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遺品整理の費用相場と業者の選び方【2026年版】相続放棄を考えるなら片づけてはいけない|確認すべきは一般廃棄物処理業と古物商の2つの許可

瓦屋根と雨戸のある日本の木造一軒家の外観。遺品整理の費用相場と業者の選び方の記事アイキャッチ

遺品整理は「いくらかかるか」より先に、順番を間違えると取り返しがつかないのが厄介な手続きです。相続放棄を考えているのに片づけてしまう、業者に任せたら大切な書類まで処分されていた——国民生活センターに寄せられる相談は、まさにこの型で起きています。この記事は、費用の相場観と、業者を選ぶときに確認すべき2つの許可を軸に整理します。

結論の要点

  • まず何を:相続放棄の可能性があるなら片づけない。財産の処分は「単純承認したもの」とみなされ、放棄できなくなることがあります(民法921条)
  • いつまでに:相続放棄の期限は3か月。賃貸なら明渡し期日、実家なら固定資産税の負担が時間の圧力になります
  • いくら:間取り別におおむね1R 3万〜8万円、3LDK 15万〜50万円が目安。荷物量・階数・エレベーターの有無・時期で大きく動きます
  • 業者選びの核:家財を運び出して処分するなら一般廃棄物処理業の許可、買い取るなら古物商許可。この2つを確認します
  • トラブルの型:「一式」表記の見積もりからの追加請求と、残すよう頼んだ品の誤廃棄。作業前の仕分けで大半は防げます
目次

最優先|相続放棄を考えているなら、まだ触らない

民法921条は、相続人が相続財産の全部または一部を「処分」したときは、単純承認をしたものとみなすと定めています。単純承認とみなされると、原則としてその後に相続放棄を選ぶことはできません。借金が残っている可能性がある家で、先に家財を売ったり捨てたりしてしまうと、負債ごと引き受ける結果になり得ます。

損しないポイント|順番を守るだけで防げること

  • 借金の有無がわからないうちは、売らない・捨てない。同法は「保存行為」(財産の現状を保つ行為)は処分にあたらないとしています。雨漏りの応急処置や施錠は保存行為の側です。
  • 3か月の期限は「知った日」から。相続の開始を知った時から3か月です。調査が終わらないときは、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てる方法があります。
  • 賃貸なら大家・管理会社に事情を伝えて期日を交渉する。「明渡しを急かされて片づけたら放棄できなくなった」が最も避けたい結末です。
  • 迷ったら片づける前に専門家へ。どこまでが処分にあたるかは事案ごとの判断で、一般論では線を引ききれません。

費用の相場観|間取り別の目安と、金額が動く要因

遺品整理の費用に公定価格はありません。以下は複数の事業者が公表している料金表から見た民間の目安であり、公的な統計ではない点にご留意ください。同じ間取りでも、荷物の量で倍近く動きます。

間取り別の費用の目安(民間事業者の公表料金より)

1R・1K3万〜8万円1DK・1LDK5万〜20万円2DK・2LDK9万〜25万円3DK・3LDK15万〜50万円

※棒の長さは上限額を相対表示したものです。特殊清掃が必要な場合、この目安には収まりません。

見積もりが上振れする主な要因は、①荷物の量(トラックの台数)②作業人数③階数とエレベーターの有無④駐車スペースまでの距離⑤処分費(家電リサイクル対象品・タンスなどの大型家具)の5つです。電話やメールだけの概算が実際とずれるのは、②〜④が現地を見ないと決まらないためです。

業者選び|確認すべき2つの許可

国民生活センターは、遺品整理サービスの相談に関して、事業者が持つべき許可を具体的に挙げています。「遺品整理士」などの民間資格ではなく、行政の許可の有無が実質的な線引きです。

やってもらうこと必要な許可・確認方法
家財を運び出して処分する市町村から一般廃棄物処理業の許可を受けているか。無許可事業者による処分は法律違反となり、不法投棄につながるおそれがあります。市町村の窓口に照会して確認できます。
遺品を買い取ってもらう古物商許可が必要です。「古物商許可証」または「行商従事者証」の提示を求めて確認します。
金額を決める複数社から相見積もりをとる。作業内容・料金・支払方法・キャンセル料を書面で確認する。

