葬儀社は、事前相談で2〜3社から明細つきの見積書をもらって選びます。全国調査では相見積もりを取らなかった人が87.1%、費用は総額の中央値で96.73万円でした(2026年5月公表の調査・情報基準日2026年9月27日)。
情報基準日:2026-09-27
結論の要点
- 費用の目安は総額96.73万円(中央値)。一般葬122.01万円、家族葬96.39万円、一日葬74.43万円、直葬49.56万円。
- 相見積もりを取らなかった人は87.1%。事前準備をしなかった人は63.8%。
- 消費生活センターへの葬儀の相談は年900件前後で、そのうち「高すぎる」という料金の相談が52.6%(2025年度)。
- 国民生活センターが挙げる要点は3つ。事前相談をする/打ち合わせは複数人で/見積書を必ず受け取り明細を確認する。
- 亡くなってから探す場合も、搬送だけ先に依頼してプランの契約は見積書を見てからに分けられます。
葬儀費用はいくらかかる?総額の中央値は96.73万円
鎌倉新書が2026年5月12日に公表した第7回お葬式に関する全国調査(有効回答2,000件)では、葬儀費用の総額は中央値で96.73万円でした。形式別では一般葬が122.01万円、家族葬が96.39万円と、その差は約25.6万円です。
| 葬儀の形式 | 費用(中央値) | 前回調査比 |
|---|---|---|
| 一般葬 | 122.01万円 | +0.63万円 |
| 家族葬 | 96.39万円 | +6.49万円 |
| 一日葬 | 74.43万円 | +1.99万円 |
| 直葬・火葬式 | 49.56万円 | +1.71万円 |
| 総額(全形式) | 96.73万円 | — |
出典:株式会社鎌倉新書「【第7回】お葬式に関する全国調査(2026年)」2026年5月12日公表(調査時期2026年2月27日〜3月3日・有効回答2,000件)。取得日2026年9月27日。
注意したいのは、第7回の数字が中央値で再集計されている点です。以前の調査で見かける「平均161万円」などは平均値であり、両者を並べて「値下がりした」と読むのは誤りになります。中央値どうしの比較では、いずれの形式も前回より上がっています。
なぜ「思ったより高い」が起きる?相談の52.6%が料金の話
国民生活センターが2026年6月3日に公表した資料によると、全国の消費生活センターに寄せられた葬儀サービスの相談は2025年度で917件でした。件数そのものは2022年度以降ほぼ横ばいですが、「高すぎて納得できない」という料金についての相談の割合は7年で33.2%から52.6%へ上がっています。
| 年度 | 相談件数 | 料金の相談の割合 |
|---|---|---|
| 2019年度 | 632件 | 33.2% |
| 2020年度 | 686件 | 43.1% |
| 2021年度 | 800件 | 50.0% |
| 2022年度 | 951件 | 50.9% |
| 2023年度 | 886件 | 50.3% |
| 2024年度 | 978件 | 49.4% |
| 2025年度 | 917件 | 52.6% |
「高すぎる」という相談の割合の推移
出典:国民生活センター「依然として多い葬儀サービスの料金トラブル」2026年6月3日公表(PIO-NET登録分・2026年3月31日まで)。取得日2026年9月27日。
つまり、件数が急に増えているというより、同じ件数のなかで金額への不満が占める比率が上がっているという形です。葬儀の形式が家族葬や一日葬へ広がり、プランに含まれる項目と含まれない項目の線引きが読み取りにくくなったことが、背景のひとつと考えられます。
葬儀社の選び方の手順|事前相談から契約までの5ステップ
国民生活センターは、料金トラブルを防ぐ要点として「希望やイメージを考えて情報収集を行い、事前相談をする」「打ち合わせは親族や第三者など複数人で行う」「見積書は必ず受領し、明細をよく確認する」の3点を挙げています。この3点を手順に落とすと、次の流れになります。
葬儀社を選ぶ5ステップ
希望の形を決める
参列してもらう人の範囲(家族だけか、職場や近所も呼ぶか)と、通夜を行うかを先に決めます。ここが決まらないと見積書の比較ができません。
候補を2〜3社選ぶ
自宅や実家から搬送できる距離、公営斎場を使えるか、菩提寺の宗派に対応できるかで絞ります。菩提寺がある場合は寺へ先に連絡します。
事前相談で見積書をもらう
電話やメールで「見積書を書面でほしい」と伝えます。同じ条件(参列人数・通夜の有無・安置日数)を各社に伝えるのが比較の前提です。
