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補助金の外注費・委託費はどこまで認められるか【2026年版】上限は経費総額の2分の1、主たる部分の丸投げは対象外

補助金の外注費・委託費を確認する事業者の手元。書類と電卓

補助金の申請で、いちばん相談が多いのが「この作業は外注してもいいのか」という論点です。設備を買うだけの計画なら迷いませんが、開発の一部を外部に頼む、デザインを制作会社に任せる、システムの一部を委託する——ここに補助金特有のルールが集中しています。

結論から言うと、外注・委託は「事業の一部」までなら認められ、「主たる部分の丸投げ」は制度を問わず対象外です。そのうえで経費区分ごとに上限比率が決まっており、さらに「同じ相手に複数の経費区分から重ねて払えない」という見落としやすい制約があります。この記事では、ものづくり補助金(第23次公募の公募要領)と小規模事業者持続化補助金の公式資料をもとに、外注費・委託費の線引きを整理します。

この記事の結論

  • 外注費の上限は補助対象経費総額(税抜)の2分の1(ものづくり補助金 第23次公募要領)。
  • 「主たる課題の解決そのものを外注する事業」「主たる部分を外注し企画だけを行う事業」は補助対象外。
  • 外注先には技術導入費・専門家経費を併せて支払えない(三者は同一支出先で重複不可)。
  • 単価50万円(税抜)以上は原則2者以上の相見積もり。困難なら随意契約の理由書が必要。
  • 交付決定より前に発注・契約した外注費は、いかなる理由があっても対象外。
  • 同一代表者・役員や資本関係のある会社への支払いは対象外。相見積もり先にすることもできない。

基準日:2026年9月5日/出典はページ末尾に記載

目次

外注費と委託費は何が違うのか

この2語は制度によって使い分けが違います。ものづくり補助金では「外注費」という区分名があり、括弧書きで「請負、委託等」と説明されています。つまり外注費のなかに委託が含まれる整理です。一方、小規模事業者持続化補助金では「委託・外注費」という1つの区分にまとめられており、他の経費区分(機械装置等費・広報費・ウェブサイト関連費など)に当てはまらない外部発注をここに入れます。

実務では「呼び方の違いに意味はない。大事なのはどの区分に計上するか」と考えるのが正確です。同じ制作費でも、ものづくり補助金で機械装置の製作を外注するなら「機械装置・システム構築費」に入れるよう明記されており、外注費には入れません。区分を間違えると上限比率の計算も変わります。

制度区分名上限注意点
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金外注費(請負、委託等)補助対象経費総額(税抜)の2分の1機械装置等の製作は「機械装置・システム構築費」へ
同上・技術導入費技術導入費補助対象経費総額(税抜)の3分の1知的財産権等の導入。書面契約が必要
同上・専門家経費専門家経費補助対象経費総額(税抜)の2分の1謝金単価に上限あり(1日5万円まで)
小規模事業者持続化補助金 一般型委託・外注費他の区分に該当しない外部発注が対象「業務の一部」を第三者に委託する場合に限る

出典:ものづくり補助金 第23次公募 公募要領(2026年2月6日)/小規模事業者持続化補助金 一般型 公募要領。2026年9月5日時点。

いちばん大事なルールは「一部」であること

公募要領の「補助対象外となる事業」に、次の一文があります。「本事業の主たる課題の解決そのものを他者へ外注又は委託する事業、及び本事業の主たる部分を他者に外注又は委託し、企画だけを行う事業」。これが外注ルールの本丸です。

たとえば「自社に技術者がいないので、新製品の設計から試作まで一括で開発会社に依頼する」という計画は、金額が上限内でも通りません。事業計画書の書きぶりで隠せる性質のものではなく、審査時だけでなく採択後に判明した時点でも交付決定取消しになると明記されています。

逆に「自社で設計し、特殊な加工工程だけを協力会社に出す」「自社で仕様を決め、実装の一部を外部エンジニアに頼む」といった形は、事業の主導権が自社にあるため問題になりにくい設計です。持続化補助金の委託・外注費の定義も「補助事業遂行に必要な業務の一部を第三者に委託する場合」となっており、同じ考え方が貫かれています。

丸投げかどうかの自己チェック

  • この事業の「いちばん難しいところ」を、自社の誰が担当するか説明できるか。
  • 外注先が抜けたとき、事業は止まるか。止まるなら主たる部分を任せている可能性が高い。
  • 外注先への指示書・仕様書を自社で作れているか。相手任せなら要注意。
  • 補助対象経費に占める外注費の割合が2分の1に近づいていないか。

