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相続の戸籍謄本の集め方【2026年版】広域交付なら最寄りの窓口で全国分をまとめて請求|法定相続情報一覧図は無料・5年間は再交付できる

濃い木目のデスクに置かれた戸籍の書類の束と茶色い封筒、虫めがね
結論:まず何を・いつまでに・いくら
何をする
①最寄りの市区町村窓口で広域交付を使い、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍をまとめて請求 → ②法定相続情報一覧図を作って法務局へ申出 → ③交付された一覧図の写しを銀行・法務局・年金の窓口に配ります。
いつまでに
法律上の期限はありませんが、相続登記は3年以内、相続税の申告は10か月以内。戸籍集めに1〜2か月かかることがあるため、四十九日が終わったら着手するのが目安です。
いくら
戸籍1通450円、除籍・改製原戸籍1通750円が標準です。通数は5〜15通になることが多く、実費で数千円。法定相続情報一覧図の交付は無料(何枚でも)です。

相続手続きでいちばん体力を使うのが、この戸籍集めです。銀行、法務局、証券会社、年金事務所――窓口ごとに同じ戸籍の束を出し直すことになり、原本を返してもらう「原本還付」の依頼だけで何往復もする、というのが以前の実情でした。

いまは2つの制度でだいぶ楽になっています。ひとつは2024年3月から始まった戸籍の広域交付。もうひとつは、集めた戸籍を1枚の図にまとめて法務局が証明してくれる法定相続情報証明制度です。この2つを組み合わせると、戸籍の束を持ち歩く必要がほぼなくなります。

この記事では、何を・どこで・どの順に取ればいいのかを、法務省と法務局の公表資料をもとに整理します。(本記事の基準日:2026年8月2日)

目次

そもそも「出生から死亡までの戸籍」とは何枚あるのか

相続手続きで求められるのは、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍です。1通ではありません。人は生涯のうちに、次のような理由で何度も戸籍を移ります。

1人分の戸籍が複数になる理由
きっかけ発生する書類手数料の標準
出生時親の戸籍に入る(この戸籍が「最初の1通」)450円/750円
婚姻親の戸籍から抜けて新しい戸籍を作る450円
転籍本籍を移した先で新しい戸籍が作られる450円
戸籍法の改製様式が変わるたびに「改製原戸籍」が残る750円
死亡・全員除籍戸籍全体が閉じられ「除籍謄本」になる750円

つまり、婚姻して転籍もして、改製を2回はさんだ人なら、それだけで5〜6通になります。この一連を途切れなくつなぐことが求められるため、1通ずつ「その前はどこの戸籍にいたか」を読んでさかのぼっていく作業になります。

広域交付を使えば、1か所の窓口でまとめて取れる

2024年(令和6年)3月1日に改正戸籍法が施行され、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍証明書・除籍証明書を請求できるようになりました。法務省はこれを「どこでも」「まとめて」と説明しています。本籍が全国に散らばっていても、住まいや勤務先の最寄りの窓口1か所で一括請求できます。

広域交付には5つの制約がある(ここを知らないと二度手間になる)
  • 請求できるのは直系だけ:本人・配偶者・父母や祖父母などの直系尊属・子や孫などの直系卑属に限られます。兄弟姉妹の戸籍は請求できません。子がいない方の相続で兄弟姉妹が相続人になるケースでは、この制度だけでは完結しません。
  • 窓口に本人が行く必要がある:郵送も代理人請求もできません。士業に頼む場合も、広域交付は使えない前提になります。
  • 顔写真付きの本人確認書類が必須:運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど。健康保険証だけでは受け付けられません。
  • コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍は対象外:古い戸籍がデータ化されていない自治体では、その分だけ本籍地に個別請求することになります。
  • 一部事項証明書・個人事項証明書(いわゆる戸籍抄本)は請求できない:取れるのは全部事項証明書(謄本)です。

特に1つ目は見落としがちです。相続人が兄弟姉妹になる場合、亡くなった方の親の出生から死亡までの戸籍(兄弟姉妹が他にいないかを確認するため)も必要になりますが、これは請求者から見れば直系尊属なので取れます。一方で、先に亡くなっている兄弟の戸籍などは直系ではないため、本籍地への郵送請求に切り替えることになります。