明細と含まれないものを確認する
火葬料、式場使用料、安置日数の追加、返礼品、お布施が含まれるかを1項目ずつ確認します。総額だけの見積書は差し替えを依頼します。
複数人で決めて契約する
当日ひとりで決めないことが要点です。契約前に最終の総額を書面で確認し、追加が出る条件も聞いておきます。
亡くなった直後で時間がない場合も、この流れを完全に省く必要はありません。病院や施設からの搬送と安置だけを先に依頼し、葬儀プランの契約は見積書を見てからに分けられるかを、電話の時点で確認してみてください。
事前相談で聞く10項目|そのまま読み上げられるチェックリスト
同じ質問を各社に投げると、見積書の差が「サービスの差」なのか「含める範囲の差」なのかが見えてきます。電話でもメールでも使えるように、質問の形にしました。
事前相談で聞く10項目
- この総額に火葬料と式場使用料は含まれますか
- 安置が1日延びたら1日あたりいくら増えますか
- 参列者が5人増えたら増える費用はどれですか
- ドライアイスと搬送距離の上限は何日・何キロまでですか
- 返礼品と会食は見積書に入っていますか、後日精算ですか
- お布施は見積書に入りますか、寺へ直接渡しますか
- 公営斎場を使う選択肢はありますか、費用はどれだけ変わりますか
- 追加費用が発生するのは、どういう場合ですか
- キャンセルや形式変更はいつまで、いくらでできますか
- この見積書の有効期限はいつまでですか
※10項目は、国民生活センターの啓発資料「葬儀での料金トラブルを防ぐために気を付けたい3つのポイント」(2026年6月3日)と第7回全国調査で挙がった困りごと(お布施の相場が分からない346件など)をもとに、編集部が質問文へ整理したものです。
見積書はどこを見る?「含まれないもの」が総額を動かす
第7回全国調査で「困ったこと」として最も多かったのは、お布施の相場やマナーが分からない(346件)でした。次に葬儀の知識やマナー(259件)、遺影にふさわしい写真がない(227件)、訃報連絡の範囲(219件)と続きます。お布施は葬儀社への支払いではなく寺院へ渡すお金なので、見積書に載らないことも珍しくありません。
見積書で行き違いが起きやすい5項目
- 火葬料…自治体や住民かどうかで金額が変わり、立替扱いで別枠になることがあります。
- 式場使用料…民間ホールか公営斎場かで差が出ます。公営は安い一方、空きを待つ日数が増えることがあります。
- 安置とドライアイス…「○日分まで」という前提が置かれており、火葬場の空き待ちで日数が延びると追加になります。
- 返礼品・会食…参列人数で動くため、見積書では仮の人数で計算されている場合があります。
- お布施…葬儀社を通さず寺院へ渡すことが多く、総額の外に置かれがちです。
明細のない見積書を受け取ったときは、「項目ごとに分けた書面をください」と伝えるところから始めてみてください。
状況別の分岐|時間があるとき・すでに亡くなったとき
事前準備をしなかった人は63.8%、つまり3人に2人は亡くなってから動き始めています。手元にどれだけ時間があるかで、現実的な進め方は変わります。
- まだ時間があるとき(入院中・在宅療養中など)…2〜3社の事前相談まで進めておきます。見積書を書面でもらい、菩提寺の宗派に対応できるかも確認します。ここまでやれば、当日は連絡1本で動けます。
- 数日の余裕があるとき…10項目のうち上位5つ(火葬料・式場使用料・安置日数・返礼品・お布施)だけでも2社に聞きます。総額の差の理由がここで分かります。
- すでに亡くなったとき…搬送と安置だけを先に依頼し、プランの契約は見積書を見てから行えるか確認します。病院から紹介された葬儀社に必ず依頼しなければならないわけではありません。
- 遠方の実家で亡くなったとき…地元の葬儀社のほうが公営斎場や寺院の事情に詳しい場合があります。搬送距離の上限と、距離超過分の料金を先に聞きます。
- 菩提寺があるとき…葬儀社より先に寺へ連絡します。日程と戒名、お布施の目安を確認してから葬儀社と日程を詰めると、後戻りが減ります。
- 費用を用意できないとき…生活保護を受けている場合などは葬祭扶助の対象になることがあり、申請は葬儀の前が原則です。
イレギュラー・現場対応|実際に寄せられた相談
国民生活センターが2026年6月3日に公表した資料には、次のような相談事例が挙げられています。いずれも「広告やチラシに出ていた金額」と「最終の請求」が離れていったケースです。
- ネット広告で家族葬を取り扱う葬儀社を見つけて依頼したところ、高額な契約になった。
