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補助金の公募要領には「納税証明書を添付すること」とだけ書かれていることが多く、いざ税務署に行くと「どの種類ですか」と聞かれて答えられない――これは申請準備でかなり多いつまずきです。国が発行する納税証明書にはその1・その2・その3・その3の2・その3の3・その4の6種類があり、証明する内容も手数料の計算式も違います。しかも国税と地方税は発行元が別で、税務署では市区町村税の証明書は出せません。この記事では国税庁の交付請求手続と留意事項をもとに、種類の選び分け・手数料・3つの請求ルートを整理します(2026年8月23日時点)。
この記事の結論
- 「未納がないこと」を求められたら、個人はその3の2、法人はその3の3を選ぶ。
- 手数料は書面が1枚400円、e-Taxで請求すると370円。その1・その2は「税目数×年度数×枚数」で膨らむ。
- 収入印紙には絶対に消印しない。消印すると無効になる。
- 請求できるのは原則、直前の年分(事業年度・課税期間)からさかのぼって3年前まで。その3系は年度の指定ができない。
- 申告直後・納付直後は発行できないことがある。コンビニ納付は納付済みの証明が出るまで約3週間かかる。
- 納税情報の添付自動化が使えるのは全省庁統一資格審査(GEPS)と建設業許可・経営事項審査(JCIP)だけ。補助金の申請では原則、証明書そのものを取る必要がある。
納税証明書は6種類ある:どれを選ぶか
税務署が発行する納税証明書の種類と証明内容は次のとおりです。公募要領に「納税証明書」としか書かれていない場合は、事務局に種類・税目・年分・枚数を先に確認するのが確実ですが、実務では「未納がないこと」を証明するその3系が求められる場面が最も多くなります。
| 種類 | 証明内容 | よく使う場面 |
|---|---|---|
| その1 | 納付すべき税額、納付した税額および未納税額等 | 納税額そのものを示したいとき |
| その2 | 「申告所得税及復興特別所得税」または「法人税」の所得金額 | 融資審査・所得の証明 |
| その3 | 未納の税額がないこと | 税目を指定して未納なしを示すとき |
| その3の2 | 「申告所得税及復興特別所得税」と「消費税及地方消費税」に未納の税額がないこと(個人用) | 個人事業主の補助金申請 |
| その3の3 | 「法人税」と「消費税及地方消費税」に未納の税額がないこと(法人用) | 法人の補助金申請 |
| その4 | 証明を受けようとする期間に、滞納処分を受けたことがないこと | 入札参加資格など |
見落としやすいのが国税と地方税の切り分けです。税務署が出せるのは国税(申告所得税・法人税・消費税など)だけで、法人住民税・事業税・固定資産税などの証明書は都道府県税事務所や市区町村の窓口になります。公募要領が「税金の未納がないこと」と広く書いている場合は、両方必要かどうかを必ず事務局に確認してください。
手数料はいくらか:計算式と、e-Taxで安くなる分
手数料の単価は書面請求が400円、e-Taxを利用した請求が370円です。安いのは単価だけでなく、その1・その2は税目数×年度数×枚数で掛け算になるため、年度をまたぐ請求では差が出ます。その3・その4・その3の2・その3の3は枚数×単価だけで済みます。
「法人税+消費税の3年分(その1)を1枚ずつ」で比べる
2税目×3年度×1枚で試算(編集部作成のイメージ図)
なお、災害で財産に相当な損失を受けた方が復旧資金の借入れに使う場合や、生活の維持が困難な方が法律に定める扶助等の措置を受けるために使う場合など、手数料が不要になることがあります。収入印紙を買う前に税務署へ確認してください。
未納がないかは、日々の帳簿を見れば先にわかる
納税証明書は「その時点の納税状況」をそのまま写す書類です。申告や納付の漏れは取得の直前ではなく、日々の記帳の段階で潰しておくほうが確実で、期限管理も同じ画面でできます。
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請求ルートは3つ:どれが自社に合うか
| ルート | 単価 | 電子証明書 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 窓口 | 400円 | 不要 | その日のうちに紙が要る。現金納付ができるのは窓口だけ |
| 郵送 | 400円 | 不要 | 締切まで余裕がある。収入印紙で納付(現金不可) |
| オンライン | 370円 | 電子ファイル受取・郵送受取は必要/署名省略で窓口受取なら不要 | 枚数が多い、電子データのまま提出したい |