時系列でやること:戸籍集めから一覧図の交付まで

相続の戸籍集めと法定相続情報一覧図の取得
1日目
死亡届の提出後、まず死亡が記載された戸籍(除籍)を取る。死亡の記載が反映されるまで1〜2週間かかる自治体もあるため、窓口で反映済みか確認します。ここが「さかのぼりの出発点」です。
1〜2週目
最寄りの窓口で広域交付を使い、出生までさかのぼって一括請求。顔写真付き身分証を持参し、「相続手続きに使うので、出生から死亡まで連続してほしい」と伝えます。窓口側で追跡してくれることが多いです。
取りこぼしの確認
受け取った束を古い順に並べ、各戸籍の「従前戸籍」の記載が前の1通とつながっているかを確認。つながらない箇所があれば、その本籍地へ郵送請求します(定額小為替が必要)。
相続人側の書類
相続人全員の現在の戸籍と、申出人の住民票(または運転免許証の写し)を用意。被相続人の住民票除票(または戸籍の附票)も必要です。
一覧図の作成
被相続人と、戸籍から判明する相続人を1枚の図にします。法務局が様式と記載例を公開しているので、そのまま使うのが確実です。
法務局へ申出
管轄は①被相続人の本籍地 ②被相続人の最後の住所地 ③申出人の住所地 ④被相続人名義の不動産の所在地のいずれか。窓口でも郵送でも可(郵送なら返信用封筒と切手を同封)。手数料は無料です。
交付・戸籍の返却
一覧図の写しが交付され、預けた戸除籍謄本は返却されます。写しは必要枚数を無料でもらえるので、提出先の数だけ請求しておきます。
5年以内なら再交付
一覧図は申出日の翌年から起算して5年間保存され、その間は再交付を受けられます。ただし当初の申出書に申出人として記載した人だけです。

損しないポイント:無料でできること・返ってこないもの

知らないと損する・出し直しになること
  • 一覧図の写しは何枚でも無料:銀行・証券会社・法務局・年金事務所と提出先が複数あるなら、最初にまとめて必要枚数を請求しておくと、戸籍の束を回す手間がゼロになります。あとから足りなくなっても再交付は無料ですが、往復の日数がかかります。
  • 本人確認書類は返ってきません:法務局は、戸除籍謄本は返却しますが、申出人の住所氏名を確認する公的書類(運転免許証のコピー、住民票の写しなど)は返却しないと明記しています。住民票の原本を他の手続きにも使いたい場合は、原本とコピー(原本と相違ない旨を記載して記名したもの)を一緒に出すと原本を返してもらえます。
  • 不備を放置すると3か月で廃棄:登記官から補正を求められたのに応じない場合、預けた書類一式は返戻され、返戻にも応じないと申出日から3か月経過後に廃棄されます。集め直しは実費も手間もかかるので、連絡には必ず反応してください。
  • 一覧図だけでは足りない窓口がある:一覧図は「戸籍上の法定相続人」を証明するもので、遺産分割協議書や印鑑証明書の代わりにはなりません。提出先に「一覧図の写し以外に何が要るか」を先に聞くよう、法務局自身が案内しています。
  • 年金手続きにも使える:一覧図の写しは、相続手続きだけでなく年金等の手続きにも利用できます。年金事務所に戸籍の束を出す必要がなくなります。

あなたの場合はどうなるか:状況別の分岐

相続放棄する人がいる/遺産分割で何ももらわない人がいる

その場合も、その人の氏名は一覧図に記載されます。法定相続情報一覧図は戸籍の記載に基づく法定相続人を明らかにする制度なので、放棄や分割協議の結果は反映されません。一方、推定相続人から廃除された人は相続権がないため記載されません。放棄した事実を示すには、家庭裁判所の相続放棄申述受理証明書を別に用意します。

子どもがおらず、兄弟姉妹が相続人になる

必要な戸籍がぐっと増えます。亡くなった方の出生から死亡までに加えて、両親それぞれの出生から死亡まで(他に子がいないかの確認)、さらに先に亡くなっている兄弟姉妹がいればその人の出生から死亡まで(代襲相続の確認)が要ります。兄弟姉妹分は広域交付の対象外なので、本籍地への郵送請求を早めに始めてください。

被相続人や相続人が日本国籍を持たない

戸除籍謄抄本を提出できないため、法定相続情報証明制度は利用できません。この場合は本国の証明書などを個別に用意し、提出先ごとに確認することになります。

自分で集めるか、専門家に頼むか

広域交付が使えるのは本人が窓口に行く場合だけなので、士業に依頼すると本籍地への個別請求(職務上請求)に戻ります。ここは「自分で行けるなら自分で行ったほうが早い」領域です。逆に、兄弟姉妹相続・代襲相続・転籍が多い・古い手書き戸籍が読めない、といった条件が重なると、専門家に任せたほうが結果的に早いことがあります。

相続登記だけが目的

相続登記は2024年4月から義務化され、取得を知った日から3年以内の申請が必要です。登記の場面でも一覧図の写しが使えるので、先に一覧図を取ってから登記に進む流れが効率的です。

現場で実際に起きること

以下は当編集部が公開されている体験談・実務解説を確認して整理したものです。制度の要件は前掲の法務省・法務局の資料で裏取りしていますが、所要日数や窓口対応の傾向は自治体差があるため、目安として読んでください。