- 一日葬は約30万円とのチラシを見て依頼したが、約80万円の契約になり、含まれるものもチラシと違っていて納得できない。
- 「家族葬50万円」という表示を見て依頼したところ、高額なプランを案内された。見積書には明細がなく、追加費用も発生して総額200万円を超えた。
共通しているのは、表示価格が「最小構成の本体だけ」で、火葬料や式場使用料、人数で動く費用が外に置かれていた点です。編集部として読み取れるのは、金額の大小より「その金額に何が入っているか」を書面で押さえるほうが効くということです。不安を感じたときや行き違いが起きたときは、消費者ホットライン188(いやや)から最寄りの消費生活センターに相談できます。
相場観と編集部の価値判断
中央値96.73万円という数字は、あくまで全国の真ん中です。都市部で民間ホールを使い、参列者が30人を超えれば上へ動き、公営斎場と家族だけの構成なら下へ動きます。だからこそ相場表よりも、自分の条件で書いた見積書のほうが判断材料になります。
編集部が重く見ているのは、相見積もりなしが87.1%という数字です。家を借りるときや車を買うときには当たり前に比べるのに、葬儀では9割近くが1社だけで決めている、あるいは見積書を取らずに決めています。その状態で「高すぎる」という相談が過半を占めるのは、価格そのものより比べる前提が整っていないことが原因だと考えられます。2社に同じ10項目を聞くだけで、比べる前提はつくれます。
一方で、安さだけを軸にすることは勧めません。搬送距離や安置日数の上限が狭い構成は、火葬場の空き待ちが出たときに追加が積み上がります。総額の低さと、追加が出る条件の少なさを、同じ画面で見比べてみてください。
よくある質問
葬儀社の見積もりは何社から取ればよいですか
2〜3社が目安です。全国調査では相見積もりを取らなかった人が87.1%でした。同じ条件(参列人数・通夜の有無・安置日数)を伝えて書面でもらうと、差が含める範囲の違いなのかサービスの違いなのかを読み分けられます。
病院で紹介された葬儀社に必ず依頼しなければなりませんか
紹介された葬儀社に必ず依頼する義務はありません。搬送と安置だけを先に依頼し、葬儀プランの契約は見積書を確認してから行えるかを、電話の時点で確認する方法があります。
葬儀費用の総額にお布施は含まれますか
含まれないことが多いです。お布施は葬儀社への支払いではなく寺院へ渡すお金のためです。第7回全国調査では「お布施の相場やマナーが分からない」が困りごとの最多(346件)でした。菩提寺がある場合は寺へ直接確認するのが早道です。
見積書に明細がない場合はどうすればよいですか
項目ごとに分けた書面を依頼してください。国民生活センターは「見積書は必ず受領し、明細をよく確認する」ことを要点として挙げており、明細のない見積書で契約して総額が200万円を超えた相談事例も公表されています。
費用を用意できないときはどうなりますか
生活保護を受けている場合などは、葬祭扶助という公的な制度の対象になることがあります。申請は葬儀を行う前が原則で、葬儀後の申請は認められないのが一般的です。詳しい条件は自治体の福祉担当窓口で確認してください。
あなたの体験を聞かせてください
この手続きで「実際はこうだった」「ここでつまずいた」という経験があれば、体験談募集フォームから教えてください。許諾をいただいたものだけ、出所を明示して記事に反映します。
見積書の内容に納得できないときの相談先
葬儀の料金で行き違いが起きたときは、最寄りの消費生活センターに相談できます。全国共通の電話番号「188」にかけると、住んでいる自治体の窓口を案内してもらえます。相談は無料で、内容を聞いたうえで断っても構いません。国民生活センターは相談事例と注意点を公表しているので、契約前に目を通しておくと判断の材料になります。
出典と基準日
- 株式会社鎌倉新書「【第7回】お葬式に関する全国調査(2026年)」2026年5月12日公表(調査時期2026年2月27日〜3月3日・有効回答2,000件・費用は中央値で再集計)/公表ページ(取得日2026年9月27日)
- 国民生活センター「依然として多い葬儀サービスの料金トラブル-「家族葬だから安い」と思っていませんか?-」2026年6月3日公表(PIO-NETの2026年3月31日までの登録分)/公表ページ(取得日2026年9月27日)
- 国民生活センター 啓発資料「葬儀での料金トラブルを防ぐために気を付けたい3つのポイント」2026年6月3日(取得日2026年9月27日)
- 金額・制度は取得日時点の公表内容です。火葬料や式場使用料は自治体・施設ごとに異なるため、実際の金額は各葬儀社と自治体の窓口でご確認ください。