時系列|依頼から作業完了までの進め方

遺品整理のステップ

STEP 1|着手前

相続放棄の可能性を確認する

借金の有無が不明なら、片づけも売却も止めます。ここを飛ばすと後戻りできません。

STEP 2

貴重品と重要書類だけ先に確保する

通帳・保険証券・年金手帳・権利証・印鑑・遺言書。これらは業者に触らせず、自分で先に別の場所へ移します。誤廃棄トラブルの多くはここを省いて起きます。

STEP 3

残す物と処分してよい物を仕分ける

完璧でなくて構いません。「この部屋は手をつけないで」「この棚は残す」とゾーンで指定するだけでも事故は激減します。

STEP 4

複数社に現地見積もりを依頼する

電話だけの概算は当てになりません。2〜3社に現地を見てもらうのが実質的な最低ラインです。

STEP 5

見積書の中身を確認する

「一式」で括られた項目は、内訳を出してもらいます。作業内容・料金・支払方法・キャンセル料・追加料金が発生する条件を書面で確認します。許可の確認もこの段階です。

STEP 6

作業当日は可能なら立ち会う

立ち会えないときは、残す物の写真を渡しておきます。処分してしまったものは取り戻せません。

STEP 7

完了後に精算し、書類を保管する

領収書と作業明細は、相続税の申告や相続人間の精算で使うことがあります。

現場で起きること|国民生活センターに届いた実際のトラブル

国民生活センターが2025年10月30日に公表した「見守り新鮮情報」第525号には、次のような相談事例が挙げられています。

事例1:亡くなった母の遺品整理をネットで探した事業者に電話で依頼した。20万円くらいと聞いていたが、作業後に30万円と言われた。(60歳代)

事例2:亡くなった父の家財の処分を事業者に依頼し、大切な書類は残すよう頼んでいたのに、アルバムや電話機まで処分された。苦情を申し出たが、既に処分済みで取り戻せないと言われた。(60歳代)

出典:国民生活センター「見守り新鮮情報」第525号(2025年10月30日公表)

同センターは2018年にも、遺品整理サービスの契約トラブルについて発表しています。当時公表されたPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)の相談件数は、2013年度73件、2014年度109件、2015年度90件、2016年度114件、2017年度105件。件数そのものは爆発的に多いわけではありませんが、「高額な追加請求」「高額なキャンセル料」「処分しないよう頼んだ物を勝手に処分された」という型は、7年経っても変わっていません。相談が減らないタイプのトラブルだ、と読むのが妥当です。

  • 「一式」の見積書は、追加請求の入口になりやすい:作業人数もトラック台数も書かれていない見積もりは、当日いくらでも積み増せます。内訳を書かせるだけで抑止力になります。
  • キャンセル料は契約前に必ず聞く:申し込んだ後に高額なキャンセル料を請求された、という相談が実際にあります。
  • 誤廃棄は「後から」では戻らない:処分済みのものは物理的に取り返せません。事前の仕分けと立ち会いが唯一の対策です。
  • 市町村の窓口に照会できる:一般廃棄物処理業の許可を得ているかは、住んでいる市町村に問い合わせて確認できます。これは消費者側が使える、数少ない客観的なチェック手段です。
  • 困ったら消費者ホットライン188:契約後でも相談できます。

あなたの場合はこう|状況別の判断

賃貸で、明渡しを急かされている

最も判断を誤りやすい状況です。相続放棄を検討しているなら、片づける前に管理会社へ「相続の手続き中である」と伝え、期日を相談するのが先です。急いで家財を処分した結果、放棄できなくなるほうが損害は大きくなります。原状回復費や滞納家賃も相続の対象になるため、放棄の判断材料に含めてください。

持ち家で、当面は売らずに置いておける

時間的な余裕があるぶん、相見積もりと自分での仕分けに時間を使えます。ただし空き家のまま放置すると固定資産税の負担が続き、管理不全の空き家と判断されると税の優遇が外れる場合があります。「急がないが、放置もしない」ラインの見極めが必要です。売却まで視野に入るなら、片づけの前に売り方を決めたほうが手戻りが少なくなります。