経費区分ごとの上限は「総額の何分の1」で決まる

外注費・技術導入費・専門家経費・知的財産権等関連経費には、それぞれ補助対象経費総額に対する比率で上限が置かれています。金額の絶対値ではなく比率なので、設備投資(機械装置・システム構築費)を厚くするほど外注に回せる枠も増える構造です。ものづくり補助金では単価50万円(税抜)以上の設備投資が必須なので、まず設備の額を固め、その上で外注枠を計算するのが順序として正しくなります。

経費区分ごとの上限(補助対象経費総額に対する比率)

外注費2分の1専門家経費2分の1技術導入費3分の1知的財産権等3分の1機械装置以外の計総額で500万円まで

出典:ものづくり補助金 第23次公募 公募要領。機械装置・システム構築費以外の経費は総額500万円(税抜、グローバル枠は1,000万円)が別枠の上限。

見落としやすいのが最下段の「機械装置・システム構築費以外の経費は総額で500万円(税抜)まで」という横断的な天井です。外注費が2分の1の範囲に収まっていても、専門家経費や原材料費と合算して500万円を超えれば、超過分は補助対象外になります。比率と絶対額の二重の制約がかかっていると理解してください。

同じ相手に3つの区分から重ねて払うことはできない

公募要領の各区分の注記を並べると、次の関係が浮かび上がります。技術導入費の支出先には専門家経費と外注費を併せて支払えない。外注先には技術導入費と専門家経費を併せて支払えない。専門家経費の支出対象者には技術導入費と外注費を併せて支出できない。三者が互いを排除し合う「三すくみ」の構造です。

これは実務でかなり効きます。たとえば「開発を委託した会社の技術者に、技術指導料も別途払う」という設計は認められません。「顧問の中小企業診断士に専門家謝金を払いつつ、同じ人に販促物の制作も外注する」も同様です。1社(1人)につき1区分と割り切って発注先を分けるのが安全です。

認められやすい組み方

  • A社に加工を外注(外注費)
  • B大学教授に技術指導(専門家経費)
  • C社から実施権を取得(技術導入費)
  • いずれも書面契約あり

認められない組み方

  • A社に外注費と技術指導料を両方
  • 自社の役員が経営する会社へ発注
  • 過去1年に同補助金を実施した先へ外注
  • 交付決定前に発注済みの契約

契約から支払いまでの時系列

外注費でつまずく人の大半は、金額ではなく順序で落ちます。交付決定より前に発注・契約・購入した経費は「いかなる理由があっても補助対象外」と公募要領に明記されており、後から契約書の日付を直すことはできません。相見積もりは申請の準備段階で取っておいても構いませんが、発注は交付決定の後です。

外注費の正しい順序

  1. 準備段階:候補先から相見積もりを取る(単価50万円税抜以上は原則2者以上)
  2. 採択・交付申請:見積書を提出。事務局が価格の妥当性を精査する
  3. 交付決定:ここまで発注してはいけない。決定通知の日付を必ず確認
  4. 発注・書面契約:外注先との書面契約は必須。口約束は不可
  5. 納品・検収:成果物と検収記録を残す
  6. 支払い:補助事業者自らの名義で銀行振込。原則、現金・カード払いは不可
  7. 実績報告:契約書・請求書・振込控・成果物を揃えて提出

支払方法の制約も強めです。補助事業者自らの名義で行った銀行振込の実績でしか確認されず、振込代行サービスによる代行払いや手形払いは一切認められません。少額をやむを得ず現金やクレジットカードで払う場合は、事前に事務局へ相談するよう求められています。

パターン別・あなたのケースはどうなるか

やりたいこと計上する区分可否と条件
新製品の一部工程の加工を協力会社へ外注費可。総額の2分の1以内・書面契約
機械装置そのものの製作を外部へ機械装置・システム構築費可。外注費には計上しない
脆弱性診断・ペネトレーションテストの委託外注費可。市販ウイルスソフトの購入費は不可
大学教授にコンサルティングを依頼専門家経費可。1日5万円以下・同じ相手に外注費は不可
申請支援を受けた支援機関への報酬—不可。事業計画書作成支援者は専門家経費の対象外
自社エンジニアの開発工数を計上—不可。自社の人件費は補助対象外
外注先が使う設備の購入費を負担—不可(海外子会社への直接投資の例外を除く)
開発全体を1社に一括委託—不可。主たる部分の外注として事業自体が対象外

