業給付金という2つの給付が新設され、条件を満たせば育休開始からの一定期間は手取りがほぼ減らない設計になりました。ただし、どちらも「知っていて段取りした人」しか使えない仕組みになっています。ここでは、いつ・誰が・何をすれば受け取れるのかを時系列で整理します。
いつ・何をする?出産前から復帰後までのタイムライン
知らないと損する4つのポイント
- 「夫婦そろって14日以上」が原則条件です。片方しか育休を取らないと、13%の上乗せは出ません(例外は次章)。「1週間だけ取る」という取り方では届かない点に注意してください。
- 対象期間の外にずらすと対象外になります。父が「落ち着いた頃に取ろう」と出生後8週間を過ぎてから育休を始めると、その育休自体は取れても13%の対象にはなりません。
- 育児時短就業給付は「2歳未満」まで。会社の制度で3歳まで時短勤務ができても、給付は子が2歳になる前日で終わります。時短の取り方を考える材料になります。
- 申請は原則、勤務先経由です。新しい制度のため、担当者が把握していない場合があります。育休の申出時に「出生後休業支援給付金の申請もお願いします」と明示的に伝えておくのが確実です。
あなたの場合はどうなる?パターン別の判定
| あなたの状況 | 出生後休業支援給付(13%) | 確認すること |
|---|---|---|
| 夫婦とも会社員で、2人とも14日以上育休 | 対象 | それぞれの対象期間の起点(父=出生後/母=産後休業後) |
| ひとり親 | 配偶者要件なしで対象 | 配偶者がいない場合は本人の14日以上だけで判定 |
| 配偶者が専業主婦(夫)・自営業・フリーランス | 配偶者要件なしで対象になり得る | 配偶者が雇用保険の被保険者でない等に該当するか |
| 配偶者は会社員だが育休を取らない | 対象外 | 14日以上取れないか、勤務先と交渉する余地 |
| 有期雇用(契約社員・パート) | 育休給付の要件を満たせば対象 | 雇用保険の被保険者期間(原則12か月以上) |
| 復帰後に残業免除だけを使う | 時短給付は対象外 | 所定労働時間そのものを短縮しているか |
金額のイメージ(月給30万円の場合)
※支給額の計算に使う休業開始時賃金日額には上限・下限があり、毎年8月1日に改定されます。実際の金額は勤務先またはハローワークでご確認ください。
現場でつまずくのはここ
制度が新しいため、体験談として語られているのは主に「会社側とのやり取り」でのつまずきです。以下は育休を取得した人のブログやSNSで繰り返し挙がる論点を編集部で整理したもので、制度の内容は公式資料で確認しています。
- 人事担当者が新給付を把握していないことがある。「育休給付は67%です」とだけ説明され、13%の上乗せに触れられなかったという声が目立ちます。制度名を出して確認するのが早道です。
- 「14日」の数え方でひやりとする。土日祝を含む暦日で数えますが、途中で就業した日の扱いなど細部が分かりにくく、ぎりぎり14日で組むと危険という指摘が多く見られます。余裕をもって16〜17日で組む人が多いようです。
- 初回の振込までに時間がかかる。育児休業給付金は申請から入金まで1〜2か月程度かかることが多く、「無給の期間が思ったより長かった」という体験談が定番です。産休・育休に入る前に2〜3か月分の生活費を確保しておくと安心という声が多く聞かれます。
- 時短給付は毎月の賃金額で判定される。残業が増えた月は支給率が下がったり支給されなかったりします。金額が毎月一定にならない点を知らずに家計を組むと想定が狂います。
- 復帰の時期と保育園の入園時期がずれる。給付の話とは別に、保活のスケジュールは自治体ごとに動きます。保活のやり方と激戦区対策と併せて逆算しておくのが実務的です。
どう取るのが得か(編集部の見方)
制度としては「夫婦そろって最初の28日を取る」のが最も金額的に有利です。ただし、育休の取り方は収入だけで決まるものではないので、判断材料として3つの型を挙げます。
父は出生直後に産後パパ育休で14日以上、母は産後休業明けにそのまま育休へ。これで2人とも28日分の上乗せを取り切れます。母体の回復期に人手がある点でも合理的です。
産後パパ育休は2回に分割できます。出生直後に2週間、退院後の落ち着かない時期にもう一度、といった組み方でも通算14日以上を満たせます。「まとまった1か月」でなくてよい点は見落とされがちです。
時短にすると賃金は下がりますが、2歳未満の間は10%の給付が乗ります。フルタイム復帰と時短を比べるときは、この10%と保育料・残業の実現性を合わせて考える必要があります。子が2歳になると給付は終わるので、そこを見据えた計画にしておくと後で慌てません。
よくある質問
出生後休業支援給付金はいつまでに申請すればいいですか?
申請は原則として勤務先を通じてハローワークへ行い、育児休業給付金の申請と併せて処理されます。雇用保険の給付は原則2年で時効になるため、育休が終わってから気づいた場合でも間に合うことがあります。会社が申請していないと感じたら、支給決定通知書の有無を確認し、管轄のハローワークに相談してください。
配偶者が育休を取れない場合は13%の上乗せをあきらめるしかないですか?
いいえ。配偶者がいない場合や、配偶者が雇用保険の被保険者でない場合(自営業・フリーランス・無業など)は、配偶者の育休取得を要件とせずに支給される取扱いがあります。判定は個別事情によるため、「配偶者が育休を取れないが対象になるか」とハローワークまたは勤務先に具体的に確認してください。単に「配偶者が会社と交渉していない」場合は対象外です。
育児時短就業給付金は、時短にすれば必ずもらえますか?
いいえ。2歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮して就業していることに加え、育児休業給付の対象となる育休から引き続いて時短就業を開始したか、時短就業の開始前2年間に被保険者期間が12か月以上あることが必要です。また、その月の賃金が時短前の水準に近いと支給率は下がり、時短前と同水準に戻ると支給されません。
本当に手取り10割になるのですか?
「額面の80%だが、手取りではおおむね10割相当」という意味です。育児休業給付金と出生後休業支援給付金は所得税・住民税がかからず、育休中は健康保険・厚生年金の保険料も免除されます。働いているときは額面から税と社会保険料が引かれるため、額面80%でも手取りが同程度になる、という設計です。住民税は前年所得に対して課税されるため、育休中も納付が続く点は別途見ておく必要があります。
あなたの体験を聞かせてください
この手続きで「実際はこうだった」「ここでつまずいた」という経験があれば、体験談募集フォームから教えてください。許諾をいただいたものだけ、出所を明示して記事に反映します。
出典・参考
出産・育児のお金と手続きの全体像は出産・育児のまとめにあります。
