喪中はがき(年賀欠礼状)は、「出す日」ではなく「相手に届く日」から逆算して準備するものです。相手がすでに年賀状を書き終えたあとに届いても、知らせる意味が薄くなってしまいます。この記事では、いつまでに届けばよいのか、誰に出すのか、どのはがきと切手を使うのかを、日本郵便の公式情報にもとづいて整理します。
基準日:2026年8月10日/出典は各章に明記しています。
結論の要点
- 届く目安は11月中旬〜12月初旬。相手が年賀状の準備を始める前に手元に届くよう投函します。
- 喪中とする範囲は二親等が目安。三親等以降は同居や付き合いの深さで判断して差し支えありません。
- はがき代は1枚85円。日本郵便の「通常はがき」の現行ラインアップは折り紙の「鳩」と「小鳥」で、弔事用として広く使われてきた「胡蝶蘭」のデザインは現在の一覧に掲載されていません。
- 私製はがきで出す場合は弔事用85円普通切手を貼ります。
- 12月中旬を過ぎたら無理に出さない。松の内明けから立春ごろまでの寒中見舞いに切り替えるのが穏当です。
出典:日本郵便「通常はがき」/郵便局のネットショップ「弔事用85円普通切手」
いつ出すか|「投函日」ではなく「届く日」で決める
喪中はがきの役割は「年始のごあいさつを控えます」と事前に知らせることです。したがって基準になるのは、相手が年賀状を書き始める前かどうか。年賀郵便の引受は例年12月15日ごろに始まり、その前後から投函する人が一気に増えます。逆算すると、11月中旬から12月初旬に届くのがもっとも無難です。
準備から投函までの時系列
10月中〜下旬
宛先の棚卸しと文面決め。昨年の年賀状を見ながら送付先リストを作ります。ここが一番時間を食う工程です。
11月上旬
はがきの購入・印刷の手配。ネット印刷は繁忙期に納期が延びるため、この時期までに発注しておくと安全です。
11月中旬〜12月初旬
投函(この期間に届くのが目安)。ここを外さなければ、相手の年賀状の準備と行き違いになりにくくなります。
12月15日ごろ
年賀郵便の引受開始(例年)。この頃には相手がすでに投函を終えている可能性が高くなります。
1月8日ごろ〜2月4日ごろ
寒中見舞いの期間。松の内が明けてから立春までに届くように出します。松の内は関東で1月7日まで、関西では1月15日までとする地域が多く、地域差があります。
誰が喪中になるか|二親等が目安、その先は付き合いの深さで決める
喪中の範囲に法律上の決まりはありません。実務上は二親等以内の親族が亡くなったときに喪中とするのが一般的な目安で、そこから外れる場合は同居していたか、日常的に行き来があったかで判断されています。「出さなければ失礼」という性質のものではなく、年賀状のやり取りを控えることを相手に伝えるための連絡だと考えると迷いにくくなります。
| 続柄 | 親等 | 一般的な扱い |
|---|---|---|
| 配偶者・父母・子 | 一親等 | 喪中とするのが一般的です。 |
| 配偶者の父母 | 一親等(姻族) | 喪中とするのが一般的です。夫婦連名で出すなら迷わず対象に含めます。 |
| 祖父母・兄弟姉妹・孫 | 二親等 | 喪中とするのが一般的です。別居の祖父母では出さない判断をする人もおり、家庭ごとに分かれます。 |
| 曽祖父母・おじおば・甥姪 | 三親等 | 通常は喪中としません。同居していた・特に近しかった場合に出す人もいます。 |
送る相手は、例年年賀状をやり取りしている人すべてが基本です。故人あてに年賀状が届く可能性がある相手(故人の友人・勤務先関係)にも、遺族から出しておくと行き違いを防げます。
はがきと切手|「胡蝶蘭」を探しても見つからない理由
窓口で戸惑いやすいのがここです。かつて弔事用として案内されていた胡蝶蘭のデザインの通常はがきは、日本郵便の公式サイトの「通常はがき」のページに現在は掲載されていません。同ページに載っているのは折り紙の「鳩」(85円)と、インクジェット紙の「小鳥」(85円)の2種類です。喪中はがき専用の官製はがきを買おうとしても見つからないのが今の状態で、これは在庫切れではありません。
| 出し方 | 1枚あたり | 向いている人 |
|---|---|---|
| 通常はがき(鳩・小鳥)に印刷 | 85円+印刷代 | 切手を貼る手間をかけたくない人。郵便局で買えて、そのまま投函できます。 |
| 私製はがき+弔事用85円普通切手 | 85円+はがき代+印刷代 | 紙質やデザインを選びたい人。弔事用切手は郵便局・ネットショップで購入できます。 |
| 印刷サービスに一括で頼む | サービスにより変動 | 枚数が多い人・宛名印刷まで任せたい人。11月に入ると納期が延びがちです。 |
損しないためのポイント
- 「胡蝶蘭がないから出せない」と考えない。現行の通常はがき(鳩)で問題ありません。デザインにこだわるなら私製はがき+弔事用切手です。
- 年賀はがきを喪中はがきに使わない。寒中見舞いに切り替えるときも同様で、通常はがきか私製はがきを使います。
- 枚数は少なめに見積もらない。書き損じや追加の宛先が必ず出ます。5枚ほど多めに用意しておくと買い足しの手間が省けます。
- 宛名の住所は最新か確認する。宛先不明で戻ってくると、そこから出し直すには時期が遅すぎることがあります。
書き方の型|入れる5つと、入れない3つ
喪中はがきの文面は定型です。盛り込む要素と、慣習として避ける要素を分けて覚えると、文例をそのまま写さなくても書けるようになります。
入れる(5つ)
- 年始のあいさつを控える旨のことわり
- 誰が・いつ・何歳で亡くなったか