ものづくり補助金 第23次公募 公募要領の記載をもとに編集部で整理(2026年9月5日時点)。制度・公募回により扱いが異なる場合があります。

イレギュラー・現場でつまずくところ

相見積もりが1者しか取れない

特殊加工や独自技術で他に発注先がない場合、2者以上の見積もりを揃えられないことがあります。この場合は随意契約先とする理由書を提出する運用が公募要領に書かれています。「他に対応できる業者がない」だけでは弱く、技術要件・納期・実績など発注先を特定せざるを得ない理由を具体的に書く必要があります。

相見積もり先が身内だった

見落としが多いのがここです。同一代表者・役員が含まれる事業者や資本関係のある事業者、親族が経営する企業は、支払先としてだけでなく相見積もりの相手としても認められません。形式的に3者の見積もりを揃えても、うち1者が身内なら価格妥当性の証明として機能しないという整理です。

外注先が過去に同じ補助金を使っていた

ものづくり補助金では過去1年間に同補助金で補助事業を実施した事業者を外注先にできないと定められています。付き合いの長い協力会社ほど当てはまる可能性があるので、発注前に「御社は直近1年でこの補助金を使いましたか」と確認しておくと事故を防げます。

契約期間が補助事業期間をまたぐ

クラウドサービス利用費や機械のリースでは、契約期間が補助事業実施期間を超える場合、按分等の方式で補助事業期間分だけが対象になります。外注契約でも、年間保守のような継続契約は同じ考え方で切り分ける必要があります。「1年分まとめて払ったから全額」とはなりません。

損しないための3つのポイント

損しないポイント

  1. 設備の額を先に固める。外注費の上限は総額に対する比率なので、設備投資を確定させないと使える外注枠が決まらない。
  2. 発注先を区分ごとに分ける。同じ相手に外注費・技術導入費・専門家経費を重ねられないため、最初から役割を分けて相手を選ぶ。
  3. 交付決定通知の日付を全員で共有する。現場が善意で先行発注すると、その経費だけが丸ごと落ちる。社内の発注担当にも必ず伝える。

相場観と編集部の価値判断

外注費の上限が「2分の1」に置かれていることには意味があります。補助対象経費の半分まで外に出せるということは、制度は外注そのものを否定していない。むしろ、自社にない技術を外部から調達して新製品を作ること自体は想定内です。禁じられているのは「企画だけ自社、実態は外部」という空洞化した計画だけです。

編集部の見立てとしては、外注費の比率が総額の3割を超えたあたりから、事業計画書に「自社が何を担うのか」を明示的に書く必要が出てきます。2分の1という上限は形式基準にすぎず、審査で実質的に見られるのは自社の役割の記述量です。上限に張り付いた計画ほど、外注先一覧と自社担当者の役割分担表を添えるべきだと考えます。

もう一点、費用対効果の観点で言えば、専門家経費の謝金単価(大学教授・弁護士・弁理士・公認会計士・医師で1日5万円以下、大学准教授・技術士・中小企業診断士・ITコーディネータで1日4万円以下)は民間のコンサルティング相場より低めに設定されています。高額な支援報酬を前提にした計画は、そもそもこの単価では吸収できません。申請支援そのものは補助対象外である点と合わせて、支援会社への報酬は自己資金で賄う前提で資金繰りを組むのが現実的です。

なお、公募要領は冒頭で「実際のコストと乖離した高額な成功報酬」「補助金申請代行を主たるサービスとし、申請者が理解しないまま申請する」といった不適切な行為を名指しで注意喚起し、通報窓口まで設けています。外注の話は経費区分の技術論に見えて、実は誰が事業の主語なのかという一点に集約されます。

外注費を安全に使うための手順

補助金の外注費・委託費を、後から否認されない形で計上するための手順。

  1. 計上する経費区分を決める

    外注か機械装置の製作かで区分が変わります。機械装置等の製作を外部に頼む場合は外注費ではなく機械装置・システム構築費に計上します。区分を決めてから見積もりを依頼してください。

  2. 自社の役割を書き出す

    事業のどの部分を自社が担うのかを、担当者名と作業内容のレベルまで書き出します。主たる課題の解決を自社が担っていることが説明できなければ、計画そのものを組み替えます。

