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相続放棄の判断と手続き【2026年版】3ヶ月の期限・必要書類・費用|借金を継がないための進め方

書類と印鑑をあしらった相続放棄の手続きのアイキャッチ 相続・お葬式
まず結論:相続放棄はこう進める

▶ 何を:被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に「相続放棄の申述」をします。プラスの財産もマイナスの借金も、一切引き継ぎません。

▶ いつまでに:自分のために相続が始まったと知った日から3ヶ月以内(熟慮期間)。この期限が最重要です。

▶ いくら:収入印紙800円+予納郵券(例:数百円)。戸籍取得も含め1人あたり3,000〜10,000円程度。

▶ 損しない:遺産を使ったり処分すると「単純承認」とみなされ放棄できなくなることがあります。判断前に財産に手を付けないこと。

親や親族が借金を残して亡くなったとき、「相続放棄」をすれば、その借金を背負わずに済みます。ただし期限は3ヶ月と短く、やってはいけない行為を知らずに踏んでしまうと放棄できなくなることがあります。この記事では、裁判所の公表情報をもとに、相続放棄すべきか迷ったときの判断軸と手続きの流れ、つまずきやすいポイントを、編集部が中立の立場で整理します。

目次

相続放棄とは?「限定承認」との違い

相続放棄をすると、法律上はじめから相続人でなかったものとみなされ、預貯金や不動産などのプラスの財産も、借金などのマイナスの財産も一切受け継ぎません。似た制度に、プラスの範囲内で借金を引き継ぐ「限定承認」がありますが、こちらは相続人全員での申述が必要で手続きが複雑です。まずは相続放棄・限定承認・そのまま相続(単純承認)の違いを押さえましょう。

選択肢 引き継ぐもの 手続き
単純承認プラスもマイナスも全部手続き不要(何もしなければこれ)
相続放棄何も引き継がない家裁へ申述(1人でも可)・3ヶ月以内
限定承認プラスの範囲で借金を精算相続人全員で家裁へ申述・3ヶ月以内

相続放棄の流れと3ヶ月のカウントダウン

期限は「亡くなった日」ではなく「自分のために相続が始まったと知った日」から3ヶ月です。多くは死亡を知った日と同じですが、後順位の相続人は先順位者の放棄を知った日が起算日になります。期限が近いほど色を濃く(紺→緑→金→赤)示しました。

起算日(相続を知った日)
ここから3ヶ月のカウント開始。まず借金・資産のおおよそを把握(督促状・通帳・不動産の有無を確認)。この間、遺産に手を付けない。
1〜2ヶ月目
戸籍謄本など必要書類を集め、相続放棄申述書を作成。判断に迷い調査が終わらないなら「期間伸長の申立て」を検討(後述)。
3ヶ月以内に提出
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申述書+収入印紙800円+予納郵券を提出(郵送可)。
提出後:照会書→受理
家裁から届く照会書に回答すると「相続放棄申述受理通知書」が届き完了。一度受理されると原則撤回できません。債権者には受理通知書の写しで対応。
⏳ 3ヶ月に間に合いそうにないなら、先に「期間の伸長」を申し立てる
財産や借金の調査が終わらず、承認するか放棄するかを決められないときは、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に「相続の承認又は放棄の期間の伸長」を申し立てることができます。費用は相続人1人につき収入印紙800円と連絡用の郵便切手で、申立書の書式と必要書類は裁判所の公式サイトに掲載されています。動くのは「3ヶ月が過ぎる前」です。
※編集部より:期限を過ぎた後の申述が一切通らないわけではありませんが、認められるかは家庭裁判所の判断次第です。管轄の家庭裁判所には「家事手続案内」があり、どの書式を使うかは無料で確認できます。迷っている時間が、そのまま期限を削ります。

損しない・失敗しないための注意点

💰 放棄したいなら「やってはいけないこと」

遺産を使う・処分する・名義変更すると、相続を認めた(単純承認)とみなされ、放棄できなくなることがあります。預貯金の引き出しや形見の高価品の持ち出しにも注意。

3ヶ月で調査が終わらないときは、期限内に家裁へ「相続の承認・放棄の期間伸長の申立て」をすれば延長が認められる場合があります。

借金を後から知った場合は、3ヶ月を過ぎても事情によって放棄が認められることがあります(相当な理由が必要)。あきらめる前に専門家へ相談を。

あなたの場合はこう|放棄すべきかの判断軸

明らかに借金が資産より多い
→ 相続放棄が有力。督促状・借用書・保証債務の有無を確認し、期限内に申述を。
借金があるか分からない/資産の全容が不明
→ まず調査。終わりそうになければ期間伸長の申立て。判断が難しければ「限定承認」や専門家相談も選択肢。
資産のほうが多く、借金は少額
→ 放棄しないほうが有利なことも。放棄するとプラスの財産も一切もらえない点に注意。
自分が放棄すると、次の順位の親族へ
→ 子が全員放棄すると親→兄弟姉妹へ相続権(=借金)が移ります。放棄する場合は次順位の親族に必ず知らせを。