兄弟が複数いて、意見が割れている

遺品は遺産分割の対象になり得ます。相続人の合意がないまま片づけを進めると、後で「勝手に処分した」と揉める典型パターンです。写真を撮って共有する、価値がありそうな物は一旦保管する、といった手順を先に合意しておくと、費用の負担割合の話もしやすくなります。

遠方に住んでいて、立ち会えない

誤廃棄のリスクが最も高くなる状況です。せめて1回は現地に行って、貴重品と重要書類だけ回収し、残す物にはっきり印をつける。当日はビデオ通話で確認できるか事業者に聞いてみてください。「立ち会えないので全部お任せします」は、事例2の再現になりやすい依頼の仕方です。

編集部の価値判断|どこまで自分でやるか

遺品整理の見積もりでは、供養・特殊清掃・ハウスクリーニング・不用品買取などのオプションが提案されます。どれも意味のあるサービスですが、全部を積むと相場の上限を軽く超えます。押しつけるつもりはありませんが、判断材料として二つの線を置きます。

堅実に済ませたい人はここまで

貴重品と写真類は自分で回収。事業者に頼むのは「運び出しと処分」だけに絞る。自治体の粗大ごみ収集を併用すれば、処分費はさらに下がります。仏壇や人形の供養は、菩提寺や地域の寺院に直接相談したほうが安く済むことが多いです。

こだわりたい人・余力がない人はここまで

遠方在住、体力的に厳しい、売却前提でハウスクリーニングまで一気に終わらせたい——この場合はワンストップで依頼する合理性があります。ただし買取を含めるなら、買取額を処分費から差し引く形で明細に載せてもらうこと。「買取込みで安くします」の一括表示は、後から検証できません。

費用を下げる手として現実的なのは、①繁忙期(年末年始・3〜4月)を避ける ②自分で運び出せる小物を先に減らす ③自治体の粗大ごみ収集を使うの3つです。逆に、極端に安い見積もりは、当日の追加請求か無許可処分のどちらかを疑う材料になります。

よくある質問

遺品整理をすると相続放棄できなくなりますか?

相続財産を処分したとみなされる行為をすると、単純承認したものとみなされ、相続放棄ができなくなることがあります(民法921条1号)。ただし財産の現状を保つ「保存行為」は処分にあたらないとされています。どこまでが処分にあたるかは事案ごとの判断になるため、相続放棄を検討している場合は片づける前に専門家に相談してください。

遺品整理の費用はどのくらいですか?

民間事業者の公表料金では、1R・1Kで3万〜8万円、2DK・2LDKで9万〜25万円、3DK・3LDKで15万〜50万円程度が目安です。荷物の量、作業人数、階数とエレベーターの有無、駐車位置、家電リサイクル対象品の有無で大きく変動します。公的な統計はありません。

業者を選ぶときは何を確認すればよいですか?

家財を運び出して処分してもらう場合は、市町村から一般廃棄物処理業の許可を受けているかを確認します。許可の有無は市町村の窓口に照会できます。遺品を買い取ってもらう場合は古物商許可が必要で、古物商許可証や行商従事者証の提示を求めて確認します。

見積もりより高い金額を請求されたらどうすればよいですか?

まず契約時の見積書と契約書を確認し、追加料金が発生する条件が記載されているかを見てください。納得できない場合は支払う前に、お住まいの市区町村の消費生活センター等(消費者ホットライン188)に相談してください。

大切な物を勝手に処分されないためにはどうすればよいですか?

作業前に、残す物と処分してよい物を分けておくことが最も有効です。国民生活センターも同様の注意を呼びかけています。通帳・保険証券・権利証・写真などは自分で先に別の場所へ移し、可能なら作業当日に立ち会ってください。処分されたものは取り戻せません。

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出典・基準日

基準日:2026年8月3日。費用の目安は民間事業者が公表する料金表に基づくもので、公的統計ではありません。法律の解釈にかかわる部分は一般的な情報提供であり、個別の法律相談に代わるものではありません。相続放棄の判断は、必ず弁護士・司法書士等にご相談ください。

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この記事を書いた人

みんなのミカタナビ編集部です。運営者・たくの編集方針のもと、相続・出産・退職・補助金など「知らないと損する手続きとお金」を、公的機関の一次情報と体験談の取材をもとに時系列で整理しています。数値・期限は必ず公式情報で裏取りし、出典を明記します。

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