- 生前に受けた厚意への御礼
- 今後も変わらぬ付き合いをお願いする一文
- 差出しの年月(例:令和8年11月)と差出人
入れない(3つ)
- 句読点(「、」「。」を使わないのが慣習)
- 拝啓・敬具などの頭語と結語
- 近況報告や結婚・出産などの慶事の知らせ
年齢の書き方は数え年でも満年齢でもかまいません。どちらか一方に統一し、迷うなら「享年〇〇」ではなく「〇〇歳」と満年齢で書くほうが誤解が生じません。故人の続柄は差出人から見た関係(父、義母など)で書きます。
パターン別の分岐|自分はどれに当てはまるか
- 10月までに不幸があった:通常どおり、11月中旬〜12月初旬に届くように出します。もっとも準備の余裕があるパターンです。
- 11月に不幸があった:12月初旬までに間に合うなら出します。印刷が間に合わないなら無理をせず、寒中見舞いに切り替える判断で問題ありません。
- 12月に入ってから不幸があった:喪中はがきは見送り、松の内明けの寒中見舞いで伝えるのが穏当です。相手がすでに年賀状を投函している時期です。
- 家族葬で訃報を知らせていない:喪中はがきが訃報の第一報になります。「葬儀は近親者にて相済ませました」旨と、知らせが遅れたお詫びを一文添えます。
- 仕事関係・取引先:会社名で出している年賀状は、私的な喪中とは切り離して通常どおり出す判断が一般的です。個人名で出しているものだけを喪中はがきに切り替えます。
イレギュラーと現場対応|つまずきやすい4つの場面
マナー解説サイトや印刷会社の相談ページで繰り返し取り上げられている「実際に起きたこと」を、編集部の視点で整理しました。いずれも作法そのものより、行き違いが起きたあとどう収めるかが焦点になっています。
現場で起きていること
- 喪中はがきを出す前に年賀状が届いてしまった。年賀はがきで返信することはせず、松の内が明けてから寒中見舞いで返すのが定着した対応です。年賀状への御礼と、喪中で年始のあいさつを控えた旨を並べて書きます。
- 出し忘れた相手がいた。寒中見舞いに「お知らせが行き届かず失礼しました」の一文を加えます。故人の名前を明らかにしておくと、相手も状況を理解しやすくなります。
- 相手から喪中はがきが届いた。返信は必須ではありませんが、寒中見舞いで一言添えると丁寧です。この場合も年賀はがきは使いません。
- 窓口で「胡蝶蘭のはがきがない」と言われた。公式サイトの通常はがきの一覧が鳩・小鳥の2種類になっているためで、品切れではありません。鳩のデザインで出して差し支えありません。
※上記は特定の個人の体験ではなく、複数の解説記事で共通して挙げられている事例を編集部が要約したものです。地域や家庭の慣習により扱いが異なる場合があります。
注意
寒中見舞いは松の内が明けてから立春までに届くように出します。立春(2月4日ごろ)を過ぎると季節のあいさつとして合わなくなり、この場合は「余寒見舞い」に切り替えます。松の内の期間には地域差があるため、相手の地域に合わせて日程を決めると安全です。
かかるお金の相場観と、編集部の価値判断
費用は「はがき代」と「印刷代」に分けて考えます。はがき代は1枚85円で固定なので、枚数さえ決まれば正確に読めます。下のグラフは通常はがき85円で計算した、はがき代だけの総額です。
枚数別・はがき代の総額(1枚85円で計算)
出典:日本郵便「通常はがき」(85円)をもとに編集部が計算。印刷代・宛名印刷代は別途かかります。
編集部の判断:削るなら枚数ではなく印刷方法から。喪中はがきは「出す・出さない」を迷って先延ばしにすると、結局どちらでもない時期に届いて相手を戸惑わせます。費用を抑えたいなら、送付先を減らすよりも自宅印刷やテンプレート利用で印刷代を下げるほうが、行き違いのリスクを増やさずに済みます。金額よりも「11月中旬〜12月初旬に届く」ことのほうが、はるかに実務上の価値が大きいというのが編集部の見方です。逆に、その時期を過ぎてしまったなら、慌てて出すより寒中見舞いに切り替えたほうが結果的に丁寧になります。
よくある質問
喪中はがきはいつまでに届けばよいですか。
11月中旬から12月初旬に届くのが目安です。年賀郵便の引受は例年12月15日ごろに始まるため、それより前に相手の手元に届いていれば、年賀状の準備と行き違いになりにくくなります。
喪中はがきに使うはがきは何を買えばよいですか。
郵便局で販売している通常はがき(85円)で問題ありません。日本郵便の「通常はがき」のページに掲載されているのは折り紙の「鳩」と、インクジェット紙の「小鳥」の2種類です。私製はがきを使う場合は、弔事用85円普通切手を貼ります。
喪中はがきを出していない相手から年賀状が届きました。どうすればよいですか。
年賀はがきで返信はせず、松の内が明けてから寒中見舞いで返します。年賀状への御礼、喪中で年始のあいさつを控えたこと、知らせが行き届かなかったお詫びの3点を書けば十分です。
何親等まで喪中はがきを出すのですか。
二親等以内が一般的な目安です。法律上の決まりはないため、三親等以降でも同居していた場合や特に近しかった場合は出してかまいません。逆に二親等でも別居で交流が少なければ出さない判断もあります。
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公式情報で最終確認する
はがきの種類・料金は日本郵便の公式ページが一次情報です。購入前に日本郵便「通常はがき」と「はがきの料金・主なオプションサービス」をあわせてご確認ください。喪中の範囲や文面の作法は法令ではなく慣習であり、地域や家庭により異なります。