オンライン請求には3つの受け取り方があります。①電子納税証明書(PDFまたはXMLファイル)で受け取る、②オンラインで請求して税務署の窓口で受け取る(署名省略方式・電子証明書不要)、③オンラインで請求して郵送で受け取る。電子ファイルで受け取った場合、有効期限内であれば何度でも使い回せ、PDFはコンビニで印刷することもできます。ただし1つの請求に対して1つの電子ファイルが発行されるため、手数料の計算では「1枚」として数えます。
郵送で取るときの手順と、持ち物チェック
郵送請求のタイムライン
- 提出先に確認する:種類・税目・年分・枚数を、補助金の事務局や提出先に先に聞く。
- 請求書に記入する:納税証明書交付請求書に住所(納税地)・氏名(法人名と代表者氏名)・個人番号または法人番号、証明書の種類、税目、年度、枚数、使用目的を記入する。
- 収入印紙を貼る:手数料相当額の収入印紙を所定の場所に貼る。消印は絶対にしない。郵送では現金納付はできない。
- 返信用封筒を用意する:切手を貼った返信用封筒を同封する。証明書は1枚あたりおよそ5g。定形50gまで110円が目安。
- 本人確認書類を同封する:個人は番号確認書類の写しと本人確認書類の写しを同封(法人はいずれも不要)。基礎年金番号などはマスキングする。
- 封筒に朱書きして送る:封筒の表に「納税証明書請求在中」と書き、納税地を所轄する税務署へ送付する。
窓口で取るときの持ち物
- 納税証明書交付請求書(記入済み)
- 手数料相当の収入印紙または現金(現金納付は窓口のみ)
- 本人確認書類(個人番号カード・運転免許証などは1枚、資格確認書や年金証書などは2枚必要)
- 番号確認書類(個人のみ。法人は不要)
- 代理人が行く場合は本人(法人は代表者)が作成した委任状
- 直近に納付した分を証明したい場合は、その領収証書(電子納税なら不要)
税務署の窓口は8時30分から17時までで、土日祝日は受付していません。ただし時間外収受箱に投函すれば提出はできます。家族・代表者以外の役員・従業員が代理で行く場合も委任状が必要で、委任の事実を本人に電話で確認されることがあります。
損しないための4つのポイント
ここで差がつく
- 収入印紙に消印しない。消印したものは無効になり、貼り直しになります。
- 複数年度・複数税目は原則1枚にまとまる。年度ごと・税目ごとに分けた紙が必要なら、請求書の枚数欄に「各○枚」と書きます。書かないと1枚で発行され、出し直しになります。
- その3系は年度を指定できない。その1・その2は年度指定が必要ですが、その3・その3の2・その3の3は「現時点で未納がないこと」の証明なので年度欄は使いません。
- 請求できるのは3年前まで。その1・その2は原則、直前の年分(事業年度・課税期間)からさかのぼって3年前までです。
e-Taxで取るなら、申告データが整っていることが前提になる
オンライン請求は手数料が安く早い一方で、電子申告の履歴が前提になります。会計ソフトから電子申告まで一本でつないでおくと、証明書の取得も申請書類の準備も止まりません。
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パターン別:誰が、どれを、どう取るか
個人事業主が補助金に出す場合
「未納がないこと」を求められているならその3の2(申告所得税及復興特別所得税+消費税及地方消費税)が1枚で足ります。所得金額を求められている場合はその2で、こちらは年分の指定が必要です。窓口・郵送では番号確認書類と本人確認書類の写しが必要になります。
法人が補助金に出す場合
その3の3(法人税+消費税及地方消費税)が定番です。法人の場合、番号確認書類・本人確認書類の写しは不要ですが、代表者以外の役員や従業員が窓口に行くなら委任状が要ります。郵送先も原則は法人の納税地なので、事務所以外に送ってほしい場合は委任状と代理人の本人確認書類の写しを同封します。
税理士に頼む場合
税理士等が代理人になる場合は、委任状に加えて税理士等であることを証する書類の写しを同封すれば、税理士事務所へ送付してもらえます。e-Taxでは電子委任状(証明用)を添付することで、代理人が電子納税証明書や郵送分を受け取ることもできます。
現場で起きるイレギュラー
よくつまずく場面と、公式が示している扱い
- 申告したばかりで証明が出ない:申告後まもない時期は発行できないことがあります。締切が近いなら、先に税務署へ電話で確認してください。
- コンビニで納付した:納付済みであることの証明が出せるのは、納付の委託から約3週間後です。締切前に納めるなら電子納税や金融機関窓口のほうが安全です。
- e-Taxで納税情報を自動添付したい:納税情報の添付自動化が使えるのは、電子調達システム(GEPS)の全省庁統一資格審査申請と、建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)の申請だけです(手数料は不要)。補助金の電子申請では対象外なので、証明書そのものを取得します。
