結論の要点
何を:葬儀の種類は実質4択(一般葬・家族葬・一日葬・直葬/火葬式)。2026年の全国調査では、総額の中央値は一般葬122.01万円、家族葬96.39万円、一日葬74.43万円、直葬・火葬式49.56万円で、上下の幅は約72万円です。
いつまでに:火葬は死亡から24時間を過ぎるまで行えず、死亡届は死亡を知った日から7日以内。葬儀社を決める判断は、実質「亡くなった当日から翌日まで」に集中します。
いくら:総額の中央値は96.73万円。内訳は基本料金72.02万円・飲食費11.67万円・返礼品費13.03万円で、変動しやすいのは人数に比例する後ろの2つです。
最大の注意:ネット上に残る「一般葬161.3万円」は前回までの平均値。2026年調査は中央値へ再集計されており、122.01万円と並べて「39万円下がった」と読むのは誤りです。
葬儀の種類は4つ。まず「どこまで呼ぶか」で費用が決まる
葬儀の形式は無数にあるように見えますが、費用を決めているのは実質ひとつの問いだけです。「通夜をやるか」「どこまでの範囲に声をかけるか」。この2点の組み合わせが、そのまま4つの型になります。鎌倉新書「第7回お葬式に関する全国調査(2026年)」では、実際に行われた葬儀の47.0%が家族葬で、家族葬が主流として定着していることが確認されました。
| 種類 | 内容 | 総額(中央値) | 実施割合 |
|---|---|---|---|
| 一般葬 | 通夜・葬儀・告別式あり。親族に加え知人・地域・職場まで声をかける | 122.01万円 | 30.2% |
| 家族葬 | 通夜・葬儀は行うが、参列を家族と近しい親族に絞る | 96.39万円 | 47.0% |
| 一日葬 | 通夜を省き、葬儀・告別式と火葬を1日で行う | 74.43万円 | 11.9% |
| 直葬・火葬式 | 儀式を行わず、火葬場でのお別れのみ | 49.56万円 | 10.8% |
出典:鎌倉新書「第7回お葬式に関する全国調査(2026年)」(2026年5月12日公表・有効回答2,000件)。金額は中央値。
「平均161万円」と「中央値122万円」を並べてはいけない
葬儀費用を調べると、いまも「一般葬の平均は161.3万円」という数字が数多く出てきます。これは2024年の第6回調査の平均値です。一方、2026年の第7回調査で示された一般葬122.01万円は中央値です。調査元は第7回にあたって、過去の調査結果も含めて中央値ベースへ再集計したと明記しています。
この2つを引き算してはいけない理由
平均値は、ごく一部の非常に高額な葬儀に強く引っ張られて上振れします。中央値は「ちょうど真ん中の人が払った額」なので、この上振れを受けません。161.3万円から122.01万円へ39万円下がったという読み方は、値下がりを示しているのではなく、ものさしが変わったことを示しているだけです。
調査元が同じ中央値どうしで比べた前回比は、一般葬+0.63万円、家族葬+6.49万円、一日葬+1.99万円、直葬・火葬式+1.71万円。総額でも94.21万円から96.73万円へ約2.5万円の増加です。実態は下がっておらず、むしろ上がっています。
見積書を前にしたときの実用的な意味はひとつです。「相場より高い/安い」を判断するときは、必ず中央値のほうを基準に置くこと。平均値を基準にすると、上振れした数字と比べることになり、高い見積もりでも安く見えてしまいます。
逝去から給付金の申請まで:期限つきでやること
葬儀そのものは数日で終わりますが、お金に関する手続きは2年・5年という長い期限を持つものが混ざっています。期限の短いものと長いものを一本の時間軸に並べておくと、どこで慌てる必要があり、どこは落ち着いてよいのかが分かります。
逝去からの時間軸
- 逝去当日 医師から死亡診断書を受け取ります。この1枚がこの先のほぼ全ての手続きの起点になるため、役所へ出す前にコピーを5〜10枚とっておきます。原本は死亡届と一体で提出してしまい、後から保険や年金の請求で必要になったときに再発行の手間と費用がかかります。
- 当日〜翌日 安置先と葬儀社を決めます。費用がほぼ確定するのはこの局面です。病院で紹介された業者にそのまま依頼する必要はありません。
- 死亡を知った日から7日以内 死亡届を提出(戸籍法第86条)。受理されると火葬許可証が交付されます。実務では葬儀社が代行することがほとんどです。
- 死亡から24時間経過後 火葬が可能になります(墓地、埋葬等に関する法律第3条)。当日中の火葬はできません。