死亡の記載が戸籍に反映されるまで待たされる

死亡届を出した直後に戸籍を請求しても、まだ死亡が記載されていないことがあります。本籍地と届出地が違うと、反映まで1〜2週間かかることも珍しくありません。先に反映済みかを電話で確認してから窓口に行くと、往復が1回減ります。

広域交付は「その場で30分〜1時間」かかることがある

全国の本籍地から取り寄せる仕組みのため、窓口で待ち時間が発生します。体験談では「即日もらえたが1時間待った」「後日交付になった」の両方が語られています。時間に余裕のある平日午前に行くのが無難です。

古い手書き戸籍が読めない

明治・大正期の戸籍は毛筆の手書きで、旧字と旧仮名づかいです。「つながっているのか判断できない」と感じたら、窓口の職員に「この戸籍の前はどこですか」と直接聞くのがいちばん早い方法です。法務局に一覧図を申し出た段階でつながりの不足があれば、登記官から補正を求められます。

一覧図の写しを「原本還付」と勘違いする

一覧図の写しは提出先に渡し切りになるのが原則です。だからこそ最初にまとめて枚数を取ります。提出先の数+2枚くらいを目安にしておくと、あとから見つかった口座や証券にも対応できます。

申出人にならなかった相続人が、あとで再交付を受けられない

再交付を請求できるのは、当初の申出書に「申出人」として氏名を記載した人だけです。きょうだいで手続きを分担する予定があるなら、最初の申出のときに複数人を申出人として記載しておくと後が楽になります。

相場観と、編集部としての見方

この分野は「頼むと数万円、自分でやると数千円」という価格差が生まれやすいところです。司法書士や行政書士に戸籍収集を依頼した場合の報酬は、事務所により幅がありますが、戸籍収集単体で数万円台からというのが一般的な水準です。

編集部の整理は次のとおりです。押し付けるつもりはありませんが、判断の軸として使ってください。

堅実に済ませたい人はここまで
相続人が配偶者と子だけなら、広域交付+法定相続情報一覧図で自力完結を狙う価値が高い領域です。窓口1〜2回と法務局への郵送で終わり、実費は戸籍代の数千円のみ。専門家報酬をかけずに済みます。
安心して任せたい人はここまで
兄弟姉妹相続・代襲相続・不動産が複数県にある・相続人と連絡が取れない、のどれかに当てはまるなら、最初から司法書士に相談したほうが総コストは下がりやすいです。戸籍収集だけでなく、相続登記までまとめて依頼できます。

分かれ目は「広域交付が最後まで使えるか」です。相続人が直系だけで完結するなら自分でやる、直系から外れるなら早めに相談する――この線引きが、いまの制度ではいちばん実用的だと考えています。

よくある質問

広域交付なら本籍地がわからなくても取れますか?

窓口では戸籍の追跡をしてもらえることが多いものの、請求時に本人確認と対象者の特定が必要です。事前に亡くなった方の本籍が記載された住民票除票などを用意しておくと確実です。なお、コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍は広域交付の対象外です。

兄弟姉妹の戸籍も広域交付で取れますか?

取れません。広域交付で請求できるのは、本人・配偶者・直系尊属(父母や祖父母など)・直系卑属(子や孫など)の戸籍証明書等に限られます。兄弟姉妹の戸籍は本籍地の市区町村へ郵送などで個別に請求します。

法定相続情報一覧図の交付に費用はかかりますか?

法務局への申出および一覧図の写しの交付に手数料はかかりません。郵送での受け取りを希望する場合の返信用封筒と切手は自己負担です。

一覧図の写しは何枚まで取れますか?

必要な枚数を無料で交付してもらえます。銀行・証券会社・法務局・年金事務所など提出先の数に合わせて、最初にまとめて請求しておくと戸籍の束を回す必要がなくなります。

相続放棄した人も一覧図に載りますか?

載ります。法定相続情報一覧図は戸除籍謄本の記載に基づく法定相続人を明らかにするものなので、相続放棄や遺産分割協議の結果によって実際には相続分を持たない人も記載されます。ただし推定相続人から廃除された人は記載されません。

一覧図の再交付はいつまで受けられますか?

申出日の翌年から起算して5年間保存されるため、その間は再交付を受けられます。請求できるのは当初の申出書に申出人として氏名を記載した人に限られます。

関連する手続き

相続全体の流れと期限は、相続・お葬式のやることナビにまとめています。あわせて次の記事も参考にしてください。

様式・記載例・管轄の確認は、法務局「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」をご覧ください。戸籍の広域交付の運用は市区町村により異なるため、お住まいの自治体の戸籍担当窓口にもご確認ください。

出典

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この記事を書いた人

みんなのミカタナビ編集部です。運営者・たくの編集方針のもと、相続・出産・退職・補助金など「知らないと損する手続きとお金」を、公的機関の一次情報と体験談の取材をもとに時系列で整理しています。数値・期限は必ず公式情報で裏取りし、出典を明記します。

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