現場でつまずきやすい点と対処

⚠ よくあるつまずき

① 死亡直後に口座を解約・出金してしまった
単純承認とみなされる恐れ。対処:放棄を検討する段階では遺産に手を付けず、支払いが必要なら立て替えの記録を残し専門家に相談。

② 次順位の親族に知らせず放棄し、後で借金の督促が届いてトラブル
対処:放棄前・直後に、相続権が移る親族へ事情を共有しておく。

③ 葬儀費用を遺産から支払ってよいか迷う
常識的な範囲の葬儀費用は問題になりにくいとされますが、対処:高額な支出や資産の費消は避け、判断に迷えば専門家に確認を。

📄 戸籍集めで止まったら、まず「広域交付」が使えるか確認する
2024年3月から、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍証明書をまとめて請求できるようになりました(広域交付)。ただし請求できるのは本人・配偶者・直系尊属(父母・祖父母)・直系卑属(子・孫)に限られ、兄弟姉妹の戸籍は広域交付では取れません。コンピュータ化されていない古い戸籍も対象外で、その場合は従来どおり本籍地の市区町村に請求します。
※編集部より:相続放棄で戸籍集めが長引くのは、この「兄弟姉妹ルート」がほとんどです。第1順位(子)→第2順位(親)→第3順位(兄弟姉妹)と順番が回ってくる相続では必要な戸籍が一気に増えるので、3ヶ月の期限と同時並行で走らせてください。

経験者しか知らない細部(体験談で多く語られること)

手続きの条文どおりの説明は、裁判所のサイトを読めば分かります。実際に自分で相続放棄をした人のブログやnote、掲示板でくり返し語られるのは、「そこでつまずくとは思っていなかった」細部のほうです。以下は体験談で頻出する論点を、公的情報で裏取りできる範囲に整理したものです(体験談は個別事情によるため、断定ではなく判断材料として読んでください)。

① 出した日に終わりではない。「照会書・回答書」が来て初めて受理
書類を提出してから2週間〜1か月ほどで、家庭裁判所から相続放棄照会書・回答書が郵送されてきます。放棄が本人の意思によるものかを確認する書面で、これに回答して返送し、受理されて完了です。回答書は原則として申述人本人が自筆で記入します(やむを得ず代筆する場合は、相続に利害関係のない人に頼みます)。「提出した日に終わる」つもりで転居や出張の予定を入れると、郵便を受け取れず手続きが止まります。
② 届くのは「通知書」。債権者に見せる「証明書」は別物で1通150円
受理されると相続放棄申述受理通知書が届きますが、これは1回きりの交付で再発行されません。一方、債権者や法務局へ正式に示すときに使うのは相続放棄申述受理証明書で、こちらは家庭裁判所へ申請すれば何通でも取得でき、費用は1通150円(収入印紙)です。体験談では「督促が複数社から来て、そのたびに証明書を取りに行った」という声が目立ちます。債権者が複数いるなら、最初から数通まとめて申請しておくと往復の手間が減ります。
③ 戸籍集めが最大の関門。広域交付は「兄弟姉妹の戸籍」には使えない
2024年3月1日から、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍をまとめて請求できる広域交付が始まりました。ただし請求できるのは本人・配偶者・父母や祖父母などの直系尊属・子や孫などの直系卑属の戸籍に限られ、兄弟姉妹の戸籍は請求できません。郵送・代理人による請求も不可で、顔写真付きの身分証を持って本人が窓口へ行く必要があります。兄弟姉妹として放棄する場合は従来どおり本籍地への郵送請求になり、ここだけで2〜4週間かかることがあります。3か月の熟慮期間から逆算すると、真っ先に着手すべき工程です。
④ 3か月の起算点は「亡くなった日」ではない
熟慮期間は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月です。先順位の相続人が放棄したことで相続人になった人は、その事実を知った時が起算点になります。調査が終わらず判断できない場合は、期間内に家庭裁判所へ相続の承認又は放棄の期間の伸長を申し立てられます。「間に合わない」と諦める前に、伸長という選択肢があることは体験談でも見落とされがちです。
⑤ よかれと思ってやった片づけ・解約で、放棄できなくなることがある
故人の携帯電話やアパートを解約する、公共料金を故人の口座から支払う、価値のある遺品を処分する——こうした行為は財産の処分=単純承認とみなされる可能性があります。体験談で共通しているのは、支払いが避けられないときは相続財産からではなく自分の財布から出し、領収書と経緯を残すという運用です。判断に迷うものは、放棄の受理が出るまで触らないのが安全側です。
⑥ 放棄しても、実家の管理からすぐ解放されるとは限らない
2023年4月施行の改正民法940条により、放棄の時にその財産を現に占有していた人は、次順位の相続人または相続財産清算人に引き渡すまで、自己の財産と同一の注意をもって保存する義務を負います。実家に同居していた人ほど影響が大きく、「放棄したのに草刈りや雨漏りの連絡が来る」という体験談はここに起因します。相続人全員が放棄した場合は、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立てることで引き渡し先をつくれますが、予納金が必要になるのが一般的です。
⑦ 次順位への連絡は義務ではない。ただし黙って進めると必ずもめる
放棄したことを次順位の親族へ知らせる法律上の義務はありません。しかし放棄によって相続権は子→親→兄弟姉妹(さらに甥姪)へ移り、何も知らない親族のもとに突然督促状が届きます。体験談でいちばん多い後悔がここです。「放棄する予定であること」「いつ受理されたか」を先に一報入れるだけで、その後の関係が大きく変わります。
💡 編集部の判断:この3つのどれかに当てはまるなら、専門家に任せたほうが期待値が高い
①兄弟姉妹・甥姪として申述する(広域交付が使えず戸籍収集が長期化しやすい)/②3か月の期限が迫っている、あるいはすでに過ぎている/③実家など不動産を現に占有している(940条の保存義務と引き渡し先の設計が絡む)。逆に、子が相続人・財産関係がシンプル・死亡から日が浅いのであれば、自分で申述して実費数千円で完了するケースがほとんどです。費用を惜しんで期限を落とすのがいちばん高くつく、というのが体験談の総意です。