- 14日以内 世帯主変更届、国民健康保険・後期高齢者医療の資格喪失届、介護保険の資格喪失届。
- 2年以内 葬祭費・埋葬料の申請期限。申請しなければ支給されません。
- 5年以内 遺族年金の請求。未支給年金の請求も忘れずに。
死亡届と火葬許可証の具体的な書き方・出し方は死亡届と火葬許可証の出し方で、喪主が担う役割の全体像は喪主になったらやることで詳しく整理しています。
申請しないともらえないお金・期限を過ぎると損すること
損しないポイント(放っておくと消える権利)
葬祭費・埋葬料は申請主義。役所や健康保険組合から「どうぞ受け取ってください」と案内は来ません。故人が国民健康保険・後期高齢者医療制度に加入していた場合は市区町村へ葬祭費を、被用者保険(協会けんぽ・健保組合など)なら保険者へ埋葬料を申請します。金額は保険者・自治体によって異なるため、必ず窓口で確認してください。時効はいずれも2年です。
領収書と会葬御礼の控えは捨てない。葬儀費用は相続税の課税価格から控除できる場合があります。お布施のように領収書が出ない支出も、日付・宛先・金額をメモに残しておけば説明資料になります。
高額療養費の払い戻しが残っていることがある。亡くなる直前の入院費は自己負担限度額を超えていることが多く、相続人が請求できます。これも申請しなければ動きません。
受け取れるお金の全体像は遺族年金のもらい方と未支給年金の請求もあわせて確認してください。
あなたの場合はこう:状況別の選び方
故人が地域や職場と長くつながっていた場合
家族葬を選んでも、後日「お別れをしたかった」という弔問が個別に続くことがあります。自宅への弔問対応が数週間にわたると、香典返しや接遇の負担は一般葬と大きく変わらなくなることもあります。参列見込みが50名を超えそうなら、最初から一般葬にしたほうが結果的に整理がつきやすい場面です。
親族が少ない・高齢で遠方の場合
一日葬が現実的です。通夜を省けるぶん、高齢の参列者に2日連続の移動と宿泊を求めずに済みます。ただし菩提寺がある場合は必ず事前に相談してください。通夜を省く形式を認めない寺院もあり、後から納骨を断られると解決に時間がかかります。詳しくは一日葬の費用と流れで整理しています。
費用を出せる人が限られている場合
直葬・火葬式なら中央値49.56万円です。加えて確認したいのが公営斎場の利用可否で、市区町村の運営する斎場は民間より使用料が低く設定されていることが一般的です。生活保護を受給していた方については葬祭扶助の制度があります。いずれも葬儀を行う前の相談が必要で、終わってから申請しても対象になりません。
火葬場が混み合う時期・地域の場合
都市部では火葬場の予約が数日先まで埋まることがあり、その間の安置費用が1日あたりで積み上がります。直葬を選んでも待機日数が延びれば、想定した金額から数万円単位で膨らみます。見積もりを受け取る段階で「安置は何日分で計算されているか」を必ず確認してください。
現場で起きること:9割が比較せず、見積書と請求書がずれる
第7回調査でもっとも実務的に重い数字は、費用そのものではなく意思決定の環境のほうです。葬儀業者を自分で決めた1,575人のうち、見積もりを1社しか取っていない人が782人、そもそも見積もりを取らなかった人が590人。合わせて87.1%が比較検討をしていません。さらに、喪主の63.8%が「事前準備をしていなかった」と回答しています。
見積書より請求書が増える、代表的な4か所
- 参列人数の増加:飲食費と返礼品費は人数に比例します。中央値ベースでこの2つは合計24.70万円(飲食費11.67万円+返礼品費13.03万円)で、総額の約4分の1。想定より10人増えれば、そのぶんが素直に乗ります。
- 安置日数の延長:火葬場が空かない日数分、安置料・ドライアイス代が1日単位で加算されます。
- お布施:多くの場合、葬儀社の見積書に含まれません。第7回調査で「葬儀で最も困ったこと」の1位が「お布施の相場・マナーがわからない」だったのは、金額が見えないまま別枠で発生するためです。
- 祭壇・棺のグレード変更:打ち合わせの場で実物を見て変更すると、差額が最後にまとめて出てきます。
この4か所は、いずれも「見積書のどの行が固定で、どの行が人数・日数で動くか」を最初に一度聞いておくだけで、当日の驚きがほぼ消えます。時間がない状況で相見積もりを2社取るのが難しいのは当然ですが、1社であっても変動する行だけを指差して確認することはできます。
次にやること:葬儀社の見積もりを比べる
費用の幅は、式の種類そのものよりも「どの葬儀社に、どう頼むか」で大きく動きます。相見積もりの取り方と、見積書で必ず確認しておきたい項目は葬儀社の選び方と見積もりの取り方で解説しています。
