補助金と助成金のいちばん大きな違いは「所管官庁」と「関門の場所」です。補助金は主に経済産業省・中小企業庁や自治体が所管し、公募に応募して審査を受け、採択されなければ受け取れません。一方、雇用関係の助成金は厚生労働省(都道府県労働局)が所管し、先に計画書を出して認定を受け、実施した措置が支給要領の要件を満たすかで判断されます。「どっちがもらいやすいか」ではなく、やりたいことが「事業の挑戦」か「人の雇用・育成」かで選ぶのが正解です。
この記事のポイント
- ✓所管が違う。補助金は経済産業省・中小企業庁や自治体、雇用関係の助成金は厚生労働省(都道府県労働局)が窓口
- ✓関門の場所が違う。補助金は「審査があるので申請したら必ずもらえるものではない」(中小企業庁)。雇用関係助成金は共通要領+個別要領の要件を満たすかで判断される
- ✓締切の性質が違う。補助金の公募期間は1か月前後が多く、早いもので2月から概ね6月頃に募集開始。助成金は「先に計画書を出して認定を受ける」型が基本
- ✓どちらも原則あと払い。補助金は精算払いで、実績報告と検査を経て入金。手元資金の準備は必須
この記事の基準日と公式情報の確認先
本記事は2026年7月17日時点の公開情報にもとづいています。制度の要件は年度ごとに変わるため、必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。補助金は中小企業庁のミラサポplus「補助金とは」と電子申請のJグランツ、雇用関係助成金は厚生労働省の「事業主の方のための雇用関係助成金」が公式の入口です。制度全体の見取り図は補助金・助成金 完全ガイドにまとめています。
補助金と助成金の違いを一覧で比較
なお、法律上「補助金」「助成金」という名称の使い分けが厳密に決まっているわけではありません(自治体には「〇〇助成事業」という名称の公募・審査型の制度もあります)。ここでは実務上もっとも一般的な、経産省・中小企業庁系の補助金と厚労省系の雇用関係助成金を比較します。
| 比較項目 | 補助金(経産省・中小企業庁系) | 助成金(厚労省・雇用関係) |
|---|---|---|
| 主な所管 | 経済産業省・中小企業庁、自治体 | 厚生労働省(都道府県労働局・助成金センター) |
| 主な目的 | 設備投資・販路開拓・デジタル化など事業の新しい取り組みを支援 | 正社員化・人材育成・雇用環境整備など雇用・労働に関する取り組みを支援 |
| 受け取れるかの決まり方 | 審査があり、採択されないと受け取れない(中小企業庁が明記) | 共通要領+各助成金の個別要領の要件を満たすかを審査 |
| 申請のタイミング | 公募期間は1か月前後が多い。早いもので2月から概ね6月頃に募集開始 | 原則取り組みの前に計画書を提出し、労働局長の認定を受ける |
| お金の受け取り | 原則後払い(精算払い)。実績報告・確定検査後に入金 | 措置の実施後に支給申請 → 審査 → 支給決定 |
| 返済 | どちらも原則返済不要(融資とは異なる) | |
| 併願・重複 | 複数の補助金を検討し選択肢を増やすことが推奨される | 複数申請時は併給調整がかかる場合あり(早見ツールで確認) |
申請フローはどう違う?