  3. 相見積もりを取る

    単価50万円(税抜)以上は原則2者以上から同一条件で見積もりを取ります。同一代表者・役員の会社や資本関係のある会社、親族の会社は見積もり先にできません。

  4. 1者しか取れない場合は理由書を用意する

    発注内容の性質上2者以上から見積もりを取ることが困難な場合は、随意契約先とする理由書が必要です。技術要件や実績など、その1者でなければならない理由を具体的に書きます。

  5. 交付決定を待ってから発注する

    交付決定日より前の発注・契約・購入は、いかなる理由があっても補助対象外です。交付決定通知の日付を社内の発注担当まで共有してください。

  6. 書面で契約する

    外注先との書面による契約の締結が必要です。あわせて、その相手に技術導入費や専門家経費を重ねて支払っていないかを確認します。

  7. 自社名義の銀行振込で支払う

    補助事業者自らの名義で行った銀行振込の実績で確認されます。代行払いや手形払いは認められません。やむを得ず現金やカードで払う場合は事前に事務局へ相談します。

  8. 実績報告用の証拠書類を揃える

    契約書・見積書・発注書・納品書・検収記録・請求書・振込控・成果物を一組で保管します。実績報告で不足があると、その経費だけが額の確定から外れます。

よくある質問

補助金の外注費に上限はありますか。

あります。ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 第23次公募の公募要領では、外注費の上限額は補助対象経費総額(税抜)の2分の1です。あわせて、機械装置・システム構築費以外の経費は総額で500万円(税抜、グローバル枠は1,000万円)までという別枠の上限もかかります。

外注費と委託費は何が違いますか。

制度による呼び方の違いが大きく、ものづくり補助金では外注費の定義そのものに「請負、委託等」と書かれており委託を含みます。小規模事業者持続化補助金では「委託・外注費」という1つの区分で、他の経費区分に該当しない外部発注を計上します。実務では名称ではなく、どの経費区分に計上するかで判断してください。

開発を1社に丸ごと任せることはできますか。

できません。公募要領は「本事業の主たる課題の解決そのものを他者へ外注又は委託する事業」「本事業の主たる部分を他者に外注又は委託し、企画だけを行う事業」を補助対象外と定めています。採択後に判明した場合も交付決定取消しの対象です。

外注した会社に技術指導料も払えますか。

払えません。公募要領は、外注先に技術導入費と専門家経費を併せて支払うことはできないと明記しています。技術導入費の支出先、専門家経費の支出対象者についても同様に相互の重複が禁止されているため、発注先は区分ごとに分けるのが安全です。

交付決定の前に契約してしまいました。対象になりますか。

なりません。交付決定日よりも前に発注・契約・購入を行った経費は、いかなる理由があっても補助対象外と公募要領に明記されています。契約日を遡って変更することもできないため、交付決定通知の日付を社内で共有しておく必要があります。

相見積もりは何者から取ればよいですか。

単価50万円(税抜)以上の物件等については、原則として2者以上から同一条件で見積もりを取ることが必要です。発注内容の性質上2者以上から見積もりを取ることが困難な場合は、その企業等を随意契約先とする理由書を提出します。

自社の社員が開発した工数は経費にできますか。

できません。ものづくり補助金では、事業に係る自社の人件費(ソフトウェア開発等)は補助対象外となる経費として明記されています。社内工数を補助金で回収する設計は成り立たないため、外部への支払いだけが対象になると考えてください。

あわせて読みたい

出典

  • 全国中小企業団体中央会「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(第23次公募)」2026年2月6日作成(2.3.3 補助対象外となる事業/2.7.1 補助対象経費/2.7.2 補助対象外となる経費)
  • 中小企業庁「小規模事業者持続化補助金について」および同 一般型 通常枠 公募要領(補助対象経費 委託・外注費)
  • ミラサポplus「補助金 公募スケジュール」(公募日程の確認に使用)

情報の基準日:2026年9月5日。制度の内容は公募回ごとに改定されます。申請前に必ず最新の公募要領で確認してください。本記事は一般的な情報提供であり、個別の可否判断を保証するものではありません。

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この記事を書いた人

みんなのミカタナビ編集部です。運営者・たくの編集方針のもと、相続・出産・退職・補助金など「知らないと損する手続きとお金」を、公的機関の一次情報と体験談の取材をもとに時系列で整理しています。数値・期限は必ず公式情報で裏取りし、出典を明記します。

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