※本セクションの事実関係は、裁判所(相続の放棄の申述/期間の伸長)、法務省「戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)」、民法940条で確認しています。体験談として紹介した部分は、複数の公開された体験記に共通して見られる傾向であり、すべての人に当てはまるものではありません。

編集部の価値判断|自分でやるか、専門家に頼むか

相続放棄は自分で申述することも可能です。判断材料として、目安を示します(押し付けるものではありません)。

堅実に、費用を抑えたい人(自分で手続き)
相続関係がシンプル(子が相続人など)で、期限に余裕があるなら自分で十分可能。実費は数千円程度。裁判所サイトに書式と記載例があります。
確実に・手間なく進めたい人(専門家に依頼)
3ヶ月を過ぎている・相続人が多い・戸籍収集が煩雑・債権者対応が不安といった場合は、司法書士や弁護士への依頼が安心。報酬は数万円〜が目安(事務所により幅あり)。
⚖️ 自分でやるか迷ったら、無料で相談できる公的窓口から
費用の負担が心配な場合は、法テラス(日本司法支援センター)の無料法律相談や、各都道府県の弁護士会・司法書士会の相談窓口があります。手続きそのものの進め方(どの書式を使うか、どこに出すか)だけであれば、管轄の家庭裁判所の家事手続案内で無料で確認できます。
※編集部より:「戸籍が第3順位まで及ぶ」「借金の総額がわからない」「期限が1ヶ月を切っている」のどれかに当てはまるなら、専門家に頼む価値は上がります。逆に相続人が自分ひとりで期限にも余裕があるなら、自分で進めても十分に終わる手続きです。

よくある質問

3ヶ月を過ぎてしまったら、もう相続放棄はできませんか?

原則は3ヶ月以内ですが、被相続人に借金があることを知らず、後から督促状などで初めて判明した場合など、相当な理由があれば期限を過ぎても放棄が認められることがあります。判断が難しいため、あきらめる前に司法書士・弁護士へ相談してください。

相続放棄をすると、生命保険金も受け取れなくなりますか?

受取人が指定された死亡保険金は、原則として受取人固有の財産とされ、相続放棄をしても受け取れるのが一般的です。ただし契約内容により扱いが異なるため、保険会社や専門家に確認してください。放棄すると預貯金・不動産などの遺産は受け取れません。

相続放棄の手続きにいくらかかりますか?

家庭裁判所に納める費用は、収入印紙800円と予納郵券(数百円程度)です。これに戸籍謄本などの取得費用を加えても、自分で行えば1人あたりおおむね3,000〜10,000円程度です。専門家に依頼する場合は別途報酬(数万円〜が目安)がかかります。

相続放棄はどこの家庭裁判所に申し立てますか?

被相続人(亡くなった方)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。自分の住所地ではない点に注意してください。管轄は裁判所の公式サイトで検索でき、申述書は郵送でも提出できます。

出典・参考(公式)

  • 裁判所「相続の放棄の申述」……申述先・費用(収入印紙800円)・必要書類・手続きの流れ
  • 民法(熟慮期間3ヶ月・単純承認とみなされる行為・期間伸長)

※本記事は編集部が裁判所など公的機関の公表情報をもとに整理したものです(基準日:2026年7月25日)。制度・費用は変わることがあり、専門家監修を受けたものではありません。個別の判断は家庭裁判所や司法書士・弁護士にご確認ください。

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この記事を書いた人

みんなのミカタナビ編集部です。運営者・たくの編集方針のもと、相続・出産・退職・補助金など「知らないと損する手続きとお金」を、公的機関の一次情報と体験談の取材をもとに時系列で整理しています。数値・期限は必ず公式情報で裏取りし、出典を明記します。

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