- 直前に修正申告や更正の請求をした:自動添付の対象手続でも納税情報を取得できないことがあります。その場合は電子納税証明書を取り直します。
- 証明書の内容を確認したい:納税証明書のQRコードには記載事項が格納されており、国税庁の「QRコード付納税証明書確認コーナー」で内容を確認できます。
- 枚数が多い:請求枚数が多量な場合は発行までに時間がかかることがあります。
編集部の見方:証明書は「先に頼む」書類
補助金の添付書類のうち、納税証明書は自分の努力では日数を縮められない数少ない書類です。事業計画書は徹夜すれば形になりますが、証明書は税務署の処理と郵便の日数がそのまま乗ります。郵送なら往復で1週間前後は見ておくべきで、締切直前に「その3の3を1枚」と気づいてから動くと間に合いません。
そのうえで、費用対効果が高いのはe-Taxの利用者登録を済ませておくことだと考えます。単価が370円に下がるだけでなく、電子ファイルなら有効期限内は再利用でき、締切前に取り直す手間が消えます。jGrants(Jグランツ)の電子申請を使うならGビズIDプライムも必要になるので、申請の前月あたりにまとめて整えておくのが現実的です。
採択後に必要になる書類も同じ発想で先回りできます。補助金の交付申請とは?採択後の手続きと交付決定までの流れや補助金の実績報告書の書き方もあわせて確認しておくと、後半で慌てずに済みます。制度の探し方から全体の流れは補助金・助成金 完全ガイド【2026年版】にまとめています。
補助金の申請は、証明書を出したあとの経理が本番
採択後は実績報告まで帳簿と証憑の整合を求められます。申請の段階で記帳の型を決めておけば、報告時にまとめて作り直す手間がなくなります。
▶ 補助金で買った設備は勝手に売れない
▶ 創業助成事業の対象経費で400万円を使い切る
よくある質問
補助金の申請にはどの納税証明書が必要ですか?
公募要領や事務局の指定が最優先ですが、「未納の税額がないこと」を求められる場合が多く、個人事業主は「その3の2」(申告所得税及復興特別所得税と消費税及地方消費税)、法人は「その3の3」(法人税と消費税及地方消費税)を選びます。所得金額の証明を求められている場合は「その2」です。税務署が発行できるのは国税分だけなので、住民税・事業税などの証明が必要かどうかも事務局に確認してください。
納税証明書の手数料はいくらですか?
書面で請求する場合は1枚400円、e-Taxを利用して請求する場合は370円です。「その1」「その2」は税目数×年度数×枚数×単価、「その3」「その3の2」「その3の3」「その4」は枚数×単価で計算します。収入印紙で納める場合は絶対に消印しないでください。消印したものは無効になります。現金で納められるのは税務署の窓口に来署した場合だけです。
何年前の分まで請求できますか?
「その1」「その2」は原則として、直前の年分(法人税は事業年度、消費税は課税期間)からさかのぼって3年前までです。「その3」「その3の2」「その3の3」は現時点で未納がないことの証明なので、国税の年度を指定することはできません。証明できる年分には期間の制限があるため、古い年度が必要な場合は税務署に確認してください。
納付したばかりですが、すぐに証明書は出ますか?
納付が確認できないと納付済みの証明書は発行できません。直近に納付した分について「その1」「その3」「その3の2」「その3の3」を請求する場合は、領収証書を持参してください(電子納税なら不要です)。コンビニエンスストアで納付(納付の委託)をした場合、納付済みの証明書が発行できるようになるのは委託から約3週間後です。また、申告後まもない時期は発行できない場合があります。
e-Taxの納税情報の自動添付を補助金申請にも使えますか?
使えません。納税情報の添付自動化に対応しているのは、電子調達システム(政府電子調達GEPS)の物品の製造・販売等に係る全省庁統一資格審査申請と、建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)の建設業許可申請・経営事項審査申請です(いずれも手数料は不要)。補助金の電子申請は対象外のため、納税証明書そのものを取得して添付します。
出典・参考
- 国税庁「G-1 納税証明書の交付請求手続」(種類・手数料・請求方法・受付時間)
- 国税庁「納税証明書を請求される方へ~請求に当たっての留意事項・納税証明書交付請求書の記載要領~」
- 国税庁「納税情報の添付自動化について」(令和7年6月末現在)
- e-Tax「納税証明書の交付請求について」「よくある質問(交付手数料)」
本記事は2026年8月23日時点の公表資料に基づく一般的な解説です。手数料・様式・取扱いは変更されることがあります。実際に必要な証明書の種類は補助金の事務局に、請求の可否や年度の範囲は所轄の税務署または税理士にご確認ください。