図にすると違いがはっきりします。補助金は「応募 → 審査」が最初の関門、助成金は「計画書 → 認定」が最初の関門です。どちらも、お金が実際に入るのは取り組みが終わったあとです。
どちらを使うべき?目的から選ぶ判断軸
「もらいやすい方」ではなく「やりたいことに合う方」で選びます。次のように整理すると迷いません。
| やりたいこと | 向いている制度 | 代表例 |
|---|---|---|
| チラシ・ホームページ・店舗改装などで販路を広げたい | 補助金 | 小規模事業者持続化補助金 |
| 会計ソフト・受発注システムなどITツールを導入したい | 補助金 | デジタル化・AI導入補助金 |
| 機械・設備を入れて生産性を上げたい | 補助金 | ものづくり補助金 |
| これから開業・創業する | 補助金・自治体の助成事業 | 創業向けの補助金・助成金 |
| パート・契約社員を正社員にしたい | 助成金 | キャリアアップ助成金 正社員化コース |
| 従業員に研修・訓練を受けさせたい | 助成金 | 人材開発支援助成金 |
申請の窓口と方法の違い
補助金は、補助金によって提出方法が異なり、電子申請か書面による郵送があります。近年はJグランツなどの電子申請システム上に入力する形式が増えており、利用にはGビズIDプライムの取得が前提になります(取得手順はJグランツの使い方とGビズIDプライム取得で解説しています)。相談先は商工会議所・商工会、認定支援機関、よろず支援拠点です。
雇用関係助成金は、都道府県労働局・助成金センターが窓口です。すべての雇用関係助成金に適用される共通の支給要領(共通要領)があり、これに加えて各助成金の個別の要件も満たす必要があります。郵送申請が可能で、その場合は簡易書留等、配達記録が残る方法で、申請期間内に到達していることが必要です。電子申請にも対応しています。なお生産性要件は2023(令和5)年3月31日で廃止されており、古い解説記事の情報には注意してください。
どちらを使う場合も共通する注意点
⚠どちらを使う場合も共通する注意点
- 「全額もらえる」ではない。補助金は、必ずしもすべての経費が交付されるわけではありません。事前に補助対象経費・補助率・上限額を確認しましょう。
- お金は先に出ていく。どちらも取り組みを実施したあとに受け取る仕組みです。手元資金や融資での立て替えが前提になります。
- 交付決定の前に発注しない。補助金では、交付決定通知書に記載された日付以降でなければ発注・契約・支払いはできません。フライングは補助対象外になり得ます。
- 助成金の併給調整に注意。複数の雇用関係助成金を申請する場合、併給調整がかかることがあります。申請前に管轄の労働局へ相談を。
- 証拠書類は5年間保管。補助事業の終了後も、領収書等の証拠書類の保管義務があります。
よくある質問(FAQ)
補助金と助成金は、どちらがもらいやすいですか?
「もらいやすさ」で選ぶ考え方はおすすめできません。中小企業庁は補助金について「審査があるので、申請したら必ずもらえるというものではありません」と明記しています。一方、厚生労働省の雇用関係助成金は、共通要領と各助成金の個別要領に定められた要件等を満たすかどうかで判断されます。関門の性質が違うだけで、どちらも要件確認と書類準備は必要です。やりたいことが設備投資や販路開拓なら補助金、正社員化や人材育成など雇用に関する取り組みなら助成金、という選び方が基本です。
補助金と助成金は同時に使えますか?
目的の異なる制度であれば併用を検討できます。ただし厚生労働省の雇用関係助成金については、複数の助成金の支給申請にあたって併給調整がかかる場合があるため、公式の「併給調整早見ツール」で確認が必要です。このツールは基本的な併給の可否を示したものであり、個別の申請ではこれによらない場合があるため、申請前に管轄の労働局へ相談してください。
補助金はいつ入金されますか?
原則として後払い(精算払い)です。事業の実施後に実績報告書と証拠書類を提出し、確定検査を経て補助金額が確定します。補助金額確定通知書を受け取ってはじめて請求が可能になり、請求後、数週間から1か月程度で入金されるのが一般的です。設備の支払いは先に自己資金や融資で立て替える必要があるため、資金繰りの計画が欠かせません。
補助金の公募はいつ始まりますか?
中小企業庁は、補助金は早いもので2月から、概ね6月頃までに募集を開始するとしています。ただし具体的な募集期間や回数は補助金ごとに異なります。申請期間は1か月前後である場合が多いため、公募開始を待ってから準備を始めると間に合わないことがあります。関心のある制度は事前に公募要領を読み込んでおきましょう。
助成金の申請は郵送でもできますか?
厚生労働省の雇用関係助成金は郵送申請が可能です。郵送の際は簡易書留等、配達記録が残る方法で郵送し、申請期間内に到達している必要があります。電子申請にも対応しており、詳細は厚生労働省の雇用関係助成金の電子申請のページで確認できます。申請前には書類の不備がないよう、公式のチェックリストを活用してください。
出典・参考リンク
- 中小企業庁「補助金とは」(ミラサポplus)
- 厚生労働省「雇用関係助成金の申請にあたって」(共通要領:令和8年4月8日現在)
- 厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金」
- Jグランツ(補助金電子申請システム)
- 中小機構「よろず支援拠点」
※本記事は2026年7月17日時点の公開情報にもとづく一般的な解説です。制度の要件・スケジュールは変更される場合があります。申請にあたっては必ず各制度の公募要領・支給要領および事務局公式サイトをご確認ください。