相場観と、編集部としての価値判断
| 考え方 | 現実的な着地点 | 総額の目安 |
|---|---|---|
| 費用を最優先 | 公営斎場での直葬・火葬式。安置日数を短く抑えられるかが分かれ目 | 40〜60万円 |
| 堅実に済ませたい | 公営斎場+一日葬、または家族葬の標準プラン。祭壇は基本のまま | 70〜100万円 |
| 人を呼んで見送りたい | 一般葬。参列者数の見込みを多めに置いて飲食・返礼品を計算する | 120〜160万円 |
中央値と内訳の構成比をもとにした編集部の目安です。地域・斎場・宗派により幅があります。
編集部としての判断を書きます。「安く済ませる」ことより、「あとから説明できる形で決める」ことのほうが満足度を左右します。調査が示したのは、喪主の多くが準備なしで、比較もできないまま、相場の見えない出費に向き合っているという状況でした。ここで効くのは値切る技術ではなく、変動する費目を先に特定しておくことです。
また、家族葬が主流(47.0%)とはいえ、前回から3.0ポイント減っています。一日葬(10.2%→11.9%)と直葬・火葬式(9.6%→10.8%)が増えており、「家族葬が標準だから家族葬」という選び方の根拠は、以前より弱くなっています。周囲の平均に合わせるのではなく、参列してほしい人の顔を数えるところから決めるほうが、結果として納得のいく形に着地します。
よくある質問
葬儀費用の全国平均はいくらですか?
鎌倉新書「第7回お葬式に関する全国調査(2026年)」では、総額の中央値は96.73万円でした。内訳は基本料金72.02万円、飲食費11.67万円、返礼品費13.03万円です。前回調査の94.21万円から約2.5万円増えています。なお第7回から過去分を含めて中央値へ再集計されているため、以前公表されていた平均値(一般葬161.3万円など)とは直接比較できません。
家族葬と一日葬はどちらが安いですか?
中央値では一日葬(74.43万円)のほうが家族葬(96.39万円)より約22万円安く出ています。ただし通夜を省けるかどうかは菩提寺の考え方に左右され、認められない場合もあります。金額だけで決めず、先に寺院へ相談してください。
亡くなった当日に火葬することはできますか?
できません。墓地、埋葬等に関する法律第3条により、埋葬または火葬は死亡または死産後24時間を経過した後でなければ行えないと定められています(感染症法の規定による場合などの例外があります)。
葬儀費用の見積もりは何社から取るべきですか?
第7回調査では、業者を自分で決めた人の87.1%が1社のみ、または見積もりを取らずに決めていました。時間的な余裕がない状況では複数社の比較が難しいのが実情です。1社しか当たれない場合でも、飲食費・返礼品費・安置日数・お布施の4項目が見積もりに含まれているかを確認するだけで、請求額のずれは大きく抑えられます。
葬儀のあとにもらえるお金はありますか?
故人が国民健康保険・後期高齢者医療制度に加入していた場合は市区町村から葬祭費、被用者保険の場合は保険者から埋葬料が支給されます。いずれも申請が必要で、時効は2年です。金額は保険者・自治体により異なります。
あなたの体験を聞かせてください
この手続きで「実際はこうだった」「ここでつまずいた」という経験があれば、体験談募集フォームから教えてください。許諾をいただいたものだけ、出所を明示して記事に反映します。
出典
株式会社鎌倉新書「【第7回】お葬式に関する全国調査(2026年)」(2026年5月12日公表。調査期間2026年2月27日〜3月3日、有効回答2,000件)/プレスリリース・調査結果全文
墓地、埋葬等に関する法律 第3条(火葬・埋葬は死亡後24時間経過後)/e-Gov法令検索
戸籍法 第86条(死亡届は死亡の事実を知った日から7日以内)/e-Gov法令検索
本記事の基準日は2026年8月21日です。制度・金額は改正される場合があるため、実際の手続きの前に必ず公式の案内で最新の内容をご確認ください。本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断を保証するものではありません。関連記事は家族が亡くなったら|やること完全ナビから探せます。お墓の費用はお墓の種類と費用相場、香典の扱いは香典・香典返しの相場と作法をご覧ください。
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